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サンクゼール

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長野の斑尾高原を本拠地に全国展開しているサンクゼールの久世良三社長の講演を聞いた。

サンクゼールはジャムやワイン、パスタソースなど製造販売するいわゆる農業の「6次産業化」で成長する会社だ。朴訥とした久世社長の話はなかなか興味深かったので紹介したい。

創業の原点「りんごジャムの奇跡」というお話はどうやら社長の十八番のようだ。

今や全国に122店舗を展開し、この春にはアメリカにも進出したこの会社の創業物語はなかなか面白い。

スキーが得意だった久世さんは、1975年斑尾高原にペンションをオープンした。そして開業2日目に訪れた女性に一目惚れして結婚。ペンションは繁盛したが、あまりの忙しさに奥さんは子供を連れて実家に帰ってしまったそうだ。久世さんは何とか奥さんに帰ってきてもらうために、ペンションをやめる約束をし、代わりの仕事を探すことになった。

そんな時、奥さんが地元のりんごを使った作った手作りジャムがお客さんの評判となり、久世さんは本格的な商品化を計画、夫婦二人でコツコツはじめたジャムの卸売りが今の会社に発展したのだ。

ペンションを売却しジャム作りも軌道に乗り始めた33歳の時、夫婦でフランスの田舎を旅行して回った。そこで成熟した大人の文化に感動した久世さんは、「自分たちが住む田舎を成熟した素晴らしい場所にしよう」と決意したそうだ。

そして現在、長野県飯綱町に「サンクゼールの丘」と呼ばれる複合施設を作り上げた。

フランスのようなぶどう畑が広がる丘にレストランやチャペル、工場が立ち並ぶ。

日本の優れた食品を国内外に広める目的で「久世福商店」というブランドも立ち上げた。今年の春にはアメリカのオレゴン州の食品工場を買い取り、アメリカ市場進出の足がかりを作った。

話を聞くとすごいやり手の経営者だが、実際の久世社長にはそんな凄腕な印象はない。自分の失敗話を恥ずかしそうに語る気のいいおじさんという風情なのだ。ただ、この弱々しさが久世社長の人間味であり、つい手助けしてあげたくなる人を惹きつける魅力でもあるのだろう。

久世さんの話を聞きながら、岡山の農地のことを考えていた。今更、借金をして大博打を打つ気はないが、あの農地をどうすれば活用できるか、何かやりようはある気がしてくるのだ。

久世社長の後に講演した経産省の局長さんが、「今後日本が稼げる可能性が高いのは、食とコンテンツだ」とおっしゃった。日本の農業は危機を迎えているが、同時に大きな可能性を秘めている。

果たして私に何ができるか、引き続き考えていきたいと思う。

 

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