独身の日2019

日本でもすっかりおなじみとなった中国の「独身の日」。

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カリスマ経営者ジャック・マー氏が引退して初めてとなる今年の「独身の日」だが、米中の貿易戦争の影響が現れるのか注目された。

結果からいえば、1日の売り上げは4兆1000億円を超え、過去最高を記録した。

今世紀に入って、ずっと経済が右肩上がりの中国人には、バブル時代までの日本人に近いイケイケ感が強い。バブル崩壊で痛い目を見た日本人である私には、あのイケイケ感は危なっか過ぎて眩しすぎる。

中国第2位のネット通販企業「京東集団」も同じ日にセールを行い、こちらも3兆2000億円ほどを売り上げたという。

日本でも、ヤフーショッピングが「いい買い物の日」と銘打ったセールを行ったが、売り上げはいくらだったのだろう?

ネット業界では、日中の格差は開く一方だ。

アリババは、今月香港市場に上場する計画で、新たに巨額の資金を手にすると見られている。

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その香港の混乱は激しくなる一方だ。先週、抗議活動に参加していた大学生が建物から転落して死亡した。香港でデモが始まってから初めての死者である。

大学生の死は若者たちの活動をより先鋭化させ、香港の各地で破壊活動をエスカレートさせている。危険な兆候だ。

これを取り締まる警察も必死で、昨日は警官が発砲し若者が重体となった。一方で、デモ隊と言い争いになった市民が火をつけられたり、中国支持派の候補者が刃物で刺されるといった事件も相次いでネットで拡散され、香港の情勢は予想通り混沌としてきた。

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今のところ、中国本土から軍や警察が投入される気配はなく、中国指導部はあくまで香港当局に強権的な対応を迫っているように見える。

こうした騒乱状態を制御しようとするならば、圧倒的な武力によって抑え込むのが常道だ。

しかし、あえて限られた人数と装備しか持たない香港警察を前面に立てていることに、私はある意図を感じる。

これはあくまで私の推測だが、中国政府は力が弱い香港警察に対応を任せることによって、若者たちの行動がより過激化することを狙っているのではないかと思う。

ある程度の行動の自由を得た若者たちがどんどん抗議行動をエスカレートさせると、一般市民や国際社会の支持が次第に弱まっていく。そして若者たちが孤立するのを待って、一気に部隊を投入して鎮圧する。香港を完全に中国の支配下に置く。そんな気がしてならない。

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カリスマ経営者が辞めても、絶好調に見えるアリババだが、そのビジネスは創業時のベンチャーとはまったく変わり、中国政府との一体化を強めている。

今年訪れたアリババの本拠地、杭州では、アリババは行政と一体となって、市内全域の監視や交通渋滞の緩和のためのシステム構築を進めていた。杭州市全体がアリババの実験場であり、ここで開発された次世代型の社会システムが中国全土に、そして発展途上国へと売り込んでいく、それがこれからのアリババのビジネスとなる。

すなわち、アリババと中国政府との一体化はこれからますます強化されるだろう。

カリスマ経営者が退任したのも、アリババが変質しつつあることの証なのだ。

「独身の日」の驚異的な売り上げだけに目を奪われるのではなく、小説「1984」を現実のものとするような中国式の社会システムが猛烈な勢いで開発され、普及する世界を警戒する必要があるだろう。

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一見自由そうに見えるアリババの向こうには、恐ろしい管理社会が待っているのかもしれない。

アリババ城下町・杭州については、こちらの記事もどうぞ。

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