フォーブスの電子版に、こんな記事が出ていた。
『プラダ、中国での売上低迷で株急落 高級市場に「冷たい風」」
香港株式市場に上場しているプラダの株価が3月18日に11%も急落したという記事だ。「香港とマカオを訪れる中国人観光客が、人民元安を理由に支出を抑えている点に起因している」と急落の原因が分析されていた。
ファッションにあまり興味のない私が、こんな記事が気になったのには訳がある。
数日前、バーバリー・ジャパンの社長さんのセミナーを聞く機会があったためだ。普段まったく接点のない情報だけに、私にはとても面白かった。
バーバリーの小田切社長は、伊勢丹を振り出しに、バーニーズ、エストネーション、バナナリパブリック、セリーヌを経て、バーバリーの日本代表に就任した。世界のラグジュアリーブランドを知り尽くす人物だ。
小田切さんは、ラグジュアリーを「特別に選りすぐられたもの」と定義する。
このラグジュアリー業界が今注目しているのは、ミレニアル世代と中国だと断言する。
ミレニアル世代とは現在16歳から30歳の世代で、2024年にはミレニアル世代がラグジュアリー市場の半分を担うと予想する。そして「チャイニーズパスポート」、すなわち中国人客の比率もどんどん伸びていて世界の46%になるだろうと考えている。
中国人の消費行動にも変化が現れている。
現在は中国人のブランド品購入は海外旅行先が中心だが、今後は中国国内での購入が大きく伸びると予想している。確かに中国各地に巨大なショッピングモールが整備され、どこに行ってもラグジュアリーブランドの店が入っている。
その反面、中国以外のマーケットは今後ほとんど伸びないと考えていて、これまでは対前年比を意識して売り上げを伸ばしてきたラグジュアリー業界も、今後は限られたパイを奪い合う「マーケットシェアの時代」になると予想している。
業界の行方は、チャイニーズパスポートのミレニアル世代の消費行動にかかっていると小田切社長は断言する。そのため有名ブランドはこぞって中国人の店員確保を進めてきたが、今後は優秀な中国人マネージャーを育成することこそが重要になると考えている。
小田切さんは新人研修などで「55%攻撃論」という話をよくするという。日本人は新しいことに慎重でなかなか踏み出せないが、55%の勝算があればやってみようとチャレンジを促す意味でこの話をしてきたそうだ。ところが、この話を中国人の研修でしたところ、55%の勝算があって始めるのは当たり前で、45%の勝算でも成功するにはどうするかが大事だろうという反応が返ってきて驚いたという。
中国人は45%の勝算でもチャレンジする。日本人もせめて50%の勝算があればチャレンジしてほしいと語ってセミナーを締めた。
『世界全体のラグジュアリー市場は1兆ドル(約110兆6700億円)と推定されており、そのうちの30%を中国が占めている。従って、中国の消費が停滞すれば、その影響は相当なものになるだろう。』
フォーブスの記事も、中国の影響の大きさを指摘していた。陰りが見え始めた中国経済。ラグジュアリー市場の変化は、その一つの現れなのだろう。
中国経済のカギを握る米中貿易交渉がどうなるか?
そろそろ山場だ。
高級ブランド業界も、その行方を固唾を飲んで見守っている。