<吉祥寺残日録>民主主義はトランプに打ち勝つことができるか? #200930

よその国の指導者でも、やはりトランプさんの行方は気になる。

あと1ヶ月余りに迫ったアメリカの大統領選挙。

注目の第1回テレビ討論会の模様がNHKで生中継され、午前10時から私もそれを見た。

予想通りとはいえ、この日もトランプ大統領は酷かった。

トランプさんはいつものように自由奔放に振る舞った。

司会者の質問を遮り、バイデンさんが話している時も平気で割って入って自らの主張を繰り返した。

トランプさんの話は、中身がなく、根拠もなく、相手を誹謗中傷するか、自らの自慢話をするか・・・どうしてこんな人が大統領に選ばれるのかと改めて暗澹たる気持ちにさせられる。

対する民主党のバイデンさんは、トランプさんの方をほとんど見ず、司会者の方を向くか、カメラ目線で対応した。

トランプさんのペースに引き込まれない作戦なのだろう。

果たしてこれが、冷静な指導者と好意的に映るか、それとも逃げ腰の弱い指導者と見えるか、アメリカ国民の受け止め方が気になるところだ。

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この日の討論会は、FOXニュースの司会者が選んだ6つの質問に両候補が答える形で進められた。

最初のテーマは、連邦最高裁判事の指名問題だ。

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トランプ大統領は、先日亡くなったリベラル派のギンズバーグ判事の後任に保守派のエイミー・バレット氏を指名した。

大統領選までには上院での承認を進める考えで、彼女が就任すると最高裁判事の比率が保守派6対リベラル派3となる。

当然民主党は強く反発し、新しく選ばれた大統領が後任判事の指名をすべきだと繰り返してきた。

しかし、この日もトランプさんは、「私たちは選挙に勝ったから彼女を選ぶことができる」と述べて、聞く耳を持たない姿勢を改めて示した。

トランプさんは、郵便投票に異議を唱えていて、もし自分が得票数で負けた場合には法廷闘争に持ち込む考えをチラつかせている。

最高裁判事の構成は、選挙結果が最高裁でひっくりがえるのではないかという危惧を多くの国民に与えている。

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それに続いて、コロナ対策、経済問題、人種差別問題、気候変動、そして郵便投票の問題と進んだが、特段目新しい話はなかった。

両者の対立軸は明らかであり、分断されているアメリカ世論の動向は、政策の中身というよりも両候補の態度や印象に左右されるという印象を持った。

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この討論会直前で浮上したトランプさんの納税問題は、今後の注目だ。

この日も司会者から具体的な追及を受けた。

「連邦所得税を750ドルしか支払っていないというのは事実か」との質問にトランプ氏は「私は数百万ドルの所得税を払っている。納税申告書は終わったらすぐ公開する。選挙管理委員会にも提出しているし、銀行の財務記録も出している」と答えをはぐらかしたが、司会者が「あなたはいくら連邦所得税を払ったのかと聞いている」と再度追及すると、「数百万ドル支払った。終わったら公開する」と答えた。

印象は真っ黒だ。

おそらくほとんど税金を払っていないのだろう。

ビジネスマンであるトランプ氏にとって、不動産の赤字を使って節税することはこれまでの人生でずっとやってきた当然の経済行為だったんだと理解した。

果たして、アメリカ国民はこれをどう考えるんだろう。

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一方のバイデンさんは、温厚で常識的だが、やはりトランプさんに比べて弱い印象を受ける。

77歳という年齢もあって、世界一の超大国アメリカを代表する指導者としてのカリスマ性やエネルギーが感じられないことが弱点となりそうだ。

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討論終了後、CNNテレビは「史上最もカオスな討論会」と論評した。

CBSテレビが行った調査では、バイデンさんが勝ったとの回答が48%に対し、トランプさん勝利は41%で、10%は引き分けと回答したそうだ。

しかし、今のアメリカでは、メディアも党派色が強くなっていて、主要メディアはリベラル派が強めに出るので数字を鵜呑みにすることはできない。

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私のようなよそ者から見ると、トランプさんのようなデタラメな人物をリーダーに選ぶアメリカ人はとんでもないと思う。

しかし、民主主義はある意味では人気投票であり、必ずしも正義が勝つわけではないというのが悲しい現実だ。

それでも、私は民主主義を信じたい。

欠陥は多いが、中国やロシアのように独裁的なリーダーが無期限で国民を支配するような国にはなって欲しくないのだ。

危険なリーダーが権力を握った時、国民はどのように対抗できるのか?

すべての国家、すべての国民に突きつけられている難しい問いだ。

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