ロシア元スパイ

このところ、ニュースが面白い。

平壌五輪が終わった途端に飛び出した朝鮮半島情勢の急展開。韓国の特使を満面の笑みで迎えた金正恩委員長は、4月末の南北首脳会談をはじめ誰も予想しなかった融和策を打ち出した。

Embed from Getty Images

 

この北朝鮮の「くせ球」を巡りテレビでは賑やかな議論が続いているが、とりあえずはパラリンピック終了後に予想されていた軍事的な緊張が緩みホッとした空気が流れている。

韓国内は歓迎、アメリカも警戒しながらも歓迎、日本だけが懸念という状況が生まれた。中間選挙を睨むトランプ大統領が米朝交渉に踏み出す可能性も高く、日本が孤立する事態も予想される。

 

Embed from Getty Images

 

一方中国では、今週始まった全人代で国家主席の任期延長を認める憲法改正が行われる。習近平体制が2023年以降も期限なく続くことになる。

これぞ東アジアの新時代を開く転機となるだろう。中国を中心とした伝統的な秩序が再び構築されることになるのだろうか?

 

Embed from Getty Images

 

さらにイタリア。先週末行われた総選挙で事前の予想通り、ポピュリスト政党「五つ星運動」と極右政党「同盟」が躍進しどちらかが政権を担うことになった。

移民排斥、反EUの新たな政権がイタリアに生まれることになれば、揺れるEUにとって致命傷になる危険性さえある。

世界中が自国の利益または権力者の利益のために動いている。「エゴイズムの時代」が地球を覆い尽くそうとしている。

 

_100299615_skripal_comp-2

そんな中で、私はちょっとマニアックなニュースが気になっている。

イギリスの地方都市でロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリアさんが真昼の公園で意識不明で見つかった。BBCが連日トップニュースで伝えている。

BBCテレビの第一報を引用しておく。

_100281993_sn_hr_major_incident_24

『 英警察は5日、南西部ソールズベリーのショッピングセンターで今月3日に倒れているのが見つかり、意識不明に陥った男性がロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏(66)だと明らかにした。

ロシア軍の情報部員だったスクリパリ元大佐は、英国のためにスパイ活動を行ったとして、2006年にロシアで13年の禁錮刑判決を受けたが、2010年に米国とロシアの間でスパイ交換で釈放され、英国に居住している。

スクリパリ氏と一緒にいた33歳の女性も意識不明で、何らかの物質に触れたことが原因の可能性があるという。

警察は、「予防的措置」として現場近くのレストラン「ジッジ」を閉鎖。イングランド公衆衛生局(PHE)は市民の健康に影響を及ぼすリスクは確認できないとしている。

地元のウィルトシャー警察は、刑事事件の可能性があるとして捜査を開始した。意識不明の2人に外傷は見つからなかったという。

警察は「重大事件」を宣言し、複数の当局が捜査を行っている。

何らかの物質に触れたのが原因である可能性について、2006年にロシアの元情報将校アレクサンドル・リトビネンコ氏が、ロンドンのホテルで茶を飲んだ後に放射性物質ポロニウム210の被曝で死亡した事件との類似性が指摘されている。

英内務省の公開調査委員会は2016年1月、リトビネンコ氏の暗殺はロシアのウラジーミル・プーチン大統領の了承の下で行われた可能性が高いと結論付けた。

コメントを求められた英国のロシア大使館の報道官は、「当該の人物の親類あるいは法的代理人、あるいは英当局からも、事案について大使館に連絡は来ていない」と述べた。

元英外相のサー・マルコム・リフキンドはBBCラジオ4の番組「ザ・ワールド・トゥナイト」で、ソールズベリーの事件について「きわめて凶悪な背景」がある可能性がうかがえると語った。

サー・マルコムはさらに、「FSB(ロシア連邦保安局)もしくは政権中枢が黒幕の可能性は確かにある。別の理由による犯罪行為だったかもしれない。2人あるいはどちらかの1人に、個人的な恨みをもつ者がいたのかもしれない。現時点では分からないし、それ以上推測をするのは意味がないだろう」と付け加えた。』

 

そして今日、イギリス警察は2人には神経剤が使用されたと発表した。

2人とも依然として重体で、2人を助けようとした警官も重体となっている。

誰しもがロシアによる犯行を疑っている。ロシアという国、どうしてもこうした非合法のイメージから抜けられない。ザギトワやメドベージェワをはじめ芸術の国である反面、暗黒世界の元締めという負の側面がつきまとう。

ロシア革命から100年、今年の夏、私はモスクワを訪れる予定だ。ひょっとするとその前にウラジオストックにも行くかもしれない。

ロシアも日本の隣国である。東京からウラジオへの距離は、実は沖縄と変わらない。近いのにあまりに遠い隣国。1991年、ソ連崩壊の日をモスクワで迎えた人間として、この不可思議な隣国のことももっと知りたいと思っている。

 

コメントを残す