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<吉祥寺残日録>「G7 vs 中国」時代の幕開け・・・それでも世界は強権的な国々であふれている #210614

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トランプさんがいなくなったG7は元の穏やかな姿に戻ったようだ。

イギリスで開かれていたG7サミットは、中国を強く意識した共同宣言を発表して無事閉幕した。

共同宣言では、2022年までのパンデミック終息という目標を設定し、中国に対抗して10億回分のワクチンの供与を公約としたが、そのほかにもポストコロナを睨んで重要な合意が含まれている。

私が気になった主なポイントについて、日本経済新聞から引用しておく。

コロナ対応として当面財政出動を継続するとともに、巨大グローバル企業などに対する課税強化にG7が共同して取り組むことを表明したのは画期的なことだ。

農業や衣類部門での強制労働やサイバー攻撃という文言を盛り込んだことは、今後中国やロシアに対する制裁強化などにG7共同で乗り出す可能性を意味していて、日本企業への影響も大きいだろう。

さらに、国際環境保護団体から槍玉に挙げられてきた石炭火力発電に対する日本政府の支援について、菅総理が年内でやめると表明したことも重要である。

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そのうえで、中国をはじめとする地域問題についてもしっかりと盛り込まれた。

台湾やミャンマーに関連する文言が盛り込まれたのも意味がある。

中国の拡張主義が最も懸念される地域であり、「開発金融」の項目も明らかに中国の「一帯一路」に対抗する狙いがあるのだろう。

今回の共同宣言は、本格的な「G7 vs 中国」の時代が始まる歴史的に重要な宣言となるかもしれない。

そして宣言の最後に、次の文言が盛り込まれた。

これで東京オリンピックは名実ともに国際公約となり、政府は問答無用で開催に邁進することになるだろう。

個人的には、無駄な議論を終わらせてさっさと実務的な準備を進めてもらいたいと思っていたので、オリンピックに対する国内世論が少し静かになってもらえればと思う。

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当然のことながら、中国メディアはG7に反発しているようだ。

共産党系の「環球時報」は社説で、新疆ウイグル自治区の人権や台湾問題などが盛り込まれたことに対して「(中国は)この状況を恐れる必要はない」と強気です。G7各国に対中路線の違いがあることから「(中国は)統一戦線を崩すことが可能だ」としています。

中国は再来週に共産党100周年を祝う一大イベントが控えていて、愛国ムードと欧米への反発が高まる空気となっています。

引用:テレビ朝日

事実、中国にとって直ちにダメージがあるわけではない。

G7は大きな方向性を打ち出しただけであり、具体策はまだ何も決まっていない。

本格的に調整が始まれば、各国の利害が衝突することもあるだろう。

さらに中国にとって有利な点もある。

それは世界を見回せば、民主的な国よりも強権的な国の方がはるかに多いということだ。

私は近頃、「BS世界のドキュメンタリー」という番組をよく見るのだが、どこの国も酷いものだ。

たとえば、フィリピン。

「大統領の命令の下で〜密着フィリピン麻薬撲滅運動」というドキュメンタリーでは、ドゥテルテ大統領が強権的に推し進める麻薬撲滅運動によって、麻薬常習者や密売人が秘密裏に暗殺されている実態が描かれる。

麻薬犯罪に対する厳しい取り締まりに対して、反ドゥテルテの市民運動が巻き起こったマニラのカローカン地区。その結果、この地区に新たな警察署長が配属され、行き過ぎた取り締まりをしないことが約束された。街は一旦静けさを取り戻したものの、再び大統領から取り締まり強化の命令が出たことを機に、捜査対象者への謎の殺人事件が増加していく。

引用:NHK

この番組の中で、防犯カメラに偶然撮影された犯行の瞬間の映像があった。

マニラ市内、白昼の路上で客待ちをしていたオート三輪の運転手を、オートバイに乗った2人組が突然男を射殺する。

実行犯は警察官とも、警察とつながりがある者だとも言われているが、真相が明らかになることはない。

大統領の命令の下で行われる殺人事件は、闇から闇へと葬られる。

もう一本は、「それでも私は諦めない ウズベキスタン女性ディーリャの戦い」。

中央アジアの国ウズベキスタンといえば、シルクロードのイメージしかないのだが、ソ連崩壊以来の独裁政権が続いている。

長期に渡る独裁政権が続いてきたウズベキスタン。反政府テロに関与した疑いで拘束された兄の無実を訴え、亡命先のスウェーデンで活動する女性ディーリャは、結婚相手に活動を妨害され、ついに殺されそうになる。ディーリャの夫の正体とは?そして兄の運命は?凄惨な状況でも希望を持ち続けたディーリャの物語。

引用:NHK

1990年3月、ソ連崩壊と同時に大統領に就任したカリモフ氏はウズベキスタンの独裁者として君臨した。

1999年にカリモフ大統領暗殺未遂事件が起きると独裁政権によるイスラム教徒弾圧が始まった。

その過程で、無実のイスラム教徒たちが逮捕され、このドキュメンタリーの主人公ディーリャの兄も死刑判決を受けた。

ディーリャは国際機関に無実を訴えたため、兄は砂漠の中に作られた秘密の「ジャスルック刑務所」に移された。

2007年、ディーリャは反体制派の集会で知り合った男性と結婚したが、彼女はその夫に殺されそうになる。

夫は実は体制側の人間で、海外に住むウズベキスタン反体制派を殺害するミッションを負っていたのだ。

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強権的な国家は、アジアだけに存在するわけではない。

アフリカにも中東にも東欧にも南米にも、たくさんある。

こうした独裁的な政権にとって、人権を重視するG7の支援を受け入れるにはハードルが高く、余計な条件は一切つけない中国式援助の方がはるかにメリットが大きいのだ。

資金だけでなく、労働者も丸ごと中国からやってきて、おまけに中国式の監視システムまで提供してくれる。

G7サミットに盛り込まれた理想が実現し、中国の影響力を世界から排除するためには、まずは世界が変わることが必要なのだ。

それはほぼ不可能だと言ってもいい。

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そして、民主主義にも大きな問題がある。

与野党が均衡し2年間に4回もの総選挙を行ったイスラエルでは、極右からアラブ政党までが連立する形で新政権が樹立された。

アラブ強硬派だったネタニヤフ首相が退陣に追い込まれたのは良かったが、主張が180度違う政権が寄り集まった新政権が果たして機能するのか、早くも不安視されている。

国民の声を聞く。

そうした民主主義の理想は時として政権を弱体化させ、誰も望まない悲劇を生むことがある。

民主主義は絶対ではないのだ。

国民の大半が反対して長期にわたり声をあげ続けたミャンマーですらG7諸国は救えていない。

美しい言葉だけでなく、世界を良くするための行動を!

それができなければ、世界に自由と民主主義が広がる日は絶対に来ないだろう。

<吉祥寺残日録>危機高まる世界!ミャンマーのクーデターでスーチーさんも拘束された #210201

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