昨夜はちょっとセレブな体験をした。日本を取材に来たカンボジアのテレビ局クルーと会うため、高輪のホテルで開かれた桂由美さんのブライダルショーに行ったのだ。

東京でも滅多にお目にかからないようなパーティードレスを身にまとったセレブたちが次々に集まってくる。カンボジアの若者たちがこの光景を見て何を感じたのか、ちょっと興味が湧いた。

ブライダルデザイナーの大御所、桂由美さんにもインタビュー。高齢化が進む日本と違い、アジアの国々には若者が多い。ブライダルビジネスは、アジアの方が将来性があるともいえる。
ディナー付きのショーは1人3万5000円だそうだ。日本にもセレブがたくさんいるんだなあと、カンボジア人同様、ちょっと驚いた夜だった。

そんな体験をした翌朝、NHKニュースで興味深いリポートを見た。世界のセレブが愛するウィンナ・ワルツの話だ。
きのう2月15日は、ヨハン・シュトラウスの名曲「美しく青きドナウ」がウィーンで初演されてちょうど150年にあたる記念日だったそうだ。ウィーンの新年を飾るニューイヤーコンサートで毎年必ず演奏されるウィンナ・ワルツの代名詞ともいえるこの曲。もともとは合唱曲だったのだという。初めて知った。
このワルツの名曲が合唱曲だったというだけでも驚きだが、その歌詞が優美なタイトルとは、まったくかけ離れた中身なのにも驚く。
その歌詞をウィキペディアから書き写しておく。
ウィーンっ子よ、陽気にやろうぜ!
おう、どうして?
見回してみろよ!
だから、どうして?
ほら、ほのかな光だ
そんなもの、見えないぜ!
ほら、謝肉祭さ!
ああ、そうだった!
ご時世なんて気にするな…
こんな、時世なんざ!
悲しんだって、どうしようもないさ
そうだな、その通りよ!
苦しんだって、悩んだって、
何の役にも立ちゃしない
だから、楽しく愉快にいこうぜ!
どうだろう。この能天気な歌詞。どこにも優美さなど感じられないではないか。
このワルツが作曲された頃、オーストリアはプロイセンとの戦争に負け、コレラが流行し、国民は暗い気持ちの中にあったそうだ。そんな国民に元気を与えるためこの曲は書かれたのだ。まず最初に歌詞があった。「美しく青きドナウ」という曲名は、初演の直前に後からつけられたものだったのだ。
NHKのリポートでは、ウィーンから見るドナウ川は、美しくもなく、青くもない、と紹介されていた。事実、ウィーンあたりでは、ドナウ川は茶色く濁っているのだという。
オーストリアが「第二の国歌」として大事にしてきたこのワルツには、オーストリアらしくない、どちらかと言えばイタリア的な陽気な歌詞がついていた。移民問題に揺れ、分断が進むヨーロッパで、このワルツに込められたメッセージが時を隔てて響いていると、NHKのリポートをまとめていた。
いつの時代もいろいろ問題はある。ポジティブシンキングで難題を乗り越えるのは、古今東西の庶民の知恵なのだろう。