不眠症の妻を残して一人の岡山帰省。
今回は自炊に挑戦することにした。
学生時代にはそれなりに自炊もしていたのだが、卒業後すぐに結婚してからというもの、料理はすべて妻まかせでここまで生きてきてしまった。
しかし、いざやってみるとこれが結構面白い。
スーパーで妻が決して買わないような食材やインスタント食品をカゴに入れ、畑で採れた新タマネギも使って、滞在中無駄が出ないように献立を考える。
そんな私の自炊生活を記録してみた。
イカと卵の炒め物

帰省して最初にスーパーで買ったのは「やわらかイカ ねぎ塩」。
なぜこれに目が止まったのか自分でもよくわからないが、おそらく「ねぎ塩」というワードに引っかかったのだろう。

同じ日にスーパーで買った卵とピーマン、きざみ葱を一緒に炒めて、初日のおかずは「イカと卵の炒め物」。
冷凍庫に眠っていたご飯を温めて、この日スーパーで買ってきた沢庵と鰹の佃煮を添えて簡単な晩ごはんの出来上がりだ。
思い返せば、学生時代も炒め物が多かったなあ。
これならレシピを見なくても適当に材料を放り込めば食べられる。
スンドゥブチゲ
イカと同じ日に私の目に止まったのが「スンドゥブチゲ」のパッケージだった。
アサリと豆腐を入れるだけで簡単にチゲが食べられるインスタント食品で、妻が絶対に買わない食材だ。

アサリは塩水に浸けて塩抜きし、絹豆腐と豚肉、エノキダケ、きざみ葱を加え、チゲの素を加えれば出来上がり。
これまた簡単、それでいて結構美味しかった。
妻が使わないインスタント食品だが、これはこれで役に立つ。
ボンゴレビアンコ
チゲに使うだけだとアサリが余ると判断し、翌日は「ボンゴレ」を作ろうと決め、スパゲッティーを買った。
「ボンゴレ」ってどうやって作るんだろうとレシピを調べると、白ワインやニンニクが必要と書いてある。
ここでちょっと考えた。
ワインやニンニクを買っても滞在中に使い切らず無駄になるかもしれないではないか。

そこで閃いたのが再びインスタント食品。
探すと案の定、「ボンゴレビアンコ」のパスタソースが売られていて、裏をチェックすると白ワインもニンニクも入っていると書いてある。
おお、これこれ。
デリケートな妻は絶対に買わないものだが、私は鈍感なのでこれで十分だ。

ただニンニクは何かと利用価値が高いので、チューブのニンニクを買ってきた。
これは日持ちもするし、いろんな料理に使えそうだ。

そうして作ったこの日のメニューがこちら。
インスタントのパスタソースにアサリときざみ葱を加えた「ボンゴレビアンコ」。
チゲに使った豚肉を、エノキダケときざみ葱と一緒にニンニクで焼いた「豚肉炒め」。
そしてボンゴレに使ったアサリの茹で汁に豆腐を加えて作った味噌汁。

味は全体にまずまず、特に味噌汁はとても美味しくできた。
しかしそれよりも、残りものをうまく使い切ったという充実感が私を満足させた。
新タマネギとトマトのポークカレー

自分の畑からタマネギを収穫してきてからは、タマネギを使った料理を考えることが主になった。
タマネギといえば、まずはカレーだろう。
多めに作っておけば、何日かこれで食いつなぐことができると考えた。

新タマネギを切ると、この日の朝まで畑に埋まっていただけあってとても瑞々しい。

このタマネギを飴色になるまでフライパンで炒める。
どんどんカサが減っていくが、きっとこれで美味しいカレーができると信じて、かなり入念にタマネギを炒めた。

カレーのルーは妻がいつも買うものではなく、「本挽きカレー」というのを選んだ。
短い時間でカレーができるという謳い文句に釣られたのだ。
肉とタマネギを炒めてこのカレーパウダーを加えれば5分でカレーができると書いてある。

肉は、豚肉のブロックと薄切りの2種類を使った。
さらに肉とタマネギだけでは物足りないと思い、ジャガイモとトマトを加え、ソースとケチャップで酸味も足すことにした。
新鮮なタマネギをあれだけじっくり炒めたのだ、きっと美味いはずと思ったのだが・・・

