株式市場というのは、いつもクレージーだ。
特に今週の値動きは、各国通貨当局による大規模介入とあまりに激しい暴落の反動が相まって、実態とはかけ離れた暴騰となった。
昨日の日経平均は1204円高。それを受けて始まったニューヨークのダウ平均は過去最大の値上がり幅となる2112ドル高となったのだ。
ダウの上昇率11.37%は大恐慌後の1933年以来の歴史的な急騰だったことがわかる。
ただ歴史的上昇の舞台となったニューヨーク株式市場では、新型コロナの影響で「場立ち」と呼ばれる証券マンたちの姿はなかった。
今週月曜の日本時間午後9時、FRBが無制限の量的緩和を発表した後、世界中の株価が急上昇を開始。市場の空気が一気に変わった。このタイミングを捉えて、おそらく各国が協調介入したのだろう。月曜に日中には、アジアの株価が急落する中で、東京市場だけが大幅高になったのでおかしいなと思っていたのだが、この日の夜のFRBの発表を受けて、全てシナリオ通りだったことがわかった。日本が露払いを行い、アメリカが横綱として土俵入りしたということだろう。
今週は年度末。企業決算にとって今週の株価は重要だ。
さらに安倍総理にとって、オリンピックの延期で株価が下がるのを防ぎたいという思惑もあったのだろう。トランプさんにとっても、自分の就任時の株価を下回ってしまった現状はどうしても要因できない。
「今週株価を巻き戻す」
世界のリーダーたちの利害が一致し、G7の首脳会談や財務相会談を通して、この株式市場シナリオが練られていたと考えられる。
一旦空気が変わった市場は、トランプ政権が打ち出した2兆ドルの経済対策も早期に承認されるだろうとの思惑を材料に勝手に買い上がっていく。今日も世界中の株価が急速に巻き戻るだろう。
しかし、現実の世界は市場の景色とは全く違い、コロナショックは恐ろしいスピードで世界に広がっている。
アメリカの感染者数は4万人を超え、世界の感染者は40万人を超えた。
人口13億人のインドで3週間にわたる全土外出禁止が発令され、インドネシアでは道端で倒れる感染者が出始めている。
アフリカのセネガルでは政府がブルドーザーで古い市場を強制撤去し、ニュージーランドでも国家非常事態の宣言が出されるなど南半球でもパニックが広がり始めている。
当然、日本だけが大丈夫なはずがない。いよいよ我が国でも、本格的なオーバーシュートの気配が漂い始めた。
東京五輪の延期が決まったことで、政府も東京都も「緊急事態」発令に向けた準備に進むことが予想される。
年度末は何とかやり過ごして、4月に入ると東京の街から人が消える日が来るかもしれない。
食料をもう少し買っておこう。