<吉祥寺残日録>大恐慌以来90年ぶり!ダウが8週連続の下落!じりじり進むコロナバブルの終焉 #220522

予想されたこととはいいながら、2020年から続いた空虚なコロナバブルは静かに終わろうとしている。

アメリカがコロナでロックダウンされた当時に歴史的な暴落を演じた後、前例のない世界的な財政出動によって反転上昇を続けてきたアメリカの株価だが、今年に入ってピークを打ち急速に下落する局面に入った。

ダウ平均は先週で8週連続の値下がりになったが、これは90年ぶりという記録的なことなのだという。

週足では、ダウが8週連続で下落し、1932年の世界大恐慌以来の最長を記録。S&Pとナスダックも7週連続での下落となり、ドットコム・バブルがはじけた2001年以来最長となった。

20日の取引で、S&Pはほぼ終日、マイナス圏で推移。一時、1月3日に付けた終値での最高値から20%超落ち込む場面もあったものの、引けにかけ、1月3日の終値から約18%安の水準まで戻した。

通常、過去1年の高値からの下落率が20%を超えると、弱気相場入りとされる。

ナスダックはこの日、21年11月に記録した終値での最高値から約27%下落した。

引用:ロイター

ダウが8週連続で下げるのは第二次世界大戦につながった世界恐慌以来だというのだ。

日本の株価も確かに下げてはいるが、じりじり下落しているのでコロナの時のようなパニックという印象はまだない。

しかしそもそも、コロナバブルには実態がないのだから、FRBが金融引き締めを始めればバブルが終わるのは当然の成り行きということだろう。

ここにきての株安の要因について、日本経済新聞から引用しておく。

株安加速の理由は2つある。1つ目は需給要因だ。米金融取引業規制機構(FINRA)によると、マージンデット(証拠金債務)と呼ばれる信用取引の買い残高は4月末時点で7729億ドル(約98兆円)あった。3月末からの減少率は3%だ。4月のナスダック総合株価指数は月間で13%安だったのに比べると減り方は小さい。信用買いの個人は4月の株安局面では慌てずに踏ん張っていたもようだ。

ただ5月に入ってからの株安で、マージンコール(追い証)の観測が浮上する。信用取引では含み損が発生すると、担保に当たる保証金から損失分が差し引かれる。保証金が最低維持率を下回ると、追加の担保差し入れか持ち高解消を迫られる。

JPモルガンが週次でまとめる個人動向では、5月に入って売りが急増した。17日までの1週間をみると、人気が高いアップルや半導体のエヌビディアの売り越しが目立った。アップルは今年に入り23%安、エヌビディアは43%も下落し、個人が信用買いを維持できなくなった可能性が高い。

金利上昇による借り入れコストの増大や株安で、信用取引の魅力が低下している。マージンデットが新型コロナウイルス禍前の水準に戻ると仮定すれば、さらに3割減る計算だ。当面は売り圧力が強まってもおかしくない。

2つ目は景気後退懸念の高まりだ。債券市場では米長期金利が5月9日に3.20%と2018年11月以来の水準に上昇した後、19日には一転して2.77%まで低下した。4月末(2.93%)の水準を下回って5月を終えれば、月間では6カ月ぶりの低下となる。金利上昇のピークアウト観測が強まりそうだ。

早くからリセッション(景気後退)の可能性を指摘した独アリアンツのモハメド・エラリアン氏はSNS(交流サイト)などで、長期金利の低下に対し「株売りは新たなフェーズ(局面)を迎えている」との見方を示す。これまでは金利上昇懸念が株安の主因だったが、今後は景気不安が取って代わるとの意味合いだ。 

景気悪化による企業業績の低迷、クレジットスプレッド(国債など基準金利に対する上乗せ幅)の上昇による信用不安が本格化するのはここからとなる。ドイツ銀行のビンキー・チャダ氏は景気後退が始まれば、S&P500種は3000まで下落すると予想する。新型コロナ前の水準までほぼ戻ることになる。

引用:日本経済新聞

信用買いしていた個人投資家が大きなダメージを受けた可能性があるという。

アメリカ人の場合、資産の多くを株式で運用していて右肩上がりで値上がりを続けたハイテク株はアメリカの一般市民の懐を大いに潤してきた。

この秋に中間選挙を控えているだけに、もしトランプさんが大統領だったらなりふり構わず株価対策を打っただろう。

しかしバイデンさんは常識的な人なので、このまま株価は自然にコロナ前の水準まで戻り、中間選挙では野党共和党の格好の攻撃対象となることが予想される。

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世界的なマネー収縮の動きは仮想通貨の世界でも表面化しているという。

ロイターに「暴落した仮想通貨、損失抱える個人投資家が続出」という記事が出ていた。

ナイジェリアのノフェ・イサーさん(25)は今年1月から暗号資産(仮想通貨)投資を始めたが、先週になって仮想通貨ルナが暴落し、5000ドルの貯蓄全てを失った。もう二度と仮想通貨には投資しない決意だ。

投資家がインフレと金利上昇を懸念してリスク資産からマネーを引き揚げたことで、仮想通貨は先週暴落した。

世界最大の仮想通貨であるビットコインは12日に2万5401ドルと、2020年12月以来の安値に沈んだ。昨年11月には過去最高値の6万9000ドルを付けていた。

第2位の仮想通貨・イーサリアムは15%下落。ルナはソーシャルメディア上で大ブームとなり、機関投資家の支持も得ていたが、価値がほぼゼロになった。

イサーさんのような個人投資家は、一獲千金を狙って仮想通貨に群がった。それをあおったのがロビンフッドのような取引プラットフォームだ。同社の第1・四半期決算では、取引収入の約4分の1が仮想通貨によるものだった。

世界最大の仮想通貨交換業者・バイナンスの顧客数は今年4月時点で約1億1800万人と、昨年第1・四半期の4340万人から急増している。

引用:ロイター

仮想通貨の下落は、若者や発展途上国の投資家たちに大きな影響を与えそうだ。

コロナ対策として世界中の政府が財布の紐を緩めたため、本来は経済活動が低調なのにも関わらずマーケットだけは異常な盛り上がりを見せた。

コロナが猛威を奮い始めた頃、私は新興国経済が破綻するのではないかと予想したが、コロナ対策としての未曾有の金融緩和によってダブついたマネーは世界の隅々まで潤してきた。

アメリカの株価が下がり、ドル高状況が続けばいずれ新興国からマネーが逃げ出し、比較的安全なアメリカへと逆流していくことが予想される。

世界的な危機はこれからやってくるのだと私は覚悟している。

8週連続で下落したならば、そろそろ反発するのが相場の常道だ。

それもあって、金曜日も大きく下落した後、引けにかけて急反発した。

それでも前例のない金融緩和の後始末は予断を許さない。

もしも来週も下げるようなことがあれば、「弱気相場入り」ということになりさらに一段の下落もありうるという。

ウクライナ情勢でもまた損をした私には、今の市場に参加する勇気はなかなか出てこないのだ。

<吉祥寺残日録>いよいよバブルが本格化?!日経平均3万円とビットコイン急騰の世界 #210210

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