日本でまだフォーがあまり知られていなかった1980年代。私はハノイの屋台で本場のフォーにハマった。
フォーは、ホーチミンではなく、ハノイの食べ物だと聞かされた。
パリ時代にも、中華街にある美味しいフォーの店によく通った。
そんか関係で、私も妻もフォーは大好物といっていい。
吉祥寺でフォーと言えば、まずこの店の名前が上がる。
いつも行列ができている人気店だ。
ベトナム屋台料理「チョップスティックス」。
看板には「日本初 生めんフォー」の文字が書き込まれている。
『 ベトナムでは、フォーは生麺が当たり前です。日本では、生米麺はコストが高くなる為に輸入乾麺を使用するのが一般的です。しかし、当店は2003年、高円寺での開業当時から「日本の米は世界で一番美味しい。この米で美味しいフォーを作りたい」という思いで、日本の米を使った、生麺フォーを日本で初めて製麺しました。』
そう、この店は日本で初めて生麺のフォーを作った店として有名なのだ。
店内もアジアムード全開。
決してきれいとは言えない店だが、いつも女性客が多い。
ベトナムのビールや缶詰が棚に並ぶ。
セルフサービスの水を入れるコップもカラフルなプラスチックだ。
そして壁には、ホーチミン大統領の肖像を掲げる兵士の絵が・・・。
私が取材していた時代のベトナムのようだ。
ランチタイムのセットメニューには、ハス茶がついてくる。
アイスのハス茶を頼むと、ジョッキで出てきた。
私が注文したのは「Aセット」。お好きなフォーと半チキンライスのセットだ。
私は「鶏とトマトのフォー」を選んだので、セットで950円だった。
トマトの赤とパクチーの緑のコントラストが鮮やかな一皿だ。
パクチーをかき分けると、店自慢の生麺のフォーが顔を出す。
一般的なフォーに比べ、麺が柔らかくちょっとうどんに近い。
「日本の米を使った自家製麺」という心意気は大いに買いたいが、残念ながら私にはちょっと柔らかすぎてフォーの美味さが減じているように感じる。
妻も同じ感想のようだった。
まあ、個人的な感想であり、これだけ繁盛しているのだから、私たちが文句をいう筋合いではないだろう。
個人的にはセットで出てくる「海南チキンライス」の方がずっと美味しかった。
これは文句なく、美味い。
妻が注文した「Bセット」はフォーと生春巻きのセットだが、妻も生春巻きの方がずっと美味しかったと言っていた。
長年夫婦をやっていると味覚が似てくるのかもしれない。
食べログ評価3.56、私の評価は3.30。