<吉祥寺グルメ>「中清」の「生粉打ち鴨せいろ」

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今年の梅雨は、本格的な梅雨だ。

ほとんど毎日、曇りか雨で、太陽はほとんど顔を出さない。

今日も朝から雨が降り続いている。

でも歳のせいか、私も妻も近頃、雨が大好きで、梅雨空の井の頭公園をいつも気持ちよく眺めている。

ずっと家に閉じこもっているのも体に悪いので、長靴を履いてお昼ご飯を食べに出かけた。

住宅街の中を歩くと、庭の草花が雨に濡れ一段と美しい。

植物には雨が一番似合う。

雨の日にわざわざ遠くまで歩いて、久しぶりに成蹊大学の方までやって来た。

お目当ては、手打ちそばの「中清(なかせい)」

大正12年創業のこの界隈では滅多にない老舗だ。

「そばもおつゆも自家製です」

こんな木札が店の正面に置いてあるのに、今日初めて気づいた。

いつも満席で待たされる人気店だが、こんな雨の日は狙い目だ。

私たちが入った時には、珍しく先客は3組だけ。

中央の席に座った中国人の2人組が、自動翻訳の機械を使って、女将さんにいろいろ質問している。そばの種類だとか、日本酒の銘柄について細かく聞いていて、女将さんが日本語と英語で必死に対応しているのが微笑ましかった。

それにしても、こんな駅から離れた店にやってくるとは、中国人の情報収集能力は凄まじいものがある。

この店は、そばだけでなく、日本酒やつまみが豊富で魅力的なのだ。

純和風のおそば屋さんだが、流れているのはスローなジャズボーカル。

雨の日曜日にふさわしい。

ケチな妻は、「きつね丼」(730円)に目をつけた。

「きつね丼」?

一体、どんなものだろう?

きつねそばのそばがご飯に変わったような丼を想像していた。

ところが、運ばれてきたのは、玉子丼のようなものだった。

小ぶりなかけそばも付いている。

どこが「きつね丼」なのかと女将さんに聞くと、中に刻んだおあげが入っているという。

玉子をほじくると、確かにおあげが出てきた。

しかもタレがよくしみていて、めちゃめちゃ美味しい。

普段、丼ものをあまり食べない妻が一人でペロッと平らげてしまった。これはレシピも簡単そうなので、我が家の食卓にも登場するかもしれない。

お漬物も、奇を衒わず、普通に美味しい。

セットのかけそばは、妻がいらないというので、私がいただいた。

つゆは濃いめの味付けで私好みだ。

ただ、私が注文したお蕎麦の後で食べたので、相対的に美味しさが半減した。

それほど、私の注文した蕎麦は美味であった。

私が選んだのは「生粉打ち鴨せいろ」(1220円)。

「生粉」と書いて「きこ」と読む。

「生粉打ち」とは、つなぎを使わずそば粉だけでそばを打つこと。「そば粉100%」という意味だ。

お店のメニューには、こんな説明が添えられていた。

『 常陸秋そば」は昭和53年茨城県久慈郡金砂郷村の在来種から選抜し、穀粒の不良形質を淘汰しながら育成され、異形粒がなく粒揃や品質も良く、特にそば特有の香り、風味、甘みがあり、昭和60年に県の奨励品種として採用しました。現在県内各地に作付けされており、全国の有名そば職人から高い評価を受け「日本一」と呼び声もあるほどです。

その他、北海道、長野、福井、山形など産地別にて打ち分けています。上記のそばは微粒ですが粗挽きそばもございます。他に生粉打ちあつもりがあります。』

「鴨せいろ」(1020円)もあったが、そば通でない私には違いがわからない。でも、どうしても「生粉打ち」を食べたいと思った。

そして、それは正解だったようだ。

細かいことはわからないが、とにかく美味い。普通の「鴨せいろ」のそばがどんなものかは比較できないが、生粉打ちのそばは間違いなく美味しかった。

そして鴨のたっぷり入ったつけ汁は絶品だ。

少なくとも、私の好みにはドンピシャで決まった。

鴨肉とネギがたっぷり入っていて、それを引き立てる甘辛いつゆも味がしっかりしている。

そばとの相性も最高だ。

小皿が一つ付いている。

「鴨せいろ」も美味しかったが、「きつね丼」も美味かった。

壁には、全国の日本酒の名前が並ぶ。

次回は、日本酒とおつまみを頼もう。妻はお酒が飲めないので、誰か酒を飲む人を誘って夜に来たいものだ。

何を頼んでも、美味しい気がする。

食べログ評価3.67、私の評価は4.50。

「中清(なかせい)」
電話:0422-21-2891
営業時間
木~火 11:30~22:00
日曜営業
定休日:水曜日

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