(注意)この店はすでに閉店しました。
吉祥寺駅を降りて井の頭公園へ向かう途中に「吉祥寺じぞうビル」という一風変わったビルがある。
一階に台湾スイーツやかき氷屋さんなどが入り、2階から豚と羊がのぞいている。
人通りの多い七井橋通りから一本入っているので、意外に静かな場所だ。
「じぞうビル」の名前通り、建物の1階にはお地蔵様がいる。
「吉祥寺御縁地蔵」と呼ばれるこのお地蔵様、女の子たちに人気がある。
私たちが訪れた時にも1組の女子がお参りしていた。
『此のお地蔵様は恋愛成就、縁結びで有名な幸福地蔵がある京都の鈴虫寺様(妙徳山 華厳寺)の僧侶より開眼供養して頂き、地域の皆様と共に建立しました。
愛する吉祥寺の街から、人と人を繋ぎ笑顔の輪を広げたいという想いがこもったお地蔵様です。
素敵な御縁は笑顔から。笑顔は心の扉を開く鍵。此の御縁地蔵のように純真無垢な笑顔で手を合わせればきっと素晴らしい御縁を結んでくれるでしょう。』
どうやら建立されたのは、平成25年。数年前のことらしい。
このお地蔵様にはお参りの作法があるようだ。
『御賽銭を入れて紅白の組紐を一本お取り下さい。その組紐をお地蔵様の杓杖から垂れる太い紐にしっかりと二重に結んで、お地蔵様のような素敵でとびきりの笑顔で縁結びのお願い事をして下さい。名前と住所をお伝えするのもお忘れなく。』
ということで、お地蔵様の杓杖はすでにびっしりと紅白の組紐で埋め尽くされていた。
いつの時代も、女子という生き物は縁結びというワードに滅法弱いようだ。
お地蔵様の脇には絵馬と大量の組紐・・・
お地蔵様の目の前には、おみくじとお守り。
しかもガチャで売られている。そして、その後ろに貼られたポスターに注目。
この秋から放送されているテレビアニメ「蒼天の拳 REGENESIS」のポスターだ。
実はこの「吉祥寺じぞうビル」を運営する「株式会社じぞう屋」という会社は、「週間少年ジャンプ」の5代目編集長を務めた堀江信彦氏が、「北斗の拳」の原哲夫さんや「シティーハンター」の北条司さんなどの人気漫画家と一緒に作った会社なのだ。
だから、「吉祥寺じぞうビル」の中には飲食店の他に「月刊コミックゼノン」の編集部やアニメ作品を制作する会社も入居している。ビル全体が漫画の殿堂なのだ。
ちょっと前置きが長くなってしまったが、この吉祥寺御縁地蔵の通路の先にあるエレベーターを6階に上がった所に、本日お目当のお店があるのだ。
エレベーターの扉が開くと、そこはもうお洒落なカフェだ。
お店のサイトには、「井の頭公園を見下ろすカフェ&薬膳酒ダイニングバー」と紹介されている。
確かに、この店の最大の売りは、井の頭公園を望む絶景のテラスだ。
11時の開店と同時に入店した私たちは、しばしこの絶景テラスを独占する。
お店のサイトなどではテントの屋根がなくもっとオープンな写真が使われているが、今はテントの屋根が常設されていて、冬場には透明なビニールシートでテラス全体を覆う構造に変えたようだ。
直射日光や強い風、冬の寒さからお客さんを守り、通年でテラスを利用できるようにしたのだろう。昔のような開放感はなくなったが、ゆっくり食事をするならこの方が客の方もありがたい。
ビルの南側には低層の住宅が並ぶだけで、遮るものもなく井の頭公園の緑を間近に望むことができる。
そして快晴の今日は、遠くに富士山も綺麗に見える。
冬場は吉祥寺からも富士山がくっきり見えるが、暖かな季節には晴れていても霞んでなかなか見えないものだ。今日は、そういう意味では最高の「ソラ ZENON」日和りと言えるだろう。
さて、このお店には1000円のランチセットがある。
前菜、サラダ、スープは共通で、メインとドリンクを選ぶ。
メインは4種類で、サラダ系、ご飯系、パスタ系、パン系をベースにその時々でメニューは変わるらしい。私はご飯系、妻はパン系を選んだ。
ドリンクは7種類、2人ともホットコーヒーを注文した。
今日突然、厨房が壊れたということで、店員さんはちょっとバタバタしていたが、対応は感じよく、こちらも時間に余裕があるのでテラス席でゆっくりと待つ。
まず、運ばれてきたのは、サラダと小さなジュース。
このジュースは「本日のミクソロジージュース」というもののようで、今日は「みかん×トマト×ローズマリー」。風邪予防効果と美肌効果とアンチエイジング効果があると書かれていた。やはりこの店の狙いは、御縁地蔵に詣でた女子たちのようだ。
続いては、前菜とスープ。
今日の前菜は、「ツナとブラックオリーブのカナッペ」と「ローズマリーを使ったキャロットラペ」だった。
ここまでは、まあ可もなく不可もなく。普通のカフェランチという感じだ。
このタイミングで、ホットコーヒー登場。これにはちょっと理由がある。
厨房が突然壊れたため料理を作るのに30分ほど時間がかかるというので、先にコーヒーをもらうことにしたのだが、挽きたてのコーヒーを淹れるのにも少し時間がかかり、その間に料理の方が思ったより早く出てきたということだ。
ガラスのカップに入ったホットコーヒーはちょっと珍しい。
ミルクを入れると、ベトナムコーヒーのような美味しそうなビジュアルに変わった。
そしていよいよメイン登場。
私が注文したのは、ご飯系のBランチ「復活‼︎ オリジナルシシリアンライス」。
『STAFFの中でも大人気のシシリアンライスが復活です‼︎ 佐賀県のB級グルメ生姜焼き丼をソラZENON風にアレンジ◎』との説明書きが・・。
これが想像以上に美味い。
甘辛い生姜焼きとアボガドやトマト、レタス、コーンなどの野菜に、ゆで卵とマヨネーズ。これらがご飯の上に乗っているのだが、これが本当に私好みだったのだ。
個人的には、久々のホームランだ。
このお店、料理は正直まったく期待していなかった。
「どうせ、井の頭公園を望むロケーションを売りにしているだけの料理は二の次的なお店だろう」と勝手に思っていた。
これが見事に裏切られたのだ。
妻はパン系のDランチ「きのこたっぷりホワイトソースのハンバーググリル」を注文。
説明書きは『たっぷり120gのジューシーなハンバーグに特製のきのこホワイトソースをたっぷりかけました』
このハンバーグもとても私好みの味だった。
ホワイトソースがあっさりしていて、ハンバーグそのものも肉の味がしっかりしている。
妻も満足したらしく、ロケーションだけでなく料理にも満足できるお店として、予想外の高評価となった。この店は、誰か連れてきてもいいと思える我が家オススメの店に仲間入りだ。
気を良くして食後のお茶を追加で注文した。
ちょうど今月は「吉祥寺ねこ祭り」ということで、この店でもコラボメニューを作っていた。
注文したのは「子ネコもぐっすり 『またたび』とカモミールのティーラテ」(790円)。
写真とは違い、子ネコはスプーンの上に乗って登場した。
マシュマロでできた白い子ネコを、ココアパウダーが表面を覆ったティーラテに浮かべる。
どうせなら、もう少し子ネコがカワイイ方がいいとは思うが、女の子たちには喜ばれそうだ。
カップの淵からお茶を飲む。
マシュマロの子ネコが、口元に近づいてくる。
カモミールとミルクのやさしい味。お砂糖は入っていないが、とても穏やかな味がする。
「ソラZENON」のパノラマテラスでいただく美味しいランチ。
北風も遮られた暖かなテラスで、とても幸せな時間を過ごせた。
食べログ評価3.23、私の評価は4.00。