<きちたび>ルクセンブルクの旅〜世界遺産の旧市街にある宿「CAB Ap’art Luxembourg」

ルクセンブルク 2019年8月8日〜12日

ドイツ・フランス・ベルギーに挟まれた小国ルクセンブルク。

日本人にはあまり馴染みがありませんが、一人当たりのGDPが世界一という超リッチな国です。EUの創設メンバーであり、今でもEUの首都機能の一部を担う国でもあります。

ただ、それだけではありません。ルクセンブルクの旧市街は3方を絶壁に囲まれた天然の要害、そして世界遺産にも認定されています。私は、ヨーロッパでも有数の美しい街だと思うのですが、訪れる日本人観光客はまだ少ない、まさに穴場なのです。

そんなルクセンブルク旧市街で私たち夫婦が泊まったちょっと変わったこだわりの宿「CAB Ap’art Luxembourg」をご紹介します。

16番のバスに乗って

ルクセンブルク空港から旧市街へ行く方法は、バスかタクシーです。

私たちは、16番のバスに乗りました。

ルクセンブルクの空港は国際空港とは言っても、地方空港のような規模。発着便も少なく、ロビーも閑散としています。

バスの案内表示に従って建物の外に出ると・・・

目の前に16番のバスが停まっていました。

空港と言っても、人も車も少ないので迷うことはありません。

バス停にある券売機で切符を買います。

一回券(2時間以内有効)なら2ユーロ、1日券なら4ユーロです。

ルクセンブルクの公共交通はとてもユニークで、バスでも鉄道でも路面電車でも、ルクセンブルク国内の移動であれば一律料金です。

空港から旧市街まで行っても、駅から鉄道に乗り換えて国境まで行っても、何度も乗り降りを繰り返しても1日4ユーロ(約470円)なのです。

このバスはいわゆる市バスの1路線なのですが、3両連結の大きなバスで、新しく清潔です。

スペースもゆったりしていてさほど混雑していないので、スーツケースの持ち込みも不自由はありません。

バスはのどかな田園風景の中を走り・・・

EUの関連施設が集まるキルシュベルグ地区を通って、旧市街へと向かいます。

バスでは車内放送はありません。

その代わりに、車内に取り付けられたモニターに3つ目までの停留所名と終点となる目的地が明示されています。

「Centre」というのが旧市街を意味しますが、旧市街には3つの停留所があります。宿の最寄りとなるのは、2番目の「Centre, Hamilius」というバス停です。

降りる際にボタンを押して知らせるのは、日本と同じです。降りる際に切符を見せる必要はありません。というか、乗る時も降りる時も切符を確認されたことはありませんでした。あくまでお客の良心を信じる。大人のヨーロッパです。

宿は高級店の2階

バス停は旧市街の西のはずれにあります。

バスを降りたら道路を横断し東へ進みましょう。

停留所から一番近い信号を渡った先の路地がモントレ通り。

右手には、ルクセンブルクの老舗パン屋チェーン「FISCHER」のお店があります。旧市街は日中、車が入れないので、道路のあちらこちらにカフェのテーブルが並びます。

パン屋さんを通り過ぎて少し行くと、フィリップⅡ通りと交わります。このフィリップⅡ通りを右に曲がると、目的の宿はもうすぐです。

フィリップⅡ通りは、世界の有名ブランドが軒を連ねる東京でいえば表参道や銀座のような通りです。

そんなお店の1軒がロンドンの「JO MALONE」。日本でも、新宿伊勢丹や表参道ヒルズに店を構える香水ブランドです。

私たちが予約した宿は、何とこの「JO MALONE」のお2階。店の隣の入り口から入ります。

鍵の受け渡しなし

そこは不思議な入り口で、右には一面の植栽、左にはアートが飾られ・・・

扉はあらかじめメールで送られてきたコード番号を打ち込むことによって開きます。

小さなエレベーターか階段で2階まで上がると、木製のドアが1つだけありました。

つまり、1フロア1部屋という構造です。

こちらのドアもコード番号で開ける仕組みで、鍵の受け渡しは一切ありません。

宿泊する当日の朝、部屋の階数と入り口のコード番号がメールでスマホに送られてきました。

誰とも顔を合わせることなく、チェックインとチェックアウトを行う究極のシステムです。

宿泊代は予約時に予約サイト上で事前に決済しています。2人4泊で10万5565円でした。

それでは、部屋に入ってみましょう。

超こだわりの寝室

玄関を入ってすぐの壁面は再び植栽で覆われていました。

植栽の右の扉はクローゼット、左の扉はトイレです。

まずは、入り口を入って左側の部屋から・・・。

こちらは基本的には、ベッドルームです。

中央にダブルベッドが一つ。枕元にはライティングデスクが作りつけられ、限られたスペースを有効に使っています。

注目は、ライティングデスクの後ろのスペース。

壁にはモノクロのヒョウの写真。その隣にはなぜか衝立が置かれています。

このヒョウの壁の裏に隠されたもの・・・・それは・・・

ここに洗面台が隠されています。

しかもその形状がユニーク。中央が凹んでいて、蛇口が長く伸びています。

要するに、顔が洗いにくい!!!!!

この部屋のオーナーは、使い易さよりもデザインを優先する人なのでしょう。

そしてその隣、ヒョウの壁の裏側には・・・

シャワーが隠れていました。

扉は一切ありません。

やはり、この宿のオーナーは、お客の使い勝手よりもデザイン性優先なのだと確信しました。

このオーナーさんのこだわりを強く感じるのがテレビです。

私は初めて見ましたが、このテレビ、オーディオで有名なBOSEの製品でした。BOSEがテレビを作っていたなんて知らないので後で調べてみると、確かにBOSEは、2010年から15年まで「VideoWave」という名前のテレビを販売していたことがわかりました。

その1台がこれだったのです。

さすがBOSE製だけあって音がすごく良く、低音もビンビン響きます。おまけに100チャンネルも見ることができる設定になっていました。

こういうところにこだわるということは、きっとオーナーは生活感のない男性に違いありません。

「CAB  Ap'art  Luxembourg」
住所:29 rue Philippe II, Luxembourg, L-2340, Luxembourg
電話:+352 621 672 679
メール:cabaparts@gmail.com
WEB:https://www.cabaparts.eu/

部屋の空き状況や値段はこちらでチェック。

Booking.com

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キッチンは・・・

続いて、玄関の右手の部屋をご紹介します。

こちらはキッチンになっています。

2口のコンロとオーブンがあり・・・

食洗機があり・・・

冷蔵庫と洗濯機が上下に並んでいます。

コンパクトなキッチンですが、メカは充実。このあたりも男性目線な感じがします。

食器類も必要なものは揃っています。

ナイフやフォークも・・・

調理器具や・・・

鍋やフライパンも一通りは用意されています。

ただ、メカ類に比べると、調理道具にはあまりオーナーの関心は向いていないような印象を受けます。

それでも、キッチンペーパーや調味料が用意されていたので、助かりました。

どこで食べる?

オーナーの異常なこだわりが悪い方に出ていたのが、食べる場所です。

このキッチンには、実は2つの黒いデザインチェアが置かれていました。

オーナーのこだわりの椅子と見受けられます。

座面は低いですが、ここでご飯を食べる、いわゆるダイニングチェアだと理解しました。

ところが、2つの椅子の間に置かれたテーブルは、丸いちゃぶ台を2つ組み合わせたようなもの。

あまりに低すぎる・・・しかも小さすぎて物が置けない・・・

どうして、こんなテーブルが置かれているのか、理解に苦しみました。

おそらく、デザイン的にオーナーが気に入ったのでしょう。

「さて、どうやってご飯食べようか?」

妻と私は、部屋を見回しながら、途方にくれました。

ちゃぶ台を2段に重ねるか? 床に座って、2つのちゃぶ台を並べて食べるか?

どちらにしても、ちょっとテーブルが小さすぎます。

ダイニングチェアの後ろに、個食用と思われるカウンターとハイチェアが1つだけあるのですが、2人で食べるのはきつそうです。

いろいろ思案した結果、ベッドルームに食べ物を運び、ライティングデスクでご飯を食べることにしました。

問題は、ライティングデスクの高さに合う椅子が1つしかないことです。キッチンにあったハイチェアだとあまりに高すぎます。

他に選択肢がないので黒いデザインチェアを使うことにしました。が、今度は座面が低すぎます。仕方がないので、部屋中のクッションをかき集めてデザインチェアの上に重ね、まるで牢名主のような不安定な格好で私が座ることになりました。

まあ、こうした工夫の一つ一つが脳トレになり、旅の醍醐味でもあるのですが、さすがにオーナーさん、客の使い勝手、考えなさすぎでしょう。

謎の部屋

この宿にはもう一つ、謎の部屋がありました。

それは、キッチンの奥・・・

広さは、タタミ2畳ほど。

半分をシングルベッドが塞いでいます。

なぜか一角が凹んでいて、無理やり収納が作ってあります。

おそらくは、エレベーター裏の収納スペースを無理やり寝室に作り変えたのでしょう。これで、この部屋は2DKもしくは2LDKということになります。

まるで女中部屋のような部屋です。

妻と相談した結果、このベッドは使わず、荷物部屋にすることにしました。

このスペースを使ってもう少し生活感のある人がレイアウトを考えたなら、もっともっと使いやすいいいお部屋ができるだろうと勝手に妄想するしかありません。

でもある意味、強烈に思い出に残る部屋ではありました。

「CAB  Ap'art  Luxembourg」
住所:29 rue Philippe II, Luxembourg, L-2340, Luxembourg
電話:+352 621 672 679
メール:cabaparts@gmail.com
WEB:https://www.cabaparts.eu/

部屋の空き状況や値段はこちらでチェック。

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最高のロケーション

以上紹介した通り、ちょっと変わった部屋ではありますが、この立地はルクセンブルクでも最高の一軒だと思います。

宿を出て50mも歩けば、絶景の憲法広場に着きます。

到着の日、夕暮れの憲法広場からの眺めに息を呑みました。

そこは断崖絶壁・・・カップルの後ろにはノートルダム大聖堂、眼前には緑の谷が広がっていました。

広場の端に立って西側を望むと、旧市街と新市街を結ぶアドルフ橋。

その下を流れるのは、ペトリュス川です。

南を見ると、緑の谷の向こうにお城のような尖塔が見えました。

後で調べると、これはお城ではなく、国立貯蓄銀行本館でした。一部が銀行博物館として公開されていて、金融立国ルクセンブルