忘れ物

投稿日:

今日はちょっと嬉しいことがあった。

昨日会社から帰宅する際、渋谷駅でトイレに行った。その時、文庫本を手に持っていた。用をたす時、棚にカバンと文庫本を置いた。そして、カバンだけを持ってその場を離れてしまったのだ。そのままホームに入り、電車の到着を待つ間、本を読もうとして、本を置き忘れたことに気がついた。

すぐにトイレに引き返したのだが、文庫本はもうなくなっていた。

日本のことだから、きっと忘れ物だと思って、誰かが駅員さんに届けてくれたかもしれないと思い、駅の忘れ物案内所に行った。

「それらしい物は届いていませんね」と駅員さん。

さて、困った。

文庫本は司馬遼太郎の「花神」下巻。吉祥寺図書館で借りて、昨日読み始めたばかりだった。

図書館に問い合わせてみると、紛失の場合同じものを買い求めて現物を返却しなければならないという。仕方ない、早速図書館に足を運び、紛失の手続きをするしかないと諦めて電車に乗った。車中で考えをめぐらせ、後日届けてくれる人がいるかもしれないので、数日様子を見ることに決めた。

これが正解だった。

今朝、出勤の際、改めて渋谷駅の忘れ物案内所を訪ねた。昨日の状況と本のタイトルを告げる。駅員さんはパソコンをカチャカチャ触り、「それらしきものが届いているようです」と言った。そして一冊の本を取り出した。「花神」下巻。吉祥寺図書館のラベルも貼ってある。

さすが、日本だ。誰かが届けてくれたのだ。これが南京だったらどうだっただろう、と思った。

日本人の誠実さを信じて数日待つ判断をしたのは正解だった。

私は、いい国に暮らしている。そんなことを感じながら、今日はいつも以上に楽しい一日を送れた気がする。

コメントを残す