食べてみると思いのほかコクがない。
これは、何がダメだったのか?
いつもと違うルーのせいなのか、新タマネギで水分が多すぎたのか、トマトから水分が出てしまったからか?
おまけにジャガイモが半煮えで硬く、初めて自分で炊いたご飯も水の量が多かったようでちょっとベチャベチャでカレーには合わなかった。
結構気合を入れて作っただけにかなりガッカリ。

それでも、ママレードを加えて甘味を足し、牛乳も加えてジャガイモが柔らかくなるまで煮込んだので、翌日からは格段に美味しくなった。
やはりカレーはいろんな野菜を入れてしっかり煮込んだほうが自然の旨味が味わえるのだと思う。
新タマネギのかき揚げ

次の日も新タマネギを使った料理に挑戦。
この日は「かき揚げ」を作ると決めていた。

いろんなレシピ動画を見て、いいところどりして自分なりのかき揚げを作ってみようと考えた。
タマネギだけでもいいのだが、紅しょうがを足すと美味しいと紹介するサイトもあり、私も余っていた沢庵を刻んで加えてみることにする。
さらにシーチキンときざみ葱も加え、薄力粉を全体にまぶす。
新タマネギは水分が多いので、水も小麦粉もなるべく少なくしようと思った。

フライパンに油を少なめに入れて揚げ始める。
自分ひとりで揚げ物をするのは学生時代以来だ。
ポテトコロッケを作ろうと思ってバラバラになった苦い思い出もある。
果たして今回はどうなるか?

片面がきつね色になり裏返す時、タマネギが崩れた。
やっぱり粉が足りなかったか。
とはいえ、白いタマネギがこんがり色づく様子は美味しそうだ。

結局、固まりきらず「かき揚げ」というよりも「アヒージョ」のようになってしまった。
油を切る余裕もなくフランパンの中でバラバラになったタマネギをすくい上げお皿に並べる。

それでも塩をふってビールと一緒に食べると、味は悪くなかった。
自分で作った野菜を食べるのに、天ぷらというのは外せない調理法だ。
「新タマネギのかき揚げ」はぜひもう一度リベンジしたい一品である。

かき揚げに使ったタマネギとシーチキンに、トマトときゅうりを足してサラダを作る。
やはり新タマネギの「オニオンスライス」は間違いない。

鰹節をまぶして和風ドレッシン。
新鮮なタマネギの美味しさを丸ごと味わうにはやはり「オニオンスライス」が最高だ。
「かき揚げ」の油っこさをサラダの甘みが洗い流してくれる。
卵焼き

岡山を去る前の最後のゴミの日。
残っていた卵3つを使って卵焼きを作ってみることに。
伯母の家にあった卵焼き器に甘く味付けした溶き卵を流し込み、くるくる巻きながら何回かに分けて焼いていく。

巻く時に少し形が崩れたが、まあまあ美味しくできた。
ハムときゅうりを挟んだフォカッチャサンドと一緒にちょっと洋風の朝ごはん。
これはこれで美味しかった。
カレーうどん

この日のランチは、うどんとカレー。
うどんは子供の頃から慣れ親しんだ「飛竜の釜あげうどん」である。
「飛竜」は昭和16年創業の岡山の製麺業者で、手軽に作れるこのインスタントのうどんは受験生の頃に自分で作ってよく食べていた思い出の味だ。
関西風の出汁が大好きなので、まずはうどんとカレーを別々に食べる。

そして残り少しになったところで、うどんの中にカレーを入れてみた。
飛竜うどんを使った「カレーうどん」。
うん、これも悪くない。
うどんの出汁とカレーの味が合わさって、いい感じのカレーうどんが出来上がった。

こうして1週間あまりの自炊生活は無事に終了した。
作ったこともない料理に挑戦するのは案外面白い。
主婦のように仕事として毎日家族のために料理をするのはマンネリになるかもしれないが、ほとんどやってこなかった私にとっては新鮮な体験といえる。

そしてスーパーを見て回ると、手軽に料理するための様々な食材が用意されていることも知った。
これならば妻が岡山に同行できなくても一人で食べるのに困ることはなさそうだ。
決まった期間で有効に食材を使い切るという献立づくりは、サラリーマン生活を続けてきた男心をくすぐる目的のはっきりしたミッションとも言えるだろう。
妻がもし病に倒れても、代わりに食べるものを作ってあげる自身も少しついた気がする。
たまには一人の岡山に来て、自分で作った野菜を美味しく料理するというのは隠居暮らしの大切なチャレンジとなりそうだ。
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