<吉祥寺残日録>韓国大統領12年ぶりの単独来日!尹錫悦大統領の英断で日韓新時代が到来するか? #230317

相変わらずWBCフィーバーが収まらない。

大谷翔平が先発し、ダルビッシュもリリーフで登場した昨日の準々決勝イタリア戦は、危なげない戦いで9−3で勝利。

マイアミでの準決勝進出が決まった。

ヒーローインタビューに立ったのはホームランと2塁打で5打点の活躍を見せた岡本和真だったが、私にとってのMVPはやはりこの男、大谷翔平が2打席目で見せたセーフティーバントだった。

フォアボールの近藤を1塁に置き登場した大谷は、初球いきなりバントの構えを見せる。

ポーズだけだと思ったが大谷はまさかのバントをピッチャーの左に転がし、慌てた相手投手が1塁に悪送球、一気に1、3塁のチャンスを作り、これが先制点につながった。

何をやってもスーパースター、本当に恐れ入る。

そんな日本列島を覆うWBCの盛り上がりに隠れるように、韓国の尹錫悦大統領が韓流スターのような奥様を連れて羽田空港に降り立った。

尹大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)さんは、かつては美術の先生、今は文化コンテンツに投資する企業の社長だという。

韓国内ではファンクラブができると同時に、野党からのスキャンダル攻撃にも遭い、良くも悪くも目立つ存在のようである。

ただ、今回の来日で注目されたのは美人妻ではなく、日韓関係が一気に改善に向かって動き始めたことだった。

それもそのはず、韓国大統領が国際会議以外で日本を訪問するのは実に12年ぶりだという。

前回の訪日は2011年、李明博大統領の時代だった。

しかしその後、李明博大統領が竹島を訪問したあたりから日韓関係は悪化の一途をたどり、朴槿恵大統領、文在寅大統領と冷え切った関係が続いてきた。

ちょうど日本では民主党政権が終わり、安倍長期政権が続いた時代である。

韓国側では慰安婦問題や元徴用工問題が政治問題化し、日本国内でもネットを中心に嫌韓運動が露骨に行われて双方の不信感が増幅されていった。

そうした流れを一気に変えたのは、尹錫悦大統領の決断。

最高裁判決が確定している元徴用工問題で被告の日本企業に賠償を求めず、韓国の財団が支払うことを決断した。

この英断に対し、日本政府は大喜び。

岸田総理は来日した尹大統領夫妻を銀座でもてなし、すき焼きとオムライスをはしごする歓迎ぶりを示した。

すき焼きとオムライスが尹錫悦さんが好きな日本料理なのだそうだ。

とりあえず日韓両首脳の信頼関係は深まったようで、今年の早い時期に岸田総理が韓国を訪問することになり、久しぶりのシャトル外交が再開される。

中国と北朝鮮の脅威が増大する中で、アメリカを中心とした同盟関係の強化を両国が迫られていることが急接近の背景にはある。

まずは日韓関係が正常化に向かって動き始めたことを歓迎したい。

ただ真の問題は韓国国内にある。

最大野党は「オムライスと国家の自尊心を交換した」と痛烈に批判、韓国世論も過半数が対日譲歩の決断に否定的だ。

韓国メディアの記事を見てみても、日韓関係の改善は歓迎しつつも日本側の対応が不十分という論調が目立つ。

今回の首脳会談はゴールではなく、スタートラインに立ったに過ぎない。

日本側には韓国だけに責任があるという意見が目立つが、日本も決して誉められたものではない。

日本人が謙虚に歴史を学び、私たちの先祖が朝鮮半島で行ってきたことを正しく知ることから本当の意味での相互信頼が生まれる。

ウィンウィンの日韓新時代を構築するためには、両国ともにまだまだ努力が必要だ。

スポーツの世界で日韓が常に永遠のライバルであるように、政治でも率直な議論を交わしつつ、妥協するところでは政治家が世論を説得しながら相手に歩み寄る決断が求められる。

東アジアに自由と民主主義に基づく新たな仕組みを作り上げるためには、韓国以外にパートナーは見つからない。

韓国側は歴史を武器として使うことをやめ、日本側は歴史をしっかりと直視する。

そうすることで初めて未来志向のパートナーシップが生まれてくるのだろう。

<吉祥寺残日録>日韓対立の中、最新の「渡来人」研究が明らかにする両民族のルーツ #220731

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