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<きちたび>両国国技館で一日中大相撲を観戦する② 序の口から幕内まで様々な角度から土俵を見てみた

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令和になって初めてとなる大相撲夏場所。

両国国技館での大相撲観戦の続き、いよいよ観客席の話と土俵上の熱戦について書きたい。

午前11時

午前11時前の国技館。

この日の取組開始は、10時40分だったので、まだ序の口の相撲が行われていた。客席はまだガラガラだ。

初めて見る序の口の相撲。

テレビ中継される幕内の相撲とはいろいろ違うことに気づく。たとえば・・・

お気づきだろうか?

そう、塩や力水がないのだ。

塩や力水がないとどうなるかというと・・・

仕切りに入った後、いちいち塩を取りに行かないので、どんどん取組が進むのだ。次から次へ、力士が出てきては、どんどん相撲を取っていく。

これは序の口だけでなく、序二段、三段目、さらには幕下まで塩も力水もないのだ。

「十両以上が一人前の力士」という明確な格付けが、土俵上のスタイルにもはっきりと表れているということなのだろう。

序の口や序二段だと、痩せた力士が多いのだろうと思っていたのだが、どっこい、こんな巨漢力士もいる。むしろ炎鵬のような痩せた力士の方が稀なぐらいだ。

本日の取組表

客席はガラガラでも、審判の親方がたは序の口から5人座っている。

この日の序の口の勝負審判の中には、引退した稀勢の里や高安の親方である田子ノ浦さんの姿もあった。

物言いもちゃんとやる。

田子ノ浦さん以外の4人は、現役時代の四股名でいうと千代大海、土佐ノ海、大善、旭天鵬。懐かしい名前ばかりだ。

国技館に入場する際、一枚の印刷物を渡されるのだが、一段落して見てみると、幕内力士はもちろん幕下以上の星取表が印刷してある。

前日までの成績が反映されているので、毎日印刷しているということだろう。

裏面には、この日のすべての取組が書かれている。

この日の注目は何と言っても最後の2番。優勝が懸かった「朝乃山−豪栄道」と結びの「鶴竜−栃ノ心」だが、今見ている序の口の対戦も力士名とともに印刷されていた。勝負審判や行司、呼び出しの名前も載っていて、便利だ。

2階イス席の種類

観客席が空いている間に、客席をいろいろ見て回ることにする。

私の席は、「イスB席」と呼ばれる2階の中程よりもやや後ろ7〜11列目の椅子席だった。

上の写真に写っている通路の手前の列が11列目。ここから土俵寄り5列がイスB席で5100円だ。

ちなみに、通路の後ろ2列はイスC席(3800円)で、一番奥の14列目が当日買える「自由席」(2200円)となる。自由席の販売開始は朝7時45分だが、連日争奪戦で、徹夜覚悟で並ばなければまず手に入らないそうだ。

私の席は11列目。正面、やや左手の席からは土俵がこんな感じで見える。

2階の前方1〜6列目が「イスA席」。値段は、8500円だ。

小さなテーブルが付いていて、お弁当などを食べる際には便利だ。

そして何より、土俵がグッと近くに見える。

貴賓席

それもそのはず、天皇などが相撲を観戦する時などに使う貴賓席は、まさに2階正面中央の最前列にあるのだ。

ある意味、ここが一番見やすい席ということになる。

ただ同じ「イスA席」や「イスB席」でも方向によって見え方がまったく違うので注意が必要だ。

上の写真が客席の見取り図。テレビ中継のような構図で見える正面の席は全体の4分の1しかないのだ。

では他の角度からはどのように見えるのか?

