一度緩んだ緊張はなかなか元には戻らない。
これまでとは次元の違う感染爆発が起きるかもしれないという専門家の懸念をよそに、政府も国民も反応が鈍い。
「勝負の3週間」が呼び掛けられ東京でも飲食店などの時短営業が始まったこの土曜日、テレビ朝日の報道によると、都内の人出はあまり減らなかったらしい。
昨日28日の午後10時台の人出は1週間前と比べて、新宿歌舞伎町で4.6%、銀座駅周辺で3.4%、新橋駅周辺が1.5%の減少、逆にお台場では24.5%、六本木周辺では4.1%の増加となったという。
では、吉祥寺はどうか?
街の様子を見に行こうかとも思ったが、面倒になってやめた。
私はこの土日、家から一歩も出ていない。
買い物に出掛けた妻によると、街はいつも通りの混雑だったという。
まあ、そうだろう。
みんな、自分が死ぬとは考えもしないものだ。
今日の東京の感染者数は、418人。
日曜日としてはかなり多い。
紅葉シーズンもピークを過ぎ、天気もあまり良くないので、井の頭公園を訪れる人は少し減ったようにも見える。
逆に、クリスマスイルミネーションが始まったエリアでは夜の人出が増えているという。
人間は自分に都合の良いように物事を考えようとする生き物だ。
菅総理は「GO TO トラベル」をなるべく続けたいと考え、医療関係者はなるべく通常態勢で病院を維持したいと願い、おしゃべり好きなおばさんは自分は友達と会食しても大丈夫だと信じ、私は自分が旅行に行きたいと思った時には出かけたいと考える。
そうしたそれぞれの勝手が融合した結果が現在の感染者数の急増なのだ。
ただ一つ、私には疑問がある。
なぜ政治家もメディアも医療関係者も、この一言を発しないのだろうか?
「高齢者は外出をしないでください!」
第三波と呼ばれる今回の感染拡大の特徴は重症者が急増していることで、その原因は高齢者に感染が広がっていることなのだ。
高齢者がなるべく街に出ず、家族とも会わずに家に閉じこもることは重症者を急速に増やさないために効果があるはずだ。
高齢者は会社に行く必要はない。
買い物や医者に行くのは仕方がないが、居酒屋に入り浸るおじさんや友人と大声でおしゃべりしているおばさんたちは今でも目につく。
医療関係者は「重症化リスクの高い高齢者を守らなければ」とよく口にするが、そのためには高齢者が自分の身を守る行動を取ることが先決だ。
高齢者が感染リスクを少しでも減らす行動を取ることで、働く世代の経済活動を制限する度合いを下げることができるのではないか・・・。
だから、私もなるべく家で過ごすつもりだ。
「年寄りはうろうろせずに家にいろ」
菅さんにはぜひそうした明確なメッセージを発信してもらいたいと思う。