<吉祥寺残日録> “アベノマスク”の4社目 #200428

シャープが国内で生産したマスクの販売をネットで始めたところ、3万箱の販売に対して、1日で470万6000人からの応募があったという。当初は先着順での販売を考えていたが、アクセスが集中してパンクしたため抽選販売に切り替えた。

マスクの需要はそれほど切実なのだ。

一方で、安倍総理肝いりの新型コロナ対策、通称「アベノマスク」。

このマスクの話は、我が家にマスクが届いてから言及しようと思っていたのだが、カビだかゴミだかが付着しているマスクが大量に見つかったということで配達が大幅に遅れそうなので、今日書くことにした。

Embed from Getty Images

菅官房長官は昨日、野党やメディアから質問を受けていたアベノマスクの発注先について新たな情報を明らかにした。

一般に先駆けて配布が始まった妊婦用の布マスクについて、これまで公表されていた、伊藤忠商事、興和、マツオカコーポレーションの3社に加え福島県の「ユースビオ」という会社にも発注していたことを明らかにしたのだ。

最初から4社同時ではなく、1社の名前が公表されず、しかも3社合計の受注額が90億円しかなかったため、残りの1社について疑惑が指摘されていた。

新たに公表された「ユースビオ」という会社は、2017年に設立され、バイオマス発電用木質ペレットをベトナムから輸入することを主な業務としているそうだ。

樋山茂社長はメディアの取材に対して、こう説明しているという。

ベトナムに駐在員を置き、同国で調達した木質ペレットを日本などで販売。ベトナムにマスクの製造工場が多いことから、福島県議らに「同国から調達できる」と提案したところ県から発注があったという。

3月上旬に県側から「調達は国一括となった」と連絡があり、経済産業省にサンプル品などを送って納入が決まったという。汚れなどの問題が発覚した4月上旬、経産省の担当者から公表への同意を尋ねられ、同意していたという。

樋山社長によると、マスクの納入価格は1枚約130円で、約350万枚を納入した。「インターネット上では政権との癒着があったのではないかと書かれるが、あったらもっと高い値段で売っている」と強調した。

出典:共同通信

「もともとは、福島県や山形県につてがあって、そこにベトナム製のマスクを用意してほしいと頼まれた。その準備をしていたら、『国が一括で集めることになった』と言われたので、そちらにシフトしてスペック表やサンプルを提出し、受注する流れになった。国側も、いろいろな所に声をかけていたみたいですが…」

出典:デイリースポーツ

突然決まった「アベノマスク」の配布。

経産省のマスク専従班が血眼になってかき集めたとすれば、ありえない話ではない。

ただ、樋山社長が同意していたにも関わらず、どうして4社同時に発表しなかったのか大いに疑問が残るところである。

この政権は都合が悪いことは隠すという体質がある。信用がないのだ。

「ユースビオ」という社名が発表された瞬間から、ネット上ではこの会社について一斉捜査が始まった。

それを眺めてみると、この会社が設立されたのは2017年8月。まだ新しい会社だ。会社の住所地をGoogleストリートヴューで見ると、小さな会社が入居した平屋の建物が映し出された。国の業務を請け負うにしては、あまりにシャビーな会社で、おまけに入り口に公明党のポスターが貼ってあるとして、ネット上には改めて「怪しい」「ダミー会社」「公明党がらみ」などの憶測が飛び交った。

さらに、樋山社長は「公明党員であることを認めている」「2018年に3000万円ほどの脱税容疑で懲役1年6月、執行猶予3年の判決を受けている」といった情報も流れ、このあたりが政府に公表を躊躇わせた原因かもしれない。

アベノマスクの他の受注企業を見てみると、伊藤忠商事は大手の商社、興和はバンテリンでもおなじみの医療品も扱う会社、マツオカコーポレーションはユニクロ製品などを手がける広島の大手アパレルメーカーだ。いずれも東証一部上場の大企業。なぜ福島の小さな個人業者が4億円もの受注を獲得できたのか、疑問は残るところではある。

ついでに言えば、介護施設用のアベノマスクを発注していたとして5社目の名前も公表された。

「横井定」という名古屋の会社だ。

この横井定という会社は「日本マスク」というブランドでもともとマスクを製造している会社だということで、まずは問題はないと考えられる。

Embed from Getty Images

「アベノマスク」の配布が決定した際、私はメディアをチェックしながらずっと疑問に感じていたのが「どこに発注したのか?」という疑問だった。

テレビを見ていても、布マスクの効用を問題にしたり、政策の優先順位の話はするのだが、どこの企業が作るのかという私の疑問にはちっとも答えてくれなかった。

このあたり、やはり野党の役割はあって、社民党の福島瑞穂さんや立憲民主党の蓮舫さんがこの点を政府に質してくれた。その結果、福島さんの元に厚労省から回答があり、先の3社が公表された。しかし、これが新たな疑惑を呼ぶ。

残りの1社はどこなのか?

466億円と言われていたアベノマスクの予算のうち、3社の受注額が90億円なら残りの金額は何に使われるのか?

そして昨日、福島さんの元に残りの社名が伝えられた。残り1社だと思っていたら、2社あったのだ。

どうして、こんなことが起きるのか理解できない。

緊急事態とはいえ、東日本大震災のようにライフラインが断絶していたり、放射能で現場が確認できないというようなデータの共有が不可能な状態ではない。

アベノマスクについては、経産省の担当者が自分で発注したものなのだから、どこの会社に何枚、いくらで発注し、配布のためにいくらかかるのか、当然担当者の手元に資料があるはずである。

担当者は霞が関の官僚であり、すぐ確認できる話がどうして混乱するのか、どう考えても不自然なのだ。

もし単なる能力の欠如が原因だとしても、こうした発表をしていたら、誰だって怪しいと思うだろう。

この政権にはたくさんの前科がある。

公文書やデータの公表については、ただでさえ疑いの目が向けられるのだ。

反安倍のネットサイト「リテラ」には、アベノマスクの発案者は安倍総理自身だったのではと書かれていた。

「『週刊新潮』と『週刊文春』が同時に、この『アベノマスク』の発案者は経産省出身で今井尚哉首相補佐官の子飼いである佐伯耕三首相秘書官だと報じたが、実際はそうじゃなく安倍首相自身の発案。どこからか『布マスクなら早くつくれる』という話を聞いてきて、配布案を今井首相補佐官と佐伯首相秘書官に漏らし、2人が『それはすばらしい』とヨイショして具体的なスキームをつくり上げたらしい。佐伯説は内調が安倍首相の擁護のために流した記事じゃないのかな」(全国紙政治部記者)

出典:LITERA「アベノマスク大量不良品の原因は安倍首相! 厚労省が品質懸念も官邸が「首相案件だから早く」と命令、医療品でない東南アジア製マスクに」

この話の真偽は、私には判断できない。

また「ユースビオ」がらみの疑惑があるのかないのかも、現段階では判断がつかない。

さらに、アベノマスクという政策の愚については、ここではあえて論じるつもりもない。

ただ、アベノマスクの配布予算466億円の内訳については、きちんとした説明を求めたい。

「緊急事態」という一言で、不透明な金の流れを見逃すことはあってはならない。

それでは、店や職を失う多くの人が浮かばれないだろう。

野党とメディアには、本来の仕事をしっかりしてもらいたいものだ。

コメントを残す