クルン・サイアム

台風22号が接近している日曜日。朝から雨が降り続いている。

外出するのも億劫だが、一日中家にいるのも体に悪い気がして、ランチを食べに出ることにする。「春木屋」のラーメンを提案したが、妻はタイ料理がいいらしい。

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お気に入りのタイ料理店「クルン・サイアム 吉祥寺店」に行くことにする。

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昔、六本木店をよく利用させてもらっていて、吉祥寺に引っ越した後、何度か訪れた。

 

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階段を地下に降りると、店内はいつものように混んでいた。

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店内はハロウィンのデコレーション。タイ料理とハロウィン?

でも、タイ人も仮装の文化は確かにあった気がする。

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ランチタイムにこの店に来たのは初めてだった。昼はアラカルトはなく、ランチメニューだけのようだ。

「タレー・パッポン・カリー」のランチもある。海鮮をカレーで炒めふわふわ卵でとじた料理で、私の好きなメニューだ。タイでは具はカニだったが、この値段だと違いそうだ。

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悩んだ末、私は「クイッティオ・トムヤム」(1000円)を注文した。

バンコクではあまり食べた記憶がないが、タイを代表する辛いトムヤムクンスープに細麺を入れたものだ。私はトムヤムクンが好きなので、メニューにあるとつい頼んでしまう。

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クイッティオを入れるとトムヤムクンの旨味が少しボケてしまうのだが、他では味わえない料理なのでやはり食べたくなってしまう。

麺を食べ終わると、スープをご飯にかけて食べる。タイ米独特の香りがトムヤムクンには合う。

日本のタイ料理店は日本人の味覚に合わせて辛さを抑えている店も多いが、ここの料理は普通に辛いものは辛い。それでも本場のトムヤムクンはもっと辛かった記憶がある。バンコクに住んでいた頃は、相当辛いものが食べられる舌になったが、帰国してほぼ30年、すっかり日本人の舌に戻ってしまった。

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妻が注文したのは「センレク・ナーム』(900円)。

これは代表的な屋台メニューだ。米で作った麺クイッティオの中で、細麺をセンレクと呼ぶ。ナームは汁ありという意味で、ナンプラー味のやさしいスープがかけられている。

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卓上に用意されている4種類の調味料で自分好みの味に整えて食べる。

ナンプラー(魚醤)、酢、唐辛子、そして砂糖だ。砂糖を使えるようになれば一人前とバンコクでは言われたが、この店のスープはかなり甘めなので、妻の食べ残しにお酢を3杯、ナンプラーを1杯加えて味を整えた。

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ランチメニューにはどちらにも「生春巻き」が付いて来た。潰したピーナッツが合う。

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タイ料理は家ではうまく作れない。だから雨の中わざわざ外出して食べる価値があるのだ。

いつもながらこの店は期待を裏切らない。ランチメニューも手軽でいいが、私は数人で数種類のアラカルトを注文しシェアできる夜の来店をオススメする。

食べログ評価3.57、私の評価は3.70。

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そういえば、店内に昨年亡くなったタイのプミポン前国王の写真が飾られていた。

国民に本当に愛された王様だった。

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1年の服喪期間を経て、26日プミポン前国王の火葬式が盛大に執り行われた。日本からはナマズの研究でタイを度々訪れタイ王室とも親交が深かった秋篠宮ご夫妻が参列された。

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沿道は喪服に身を包んだ35万人の市民に埋め尽くされたという。

プミポン前国王は「国父」と呼ばれ、常に調停役としてタイを安定に導いた。私がバンコクで働いた1980年代、タイではクーデターが日常茶飯事だった。

1992年に起きた「暗黒の5月事件」。私も東京からバンコクに飛び取材した。民主化を求める市民たちのデモに軍が発砲し300人以上の死者が出た。デモ隊も中央官庁の建物に火を放ち、バンコクは騒乱状態となったが、この時事態の収拾に乗り出したのがプミポン前国王だった。両派の指導者を王宮に呼ぶと、対立する両者は並んで国王の前にひざまずきその言葉に素直に従った。その模様はテレビで繰り返し流され、国王の権威を最大限に高めたのだ。

国王に歯向かった者は国民の支持を失う。そんな権威がプミポン前国王にはあった。国の平和と安定を願う姿勢は今の天皇陛下と通じるイメージがある。

戦争を経験し、平和を守ることを何より優先した指導者たちが世界から消えつつある。

世代交代といえばそれまでだが、平和を愛した偉大な指導者たちのことを語り継ぐことは重要だと思う。

私もささやかながら「クルン・サイアム」でランチを食べながらプミポン前国王を偲び、ご冥福をお祈りしたい。

 

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