<吉祥寺残日録>「半沢直樹」の最終回は7年ぶりの30%超え #200928

昨日までの雨が嘘のように、今朝の空は晴れ渡っていた。

この1週間、ほとんど太陽を拝むこともなく、寒々しい日が続いていたので、久しぶりにベランダに出て朝の空気を嗅ぐ。

夏のジメジメした空気は何処かへと消え去り、カラッとした秋の空気に入れ替わっていた。

実に、気持ちがいい。

外廊下に出ると、遠くに富士山が見えた。

久しぶりだ。

うっすらと雪化粧した富士山を見ると、季節が冬に向かって着実に進んでいることを感じる。

どうやら今日が、初冠雪だったらしい。

この陽気に誘われて、私はサイクリングに出かけた。

先日読んだ国木田独歩の随筆「武蔵野」、その文学碑を探して玉川上水まで自転車を走らせることにしたのだ。

このサイクリングの話は明日ちゃんと書こうと思っているが、やっぱり自転車は気持ちがいい。

おまけに、ダイエットにもいいかもしれない。

興味のままに4時間ほど自転車を走らせて家に帰って体重を測ると、目標の73キロちょうどまで減っていた。

そう言えば、転倒した時に壊れてしまった変速機だが、部品を取り寄せ修理してもらった。

昨日の話だ。

ザーザーぶりの雨の中、自転車屋さんまで壊れた自転車を持って行ったのである。

だから、今日の自転車はすこぶる快調。

爽やかな風を切って走るサイクリングは最高だ。

そして、道すがら何かに目が止まれば、すぐに自転車を止めて写真を撮ることもできる。

公共交通機関でも、マイカーでもこうはいかない。

ましてや、徒歩では味わえない軽やかさだ。

地元・武蔵野を知るためのサイクリング。

これは間違いなく、私の新しいライフスタイルになるだろう。

さて、話を昨日の日曜日に戻そうと思う。

昨日はテレビ漬けの1日であったが、まずは、大相撲秋場所千秋楽。

今場所は、両横綱が初日から休場という寂しい場所だったが、本命と見られた大関・朝乃山が初日から三連敗したため、俄然面白くなった。

私は毎日、午後4時にはテレビの前に陣取り、たっぷり2時間大相撲を堪能した。

毎日目が離せない大混戦を制したのは、関脇の正代。

千秋楽の相手は、なんと新入幕、14日目までトップを走って今場所の土俵を盛り上げた前頭十四枚目の翔猿だった。

これはさすがに正代の圧勝だろうと思ったが、意外や意外、翔猿に追い詰められ土俵際で辛うじて掴んだ初優勝だった。

熊本県出身力士の優勝は正代が初めてで、地元は大いに沸いたという。

朝乃山も貴景勝も圧倒し、13勝2敗で優勝した正代は、来場所からの大関昇進が確実だ。

白鵬引退の日が確実に近づく中で、日本人大関たちの横綱争いが今後激しくなるだろう。

誰が横綱の座を掴むのか、しばらくは大相撲の混戦模様は変わりそうにない。

今後は、2ヶ月毎に開かれる大相撲の時期には旅行などの予定を入れず、家でゆっくりテレビ観戦をしようと決めた。

大相撲の後は、大河ドラマ「麒麟がくる」。

明智光秀についてはほとんど知識がないので毎週見てはいるが、正直それほど出来の良いドラマとは思わない。

むしろ今楽しみにしているのは、日曜の早朝にBSで再放送されている昔の大河ドラマ「太平記」である。

毎週録画して欠かさずに見ている。

主役の足利尊氏役は真田広之、楠木正成役が武田鉄矢だが、若き日の宮沢りえや後藤久美子も出ていて見所が多い。

そもそも南北朝時代に関する知識は非常に乏しいので、物語そのものにも興味津々、昔ながらの演出も重厚で人間の心の機微をうまく描き出していて飽きさせない。

すでに鎌倉幕府は滅んでしまったが、執権・北条高時役の片岡鶴太郎の演技が凄かった。

フランキー堺が演じた長崎円喜も悪役としての迫力満点で実に見応えがあった。

やはり歴史ものは重々しい方がいい。