ぐるっと一回りしてみよう。

横から土俵を見る

こちらが西側「イスB席」からの眺め。

一見同じように見えるが・・・

こんな風に、行司と力士が不思議な位置関係になる。

2人の力士が縦に並ぶ。

東方の力士の顔がよく見えるので、あえて西の席を買うというお客さんもいるかもしれない。

西方の力士のお尻がよく見えて、行司の足の開き方もテレビ中継では見られないので面白いといえば面白い。

向正面

西側から向正面へと回り込む角から見ると・・・

ちょうど支度部屋への通路の真上なので、西方力士の入退場を間近に見ることができる。

マス席に設えられているのが、相撲中継で使う向正面の解説者席だと思われる。

こちらが向正面から見た光景。

正面とほとんど変わらないが、土俵を見ると・・・

行司が背中を向ける形となる。

当たり前だが、ちょっと不思議だ。

そして、東側の席から見ると、当然こんな感じとなる。

正面はある意味テレビで見る絵に似てくるので、あえて別の角度から見てみるのも楽しいかもしれない。

2階通路の3大関

前の記事で国技館1階の通路にある売店などについて詳しく書いたが、2階の通路にもやはりお店がいくつかある。

たとえば「雷電」はお弁当屋さんだが、すしや天ぷらが充実している。

小さなカウンターもあって、その場で立ち食い寿司も楽しめる。

また、貴景勝、豪栄道、高安の大関3人の等身大パネルも2階の通路に置かれているので、大関が好きな方は2階へどうぞ。

1階のタマリ席とマス席

せっかくなので、1階のマス席ものぞいてみることに・・・。

午後になると、チケットをチェックする係員が入り口に配置され、2階席の客は中に入ることができないが、午前中はノーチェックで客席に入ることができた。

1階正面の奥には、NHKの中継部屋があった。

北の富士親方らが解説している場所がここなのだろう。

1階席の料金ですが、土俵の目の前、緑の座布団が置かれたタマリ席は1万4800円。

赤い座布団が置かれたマス席は、9500円〜1万1700円だ。

ちなみに、4人用マス席の15日間通し券というのもあって、63万6000円だそうだ。

十両は午後2時半

午後2時半、十両の土俵入りが始まった。

いよいよ私でも知っている力士が登場する。

今年40歳の安美錦が登場すると館内から大きな歓声が上がった。

勢、荒鷲、蒼国来、豊山、琴勇輝、臥牙丸。幕内で活躍した力士たちが今は十両で相撲を取っている。

勝負審判は、元魁皇の浅香山さんと元高見盛の振分さんだ。

この時間になると、緑色の座布団のタマリ席もお客さんで埋まってきた。

十両と幕下

そして幕下までと違って、十両の取組からは土俵に塩が置かれ、力水をつける見慣れた立会い前の光景が展開される。

厳しい階級制度のある相撲界では、十両以上が正式な力士「関取」であり、幕下以下の力士は「取的」、または「ふんどしかつぎ」と呼ばれ、現在では「力士養成員」と位置付けられているのだ。

十両になると、大銀杏が結える。場所入りも十両以上は着物、幕下以下は浴衣である。まわしにつける「さがり」も、十両以上はふのりで固めたしっかりしたものだが、幕下以下は紐のようにふにゃふにゃで格好悪い。

十両以上には付き人や個室が与えられる。そして何より、十両以上には月給があるが、幕下以下には給料はない。「力士養成員」と呼ばれるのも、そうした古くからの慣例があるからだろう。

