野生との遭遇

カナダ旅行4日目。なかなか時差ボケも治らないので、この日は少しゆっくりすることにしました。

ケイブ&ベイスン。
1883年、3人の鉄道従業員が発見した洞窟とそこに湧く源泉から、パンフの街は発展しました。
ケイブ&ベイスンは文字通り、バンフ発祥の地です。

トンネル山からバンフの街におり、このかつての温泉跡にさしかかった時でした。

道路の先に数頭の鹿を見つけました。
周囲は、針葉樹の深い森。
道端で観光客らしき親子が鹿を撮影しています。

私も急いで車を止め、手元に置いてあったカメラを構えます。
しかし大きな角を持ったオス鹿はさっと森の中に姿を隠し、見えなくなってしまいました。

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驚かさないように、ゆっくり車で近づいてみます。

いた!!

大きな角を持つエルクです。

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道路脇の低木の葉を一生懸命食べています。
角のないメスのエルクも2頭近くにいるのが確認できます。

エルクという英語名は、ちょっと複雑です。
北アメリカでエルクというと、日本名ではアメリカアカシカ。
ところがヨーロッパでエルクというと、日本名のヘラジカ、別の鹿です。
私が出会ったのは、アメリカアカシカの方のエルクです。

鹿のなかまで一番大きいのがヘラジカ、2番目がアメリカアカシカです。
昔、ヨーロッパから来た探検家が、大きなアメリカアカシカをヘラジカと間違えてエルクと呼んだのが混乱のもとだったと本に書いてありました。
先住民のインディアンの部族では、オスのエルクを、力、勇気、精力、性愛の象徴と見なしたといいます。確かに、近くで見ると大きくて堂々としています。

オスの近くに車を寄せ、車内からカメラで狙います。
その距離、わずか10メートルほどです。

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エルクは私に一瞥をくれることもなく、黙々の食事を続けます。

カナダでは野生動物たちが人をまったく恐れません。
人を見ても逃げないのです。

なんだか、学生時代に旅したガラパゴス諸島のことを思い出しました。

南米エクアドルの沖合に浮かぶガラパゴス諸島。

そこはご存知の通り、ゾウガメやイグアナ、アシカやペンギンなど、珍しい動物たちが暮らす、ダーウィンの進化論でも有名な、地上の楽園です。
人の立ち入りが厳しく管理され、動物たちは厳重に保護されています。

そこで暮らす動物たちは人を恐れません。
海で泳いでいると、イルカやアシカがじゃれるように寄ってきます。
イグアナたちは、カメラのレンズを10センチほどに近づけて撮影しても、じっとして動きません。

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カナディアン・ロッキーの動物たちには、同じ匂いを感じます。
エルクは黙々と草を食べています。
とても、やさしい目です。

道路はここから先、行き止まりになっていて、ケイブ&ベイスンの開場時間前には、ほとんど誰もやってきません。
実際、今この鹿の近くにいるのは私ひとりです。

安心しきってゆったりとした朝を楽しむエルク。
きっと彼らは、地元の人々に大切にされ、手厚く保護されているのでしょう。

忘れることのできない素敵な朝でした。

 

このカナダ旅行の詳細は「夫婦旅行はコンドミニアム〜カナダ2016」に書きました。ご興味があれば、こちらからご覧ください。

 

<参考情報>

私がよく利用する予約サイトのリンクを貼っておきます。

 

 

 

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