時代の転換点に生きた人間の心の機微、葛藤を想像するためには、安っぽい演出では白けてしまうのだ。

今の時代、アップテンポにしないと視聴率が取れないのだろうが、NHK大河ドラマのスタッフには、ぜひ大人の鑑賞に堪える作品を今後もお願いしたいと強く願う。

そしてこの日の真打は、何と言ってもTBS日曜劇場「半沢直樹」の最終回。

こちらは、妻も一緒に見させてもらった。

前作に比べて、劇画チックというかセリフと顔芸でのウケ狙いが時々鼻についたが、目まぐるしく変わるストーリー展開に最後まで目が離せなかった。

そして、注目された最終回の視聴率は、関東で32.7%、関西は34.7%。

前作最終回の42.2%には届かなかったものの、ドラマの視聴率が30%を超えるのはなんと前作の42.2%以来7年ぶりという快挙なのだそうである。

「半沢直樹」は見事、2匹目のドジョウを掴んだわけだ。

言うまでもなく、テレビを取り巻く環境は、7年前とは大きく変わった。

今ではテレビを持っていない若者も多く、彼らはYouTubeや見逃し配信で評判の良い番組だけを好きな時に、好きなデバイスで見ている。

実にテレビマン泣かせ。

リアルタイムで視聴率を稼ぐのが非常に難しい時代なのだ。

そのため、テレビ業界では長年のビジネスモデルを変え、従来の「世帯視聴率」に変わって「個人視聴率」や「総合視聴率」という指標を使ってスポンサーからお金を集めるようになっている。

「個人視聴率」は性別や年齢別の視聴率で、スポンサーが欲しがる若者、特に若い女性たちに見られる番組ほど高く売れる。

そして「総合視聴率」はリアルタイム視聴率に一定期間内の録画視聴も加味するもので、連続ドラマなど録画視聴の多い番組にとってはとても大事な指標となっている。

「半沢直樹」の場合、第8話のリアルタイム視聴率が25.6%だったのに対し、録画を加えた総合視聴率は37.3%だった。

総合視聴率が発表されるのは1−2週間後だが、おそらく40%超えは間違いなく、50%近くまで行く可能性もある。

まさに今時、驚異的な視聴率だったわけだ。

しかも、個人視聴率でも幅広い層に支持されていて、これ以上望めない大成功を修めたのだ。

今回の「半沢直樹」ではキャスティングも注目され、大和田役の香川照之や黒崎役の片岡愛之助のほか、市川猿之助や古田新太など芸達者な役者たちが大勢出演していた。

その中で私のお気に入りは何と言っても箕部幹事長役の柄本明であった。

聞こえないふりをして耳に手を当てる柄本のどアップ、思わず笑ってしまう。

すごい顔ができるものだ。

そして上戸彩が演じた半沢の妻・花ちゃんもとても良かった。

花が「嫌だったら辞めれば」と直樹に言ったセリフが、とても印象に残る。

妻が私に言った言葉と重なったのだ。

「あなたは十分がんばった」

私の妻も、私にそう言ってくれた。

ドラマのセリフになるぐらいだから、実際にそう言ってくれる奥さんはそんなに多くはないのかもしれない。

だとすれば、私は幸せ者だ。

ドラマを見ながら、知らず知らずのうちに、自分の人生と重ね合わせている。

いずれにせよ「半沢直樹」は、テレビというメディアにまだまだ強い影響力があり、テレビにはまだまだ多くの可能性があることを示した。

元テレビマンとしては嬉しい限りだ。

やっぱり、テレビは面白い。

今後も間違いなく、私はテレビを見続けるだろう。

ただし、人の評判に左右されるのではなく、自分が見たいと思う番組を積極的に見つけ出して、私の人生を豊かにしてくれるようなテレビ番組を選んで見たいと思う。

ダラダラ見るのは、時間の無駄だ。

後輩のテレビマンたちには、私が見たくなるような番組をどんどん作ってもらいたいと大いに期待している。

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