<きちシネ> #09 「オペレーション:レッド・シー」(2018年/中国・モロッコ映画)

中国のトップ女優ファン・ビンビンさんが行方不明となり、日本でも大きなニュースになっている。報道によれば、脱税容疑で拘束されているという説が有力なようだ。しかし、習近平氏と軍部の権力闘争に巻き込まれたとか、政権ナンバー2の王岐山氏と不倫関係にあったとか様々な説が飛び交い、その真相はまだ謎に包まれている。

そのファン・ビンビンが出演する最新作「スカイハンター 空天猎」という中国空軍を舞台にした映画を見ようと思ったのだが、上映時間が合わず、同じ映画館で上映されていた別の中国映画「オペレーション:レッド・シー」という中国海軍の映画を見ることにした。

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初めて訪れた「シネマート新宿」は伊勢丹の向かいにある小さな映画館で。アジアの映画を得意としているらしい。

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「オペレーション:レッド・シー」は、今年の中国映画界最大のヒット作となった戦争超大作だ。はっきり言って、ぶったまげた。

中国海軍が全面協力したというこの映画のクオリティーは、日本映画をはるかに凌駕しハリウッド作品に迫るものがある。

制作費は7000万ドル。興行収入は600億円というとんでもないスケールだ。

世界最大の映画市場に成長した中国は、映画製作の分野でもすごい進歩を遂げていた。

この映画は、2015年に中東イエメンの内戦で、実際に中国軍が行った自国民救出作戦という実話がベースとなっている。

アメリカ特殊部隊の作戦については日本でも報じられることが多いが、中国軍による救出作戦というのは私は初耳だった。ネットで調べてみると「searchina」という中国関連サイトに当時の記事が残されていた。引用させていただく。

『 中国海軍は3日までに、内戦の続くイエメンから自国民571人と外国人225人を救出した。自国民救出のために中国海軍が外国に出動したのは2011年のリビアに続いて2回目。しかも2011年当時の胡錦濤主席は政府部門に自国民救出を一任する形式を取ったのに対し、習近平主席は自らが出動や作戦開始を命じた違いがある。

中国当局は、戦乱や大規模紛争が発生した地域からの自国民救出に、極めて積極的に取り組む。例えば2011年のリビア内戦時には、トラック隊派遣による陸路、海軍および民間船を投入しての海路、さらに民間航空機による空路と、考えられるかぎりのルートを用意して、自国民を救出した。

中国人には「国のウチとソト」という意識も強く、「海外で苦境に陥った同胞の救出」は中国で、政権として当然の仕事であり、同時に称賛すべき実績として受け止められている。

イエメンからの撤退では、ソマリア沖に海賊対策のために派遣されていた中国海軍軍艦が3月下旬にはイエメンのアデン港沖合いに停泊し、最終的に習近平主席(国家主席、中央軍事委員会主席)の決断で、救出作業が始まったとされる。』

この映画で私が注目したのは、中国の映画製作力だけではない。

映画の中に登場する中国海軍の装備や兵士の戦闘能力の高さは、私が想像していた以上だった。お得意のドローンを使った兵器も登場する。もちろん映画なので実際とは違っている部分はあるだろう。しかし、中国がアメリカに対抗できる軍隊を整備しようとしていて、それが中国国内で支持されていることがこの映画からうかがえた。

映画のラストで、唐突に南シナ海が映る。

南シナ海を航行する中国海軍の艦隊が警告する。「ここは中国の領海である。直ちに退去しなさい」と。これが、映画のラストメッセージである。

中国軍は世界のどこであろうと、自国民を守る。

全編戦闘シーンが続くこの映画の最後のメッセージは、日本人の常識とは大きくかけ離れていた。

日中戦争を舞台に日本兵を悪者にした陳腐なプロパガンダ映画から、ハリウッドばりの息もつかせないアクション超大作に変貌した中国の国策映画。こちらの方がより中国人の自尊心と愛国心を刺激するであろうことは想像に難くない。

習近平時代の中国は、猛烈な勢いで世界のスーパーパワーに駆け上ろうとしている。

そんなことを肌で感じることができる日本人必見の映画だ。

Yahoo!映画の評価3.60、私の評価は4.00。

 

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