ランチ

最近の若者はランチのために外出することが少ない気がする。

今の職場がそうなのかもしれないが、昼の時間もみんな連れ立ってお昼を食べにいく姿をほとんど見ない。行くのはおじさんとちょっと年上のOLさんたちだけだ。

気がつくと私も昼食はコンビニということも少なくない。それはそれで安くて美味しいので、特に不満はない。

ほとんどのスタッフがパソコンに向かって仕事をしていて、それぞれのペースで働いている。「お昼休み」という概念があまりなくなってしまったのかもしれない。

そんな中、ウォール・ストリート・ジャーナルにこんな記事が出ていた。

『「外でランチ」はもう古い? レストランは閑古鳥』。引用させていただく。

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『 米国のレストラン業界が悲鳴を上げている。ランチの習慣が変わったせいだ。

市場調査会社NPDグループによると、昨年は米国民が昼食時間に外食する回数が4億3300万回減少し、レストラン業界は約32億ドルの機会損失を被った。ランチの外食回数は少なくとも40年ぶりの低水準だった。

2015年に比べれば2%の減少にとどまるが、ランチ需要に頼りながらもこの10年成長がほとんど止まっている外食業界にとって、この落ち込みはかなり痛い。

営業に携わっているジム・パークスさん(55歳)は、レストランでのランチがファクス機や公衆電話と同じようにすたれていくだろうと語る。以前はほぼ毎日ランチに外食していたが、ここ数年は時間的に余裕がないという。

パークスさんと同様、今では米労働者の多くが近くのレストランへ1時間も抜け出すことをぜいたくだと考えている。いわゆる「パワーランチ」でさえはやらなくなっている。

タイソンのトム・ヘイズ最高経営責任者(CEO)は「消費者は外食する代わりに、スーパーマーケットで生鮮食品を買って家で食べている」と語った。

レストランでのランチの平均価格はリセッション(景気後退)以降に19.5%上昇し、7.59ドル(約842円)に達している。食材価格が下落しているにもかかわらず、人件費の上昇が値上げにつながった。米労働省労働統計局(BLS)によると、米国では昨年、食品価格の下落が約50年ぶりに最長記録を更新した。

消費者の行動に根本的な変化が生じていることも影響している。仕事の少なくとも一部を自宅でする人、つまり外食する機会が少ない人が増えている。BLSによれば、そうした人の割合は03年に19%だったが、15年には24%に達した。一方、ネット通販が伸び続けているということは、ショッピングモールに出向き、そこで昼食をとる回数が減っていることを意味する。』

アメリカ人も忙しくなっているようだ。

人々の行動パターンが変化し、嗜好も変わり、ネット通販の広がりが商売の世界を大きく変えつつある。

そういえば先日、アメリカのショッピングモールも苦境に陥りつつあるとの記事を読んだ。

日経新聞「“アマゾン現象”が映すREITの明暗」という記事を引用する。

『 米小売業界の先行きに改めて投資家の懸念が強まった。この日、2~4月期の決算を発表した宝飾大手のティファニーは、売上高が市場予想に届かず、既存店売上高は市場の増加予想に反して3%減少した。株価は一時、前日比約10%の急落に見舞われた。eコマースの普及に押されて軒並み業績不振に見舞われる服飾店や百貨店の将来が危ぶまれる状況はティファニーも例外ではない。

ティファニーのような小売店は、マンハッタン5番街の旗艦店のように単独で出店する場合以外は郊外のショッピングモールに入居する例が米国では一般的だ。ティファニーの店舗の1つがニュージャージー州リバーサイドのショッピングモールにある。このモールの所有者は不動産投資信託(REIT)大手サイモン・プロパティーズだ。同社はショッピングモールに投資するREITとしては最大手だ。

同社の株価が昨年8月につけた229ドルを高値に下げ止まる兆しが見えない。現在の株価は150ドル台と10カ月間で30%超下落した。昨年8月といえば百貨店大手メーシーズが100店舗を閉鎖すると発表したタイミングだ。さらに今年になって百貨店大手JCペニーも138店舗、シアーズ・ホールディングズも150店舗を閉鎖すると発表した。

メーシーズやシアーズなどの大手百貨店をアンカーテナントとして他の小売店を呼び込む方式でモールを経営するのが一般的なREITにとって、大手百貨店が店舗を閉鎖すれば家賃収入を通じて経営に直接打撃になる。株価の低迷はそうした懸念を反映した。

米REIT調査会社グリーン・ストリート・アドバイザーズによると、全米に広がるショッピングモールの不動産資産のおよそ8割はREITが所有している。同社はちょうど1年前に小売業界が閉鎖する店舗は800店と予測したが、現在ではその数を大きく上回る可能性があるとのリポートを最近発表した。

資産運用会社ラザード・アセット・マネジメントの調べによると、「リージョナル・モール」という分類のREITをまとめた株価は今年4月末までの1年間に17.2%下落した。その一方で同じREITでも「インダストリアル」という分類のREITは同時期に21.4%の大幅上昇となった。いわゆる倉庫REITだ。日本にも進出しているプロロジスはその代表例だ。

モールREITと倉庫REITの対照的な株価パフォーマンスは“アマゾン現象”を反映する。アマゾン・ドット・コムなどのeコマースの普及で、店舗で売る伝統的な小売業の売上げが減少する一方で、eコマースの商品の受注・発送を支えるインフラの要である倉庫の需要が急激に高まっているためだ。

アマゾンの株価はこの日、最高値を更新した。小売業界がアマゾンに対抗して店舗閉鎖によるコスト削減やネット販売強化などのビジネスモデルの変化を余儀なくされる中で、その小売業界を取り巻くインフラの1つである不動産市場も急激な変化に直面している。(ニューヨーク=伴百江)』

新旧の交代といえばそれまでだが、一般商店を駆逐した巨大ショッピングモールの時代はもう終わってしまうのか? あまりにスピードの速い変化は多くの悲劇を生むことになるだろう。

ネット社会の技術革新でどんどん便利になる一方で、消費者一人一人の行動の変化が、産業の大変革を生み出そうとしている。

1件のコメント 追加

  1. wildsum より:

    昼はスーパーで買ったパンを食べる習慣なので、ランチを外でなんて、まったく考えたことないですね。

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