<吉祥寺残日録>コロナとテレビ #200414

コロナショックが起きて、テレビを見る時間が圧倒的に長くなった。

在宅勤務になったせいもあるが、何と言っても新型コロナウィルスのニュースは先が読めない点と世界中が同時に戦っているという点で、私のようなテレビ人間からすると興味が尽きない。

東日本大震災や戦争のような映像的な衝撃とは違い、人影が消えたニューヨークやパリの静かな映像からは、私たちがこれまで経験したことのない歴史の転換点に立っているという緊張感のようなものが伝わってくる。

各国政府の対応の違いも興味深く、これほどテレビの報道情報番組に適したテーマはないのではないかと感じながら毎日朝から夜中までテレビを見ながら過ごしているのだ。

ちなみに、私が毎日チェックしている番組を列挙しておきたい。

■午前6時台 テレビ東京「モーサテ」

■午前7時台 NHK「おはよう日本」、BSテレ東「日経モーニングプラス」、NHK-BS1「ワールドニュース」

■午前8時台 NHK-BS1「キャッチ!世界のトップニュース」、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」

■午前11時台 TBS「ひるおび!」、テレビ朝日「ワイド!スクランブル」

■午後0時台 NHK「ニュース」

■午後2〜6時台 民放各局ザッピング

■午後7時台 NHK「ニュース7」、BS-TBS「報道1930」

■午後8時台 BS-TBS「報道1930」、BSフジ「プライムニュース」

■午後9時台 NHK「ニュースウォッチ9」、BSフジ「プライムニュース」

■午後10時台 テレビ朝日「報道ステーション」、BSテレ東「日経プラス10」、NHK-BS1「国際報道2020」

■午後11時台 テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」、TBS「ニュース23」、日本テレビ「news zero」

こうして書き出すと、普通の人よりもテレ東とBSが多い気がする。

コロナ関連のニュースは国際的な視点と経済的な視点から見るのが面白い。

朝と夜は必ず見ているが、昼間から夕方にかけての報道情報番組はどこも同じような情報しか得られないので、どの番組もあまり見ていない。

ひょっとすると私の疑問に答えてくれるような取材もあるのかもしれないが、ほとんどは知っている情報、見たことのある映像をこねくり回しただけなので、見る必要を感じないのだ。

せっかく放送時間がたっぷりあるのに私の疑問に答えてくれるような取材がほとんど出てこないので、見ているとイライラしてくる。

でも、長時間のベルト番組を日々制作する苦労もわかるし、私の時代と比べて政権や世論からの逆風もきつくなっているようなので、現役諸君の頑張りに期待しながら見守っていきたいと思う。

さて、テレビ朝日の看板番組「報道ステーション」の富川悠太アナウンサーが新型コロナに感染していたことがテレビ業界に大きな衝撃を与えている。

テレビ朝日は、富永キャスターら他の出演者をはじめ、番組の全スタッフを自宅待機とした。前代未聞の緊急事態である。

幸いだったのは、富川さんは月曜から木曜日の担当で、金曜を担当している小木アナウンサーが急遽月曜から登板しひとまずピンチを凌いだ。過去に報道ステーションを担当していた番組スタッフに緊急招集がかかったようだ。

長く続いた番組にはこうした過去の遺産があり、いざという時に支える力となるが、普通の番組ならそう簡単にピンチヒッターは送れない。ある意味、報道ステーションの底力を感じた昨夜の放送だった。

ただ、毎日放送される帯番組というのは、ピンチが毎日続く。数日は持ちこたえられるだろうが、次第にボディーブローが効いてくるだろう。

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今回の富川ショックを受けて、テレビ局では一段と出演者のリモート化を進めている。コメンテーターには自宅から、キャスター陣についても一部別室から中継で番組に参加する。

生情報番組の場合、オンエア中に次のコーナーの打ち合わせを行う綱渡りが日常なので、出演者と担当スタッフがいつでも打ち合わせできる距離感が必要だ。

こういう緊急事態の際には、あまり欲を出さず、緊急の打ち合わせが必要となる難しい番組構成をやめるしか方法はないだろう。ある意味、編集長やプロデューサーの本当の実力が問われることになる。

テレビに映るスタジオでいくら出演者の距離を離しても、バックヤードでは多くのスタッフが走り回り、時間と格闘している。実に多くの打ち合わせが口頭で行われていて、それをおろそかにすれば取り返しのつかないミスが起きてしまう。

番組スタッフは番組ごとに分かれているが、放送を出すスタジオやサブ(副調整室)、編集室やCGルームなどは共用のため、感染リスクを完全に排除することは極めて難しい職場だ。

自宅待機となるスタッフが増えると、放送に携わるスタッフに過重な負担がかかり、感染予防に気を遣う余裕が一層失われてしまうのではないかというのが私の心配である。

テレビ局では、新型コロナ対策としてドラマやバラエティーなど報道情報系以外の番組の制作を延期しているという。

TBSは「4月4日から19日までの2週間、ドラマやバラエティにおけるロケとスタジオ収録の中断」を発表。今春最大の話題作「半沢直樹」などこの春スタートする3本のドラマや「オールスター感謝祭」の放送を延期した。

そして今日、TBSは収録自粛を5月6日まで延長することを決めた。

テレビ東京は、「3日から生放送を除く収録を中断し、1週間をめどに社員の出社を2割程度に絞る」と発表。15日から20日までの4営業日を自主的に休日とすることを決めた。

NHKではドラマの2枚看板である朝ドラ「エール」と大河ドラマ「麒麟がくる」が撮影休止、日本テレビでは看板番組の「笑点」が無観客収録、ドラマ「ハケンの品格」は放送延期が決まっている。

テレビ局始まって以来の危機かもしれない。

TBSでは「下町ロケット」の総集編をゴールデンタイムで放送した。今後、各局とも過去には考えられなかったような再放送の仕組みを編み出さなければならないだろう。

ドラマなどの収録ができないだけではない。海外取材が事実上不可能となり、多くの番組は過去の素材を再編集した特別編で凌がざるを得ないだろう。

プロ野球をはじめスポーツ番組もまったく目処が立たない。NHKでは、東京オリンピック用に確保していた膨大な放送枠を別番組で埋めなければならなくなった。BSは再放送で凌ぐのだろうが、地上波はそうはいかないだろう。

テレビ局の営業部門もスポンサー対応に追われているはずだ。前代未聞の番組差し替えの嵐、しかもスポンサー企業も売り上げ激減のためCM出稿を減らす動きも当然出てくると予想される。

私はもう現場を離れているので、こうして心配しながらテレビを眺めるしかないが、皮肉なことにテレビの視聴率は近年になく高まっているという。

番組表を丹念に見ると、ユニークな番組も放送されていることがわかる。

先週末の深夜にNHK Eテレで放送していたETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界〜海外の知性が語る展望〜」という番組はとても興味深かった。

コロナ後の世界について、アメリカ、イスラエル、フランスの権威にインタビューした番組だ。絶対に視聴率は取れないが、私の疑問には大いに応えてくれた。

この番組については、録画を確認した後で、改めてこのブログに書きたいと思っている。

テレビには視聴率以外にも、まだまだ多くの可能性があるのだ。

私はやっぱり、テレビが好きである。

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