<吉祥寺残日録>世界のコロナ感染者数1億人突破! なぜ中国は大量のPCR検査を実施できるのか? #210127

とうとう世界のコロナ感染者が1億人を超えた。

累計の死者は、215万人に達する。

感染者が最も多いのは相変わらずアメリカで2586万人、死者も43万人に達している。

2位はインドの1067万人、3位はブラジルで887万人、4位以下はロシア、イギリス、フランス、スペイン、イタリア、トルコ、ドイツ、コロンビア、アルゼンチン、メキシコと、ヨーロッパと中南米の国々が並ぶ。

アメリカやイギリス、EU諸国ではワクチン接種が始まっているが、早くもワクチンの供給が追いつかないという事態が起きている。

我が国はどうか?

昨日時点での感染者数の累計は36万8143人、死者数は5158人である。

菅総理は国会で陳謝した。

「必要な検査を必要なときに受けられる体制ができていないのは責任者として大変申し訳ない」

菅さんはこのところお疲れの様子だ。

喉の痛みがあって言葉がかすれるらしい。

「平成おじさん」小渕元総理のように、「令和おじさん」も総理在任中に死亡という良からぬ想像も頭をよぎる。

国中のみんながそれぞれの責任を果たしても克服できないコロナという病を前に、国のトップとしても無力感を感じるのだろう。

身内のはずの与党からは、無症状なのに優先的に入院したり、夜中まで銀座のクラブに出入りしたりする輩が後を絶たない。

頼みのワクチンだって、予定通りに日本に届くかわからない状況であり、仮に届いたとしても果たしてスムーズに接種ができるのかどうか、最後は現場の市町村の能力を信頼する他はない。

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コロナに振り回される世界の中にあって、中国の存在は際立っている。

発表された感染者数は8万9197人、死者数は4636人で武漢の都市封鎖が解除されて以降あまり増えていない。

中国の対策の中核をなすのが、徹底したPCR検査だ。

日本では、頑張って増やして未だに1日の検査数は6〜9万件程度。

それに対して中国では、数人の感染者が見つかっただけで周辺のエリアを封鎖して数百万単位の検査をやるという。

どうしてそんな違いがあるのだろうと以前から不思議に思っていたのだが、私の疑問を解消してくれるような記事を「人民網 日本語版」で見つけた。

屋内テニス場の中に設置された白いドーム型テント。

これは最近感染者が出た河北省の省都・石家荘市に急遽設けられた仮設のPCR検査場だという。

「火眼」実験室と呼ばれている。

「火眼」実験室は、中国の大手ゲノム解析企業「華大基因(BGI)」が運営するもので、去年6月の段階ですでに北京や武漢など中国国内16都市に設置され大規模なPCR検査を実施してきたという。

さらに華大基因の実験室は海外でも引っ張りだこで、世界17か国に累計58もの「火眼」実験室を運営した記事は紹介している。

石家荘市では今年に入り急遽設置されたが、設営はわずか1日で完了し、ここだけで1日最大100万回の検査が可能となるという。

40人の検査スタッフが石家荘に送り込まれ、現地スタッフを合わせて500人を超える態勢を組み、24時間二交代制で膨大な検査をこなしていく。

全自動の検査システムも完備して効率を上げると同時に、スタッフの感染リスクも減らす努力も怠らない。

注目すべきは、こうした検査を実施しているのが民間企業だという点だ。

日本政府はなぜかPCR検査に後ろ向きと思ってきたが、これだけの大規模検査を行う能力が日本にはないというのが実態ではないかと記事を読みながら感じた。

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第一次大戦後にアメリカが世界の超大国に躍り出たように、コロナパンデミックを通過した後の世界では、中国の存在感が一段と増すだろう。

「ものづくり大国」としての日本の劣化は、もはや誰の目にも明らかだ。

マスクも体温計もワクチンさえも、日本よりも中国の方が、早く安く、しかも品質の良いものを作り出す能力を持っている。

円高で企業がこぞって生産拠点を中国に移した結果、日本国内には世界最先端の技術力が無くなってしまったのだ。

さらに、病院の調整や感染者の追跡などを見ると、ITの活用や効率的な組織運営という面でも日本は中国よりも劣っていることが明らかになった。

まずはそのことを素直に認めた上で、中国とは違う日本流の戦略を練り直さなければならない。

菅政権は「グリーン&デジタル」を標榜しているが、野党やメディアからはもっとコロナ対策に予算を回せと批判されている。

しかし、将来世代のことを考えれば、「グリーン&デジタル」への投資は目先のコロナ対策以上に重要だと私は考えるのだが・・・。

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