双子が同時優勝

私が観戦した14日目、十両優勝が決まった。

優勝したのは貴源治。貴乃花親方が育てた双子力士の弟である。

父が日本人で母はフィリピン人。兄の貴ノ富士(貴公俊 )は暴行事件を起こして謹慎処分を受けたが、今場所幕下で優勝を決めていて、双子が同じ場所で同時優勝を飾った。

角界を去った貴乃花親方が残した力士が土俵を盛り上げる時代がやってきそうだ。

幕内は午後4時

午後4時前、幕内力士の土俵入りが始まった。

さすがに、知っている力士の顔が並ぶ。

今場所、俄然注目を集めた炎鵬の顔も見える。

7勝2敗と快進撃を続けたがそこから4連敗。途中、腿の裏側を痛めて休場が心配されたが土俵に立ち続けている。

横綱鶴竜の土俵入りが始まったのは、午後4時すぎだった。

今場所は白鵬が休場、一人横綱だったが後半負けが混んできた。

やはり、白鵬を生で見たかったなあ。

ここで、満員御礼の垂れ幕が降ろされる。

早朝には当日券も完売しているのだが、やはり客席が埋まって来ないとこの垂れ幕は降ろせないのだろう。

注目の炎鵬

注目の炎鵬が登場。この日の相手は同じく新入幕の志摩ノ海だった。

幕内2番目の取組にも関わらず懸賞が7本もついた。そのうち、5本が高須クリニック。場内アナウンスは、懸賞1本ごとにスポンサー名とキャッチフレーズを紹介する。

「yes yes 高須クリニック。yes yes 高須クリニック。yes yes 高須クリニック。yes yes 高須クリニック。yes yes 高須クリニック。」

そのアナウンスに場内がドッと沸く。5回同じフレーズを繰り返すと、ものすごく強いインパクトがある。このあたり他のスポンサーとは違う高須院長のセンスとあざとさを感じた。

そして、肝心の取組は動画に収めた。

炎鵬が攻め立てたが、土俵際で足がついて行かず倒れ落ちた。

土俵で寝転がる炎鵬。結局千秋楽も激しい相撲の末に敗れ、負け越し。一方の志摩ノ海は10勝をあげ敢闘賞を獲得した。人気は炎鵬だったが、結果を出したのは地味な志摩ノ海。このあたりやはり、相撲と人生は似ている。

控え座布団

ちょっと話はそれるが、今回私が注目したのは、座布団。

幕内力士だけ、自分の四股名が入った分厚い「控え座布団」を使うことができるのだ。

相撲博物館で稀勢の里が使っていた控え座布団を見て、初めて力士ごとに違う座布団を使っていることを知った。

だから、気にしながら見ていると、確かに力士が土俵に上がると呼び出しが次に登場してくる力士の控え座布団に入れ替える。

相撲中継では土俵を写しているので、あまり気にしたこともなかったが、規則正しくこうした動きが繰り返される。

控えの力士が土俵に上がる→付き人が東西の通路から座布団を持ってきて呼び出しに渡す→呼び出しが座布団を入れ替え、前の力士の座布団を付き人に運ばせる→次の力士が登場し控えに置かれた自分の座布団に座る。

この流れをずっと繰り返すのだ。

阿炎 vs 明生

次に私が注目したのが、阿炎−明生の一番。

阿炎が高々と足を上げると館内から大きなどよめきが起きる。

すると明生も負けじと足を高く上げ対抗する。2人とも若く勢いがある。特に運動神経が抜群でトリッキーな相撲を取る阿炎は私のお気に入りだ。

期待に反して一瞬の相撲。物言いがついた。

結果は、軍配通り阿炎の勝ち。阿炎は千秋楽も危ない相撲で勝ち10勝、敢闘賞を獲得した。

満員の場内

幕内の途中から入場する団体客もいたが、館内はお客に埋め尽くされた。

よく見ると、舞妓さんのような女性もいる。

みんな大きな紙袋を持っているが、これは相撲茶屋から渡されたお土産だ。

それにしても、1階のマス席はちょっと窮屈そうだ。

一日国技館で過ごすなら、2階の椅子席の方が絶対にいいと思った。

逸ノ城 vs 竜電

私の贔屓にしている逸ノ城が土俵に上がる。

この日の相手は今売り出し中の竜電。

先場所14勝をあげ、ついにブレイクするかと思った逸ノ城は、今場所また図体だけでかい木偶の坊に逆戻りしてしまった。

竜電の粘り勝ち。竜電は千秋楽も勝って技能賞を獲得した。

逸ノ城は結局、5勝7敗3休で夏場所を終わり、また一から出直しである。頑張ってほしいなあ。

朝乃山 vs 豪栄道

いよいよ優勝がかかる2番が始まった。

2敗でトップを走る平幕の朝乃山が土俵に上がり、1敗で追う横綱の鶴竜が力水をつける。

対戦相手は大関・豪栄道。懸賞が28本かかった。

懸賞金は1本6万2000円。そのうちの5万6700円が勝った力士に贈られる。つまりこの一番に勝てば、158万7600円をもらえる計算だ。

場所前、朝乃山の快進撃を誰も予想していなかった。令和最初の場所となった夏場所、NHKは令和を担う若手力士として貴景勝、北勝富士、阿武咲の3人を紹介した。これを見た朝乃山が自分が入っていないのが不満だと語ったとテレビで紹介されていたぐらいだった。

朝乃山は富山県出身の25歳。師匠は元朝潮の高砂親方だ。朝潮好きだったなあ。

ただ今場所の朝乃山は、対戦相手に恵まれたと私は思っている。朝乃山のせいではなく、鶴竜の独走を嫌った審判部が朝乃山と上位力士の取組を組まなかったことが原因だろう。

西前頭8枚目の朝乃山は11日目まで対戦した力士の中で一番上位が前頭5枚目の竜電。特に優勝争いが絞られてきた11日目に組まれた前頭13枚目の佐田の海との対戦には強い違和感を持った。

10日目までの成績で朝乃山は1敗で鶴竜と並んでトップを走っていたのだ。11日目に鶴竜が敗れ、朝乃山は単独トップに立った。

そして12日目に前頭3枚目の玉鷲、13日目には関脇・栃ノ心との対戦が組まれたのだが、栃ノ心との相撲は6分にわたる長い物言いの末、行司差し違えで朝乃山の勝ちとなった。再生ビデオを見る限り、栃ノ心の踵はついていないように見える。この一番で栃ノ心は優勝争いから脱落した。

さて、優勝をかけた豪栄道との一番である。

この相撲は朝乃山が力を見せつけ、2敗を守った。

今場所、大関陣は期待を大きく裏切った。貴景勝はケガで休場、豪栄道と高安は序盤から平幕に星を落とした。その意味では、ちょっとがっかりの場所だったと言える。

鶴竜 vs 栃ノ心

そして結びの一番。

鶴竜が負ければ朝乃山の優勝が決まる。一方の大関から陥落し復活を目指す栃ノ心は、大関復帰に必要な10勝までもう1つ勝ち星が必要だ。

どちらも負けられない大一番。懸賞は42本かかった。

あっけない勝負。

9勝1敗から平幕にまさかの3連敗を喫した栃ノ心のなりふり構わぬ立ち合いの変化だった。

この瞬間、平幕朝乃山の優勝と栃ノ心の大関復帰が決まった。

跳ね太鼓

朝乃山は、優勝と合わせて、殊勲賞と敢闘賞も受賞し、一気に注目力士の仲間入りだ。

絶対的な強さを誇った白鵬にも衰えが見え、日本人の若手の活躍が目立つようになった。

角界はいよいよ下克上の戦国時代に突入し、ますます面白くなってきた。

両国国技館での初めての大相撲観戦。

期せずして、十両優勝、幕内優勝、栃ノ心の大関復帰の瞬間を見ることもできた。

千秋楽には、アメリカのトランプ大統領が国技館にやってくる。優勝がすでに決まってしまったので、お客さんにとってはトランプさんが最大の見世物という千秋楽となるのだろう。

弓取り式が終わり、櫓から太鼓が響く。1日の終わりに鳴らされる太鼓は「跳ね太鼓」と呼ばれるそうだ。

この日、国技館を訪れた客は大満足で帰路につく。もちろん私もだ。

還暦を過ぎ、大相撲や国技館の魅力を知った。

これで、ますます相撲にハマりそうだ。

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