店を決めずに街をブラブラ、ランチの店を探す。冷たい北風が吹く。

大正通りの古いハンコ屋さん「青雲堂」の前を通りがかった時だ。
妻が店の変化に気づいた。

真新しい看板、「中國菜」と書いてある。
「あれ? 飲食店になったのか?」
よく見ると、店の入り口がリフォームされている。

ハンコ屋の隣に細い入り口ができていた。
その奥にあったのは、「中國菜 四川 雲蓉(ユンロン)」。
ハンコ屋「青雲堂」の息子さんが去年12月23日にオープンしたばかりの四川料理店だ。

店内に入って最初に目についたのは、鳥かご。照明になっている。
昨年末香港で小鳥のマーケットに行ったばかりなので、ちょっと興味深かった。

狭い店内には、二人がけのテーブル4つと四人がけのテーブルが1つ。
ただ開店して間がないためか、空いたテーブルの上には前のお客さんのお皿がそのまま残っていた。一番手前の席には、テーブルを拭く洗浄液まで置かれたままだ。
何だか、店の人がバタバタしている。

このお店、どうやらハンコ屋の息子さんが調理を担当し、お母さんが接客をしているようだ。
他のお客さんと話しているのを聞くと、息子さんの中国人の奥さんが旧正月で国に帰っているのでお母さんが手伝っていて混乱しているようだった。
厨房で料理している息子さんも見かねたのか、客席に出てきて前菜を運んだりしている。
料理の方は大丈夫なのだろうか?

ランチメニューは4品のみ。値段はちょっと高めだ。
バタバタしているお母さんに言葉をかけるのもちょっと気がひけるような雰囲気だったが、マーボー豆腐とスブタを注文した。

まず出てきたのは「四川漬物」。
盛り付けはちょっと雑だが、あっさり目のピクルスだ。

「本日の前菜2種盛り」は、蒸し鶏の豆豉ソースともう一品。ちょっとバタバタしていて聞き漏らした。確か、大根の甘酢漬けと言ってたような? でも赤いよね・・・?

そして「週替り肉料理御膳 根菜入り黒酢スブタ」(1500円)登場。

豚肉は大きめ、根菜はサツマイモと山芋だ。量もたっぷりあるのだが、ちょっと黒酢あんがちょっとべったりしていて味が濃い。私が濃いと思うのだから、かなり濃かった。

とにかく味が濃いので、ご飯がいっぱい食べられる。
おまけにスープがこれまたものすごく塩っぱい。半端ない塩辛さなのだ。
最近ご飯は少ししか食べないのだが、たまらずご飯のお代わりをしてしまった。
どうも接客が気になって、厨房の息子さん、調理に集中できていないのではないのか?

そうしているうちに、「お昼の麻婆豆腐御膳 マーボー豆腐」(1300円)も運ばれてきた。プラス300円で本場四川の陳麻婆豆腐にも変更できるそうで、他のテーブルが注文した陳麻婆豆腐を見ると器からして全然違う。もっと辛い奴なのだろう。

私たちが頼んだのは、普通のマーボー豆腐だったが、これが一番普通でよかった。
ただ、量がかなりたっぷりあり、またまた3杯目のご飯を頼んでしまった。こんなにご飯を食べたのはいつ以来だろうか?
結局お店のバタバタした雰囲気は最後まで変わらなかった。
おそらく材料はいいものを使っていると思う。ただ、この雰囲気と味の濃さはちょっといただけない。中国人の奥さんが帰ってきて、もう少し店が軌道に乗ればいい店になるかもしれないが、今日のところは厳しい評価とならざるを得ないだろう。
食べログ評価3.19、私の評価は2.50。

あまりに料理が濃かったので、去年できたアップルパイのお店「グラニースミス」に初めて行ってみた。
もともと世田谷の三宿からスタートしたお店のようだ。

店内には、様々な種類のアップルパイが並ぶ。
吉祥寺店限定は「エッグタルト・アップルパイ」だそうだ。ちょっとわかったようなわからないような・・・。

一番オーソドックスだという「フレンチ・ダマンド」(432円)を一切れ買った。
「アーモンドクリームにしっかりシナモンが香る一番スタンダードなスタイル」だそうだ。
私の苦手なリンゴの生々しい存在感がなく、酸味もしっかりしていて私好みの味だった。
これは美味しい。口の中の辛さもすっかり忘れてしまった。
このブログを書いている時、たまたまテレ東の「アド街ック天国」で吉祥寺北口を特集していた。
このブログに書いたお店もたくさん登場していたので、「雲蓉」にもぜひ頑張ってこの番組で紹介されるような人気店になってもらいたいと思った。
ハンコ屋の裏にある中国料理店というのは、番組としては取り上げやすい。接客と料理の味付けが改善されれば、立地は最高なので人気店に変身する可能性は十分あると感じた。
ぜひ息子さんには頑張ってもらいたいと思う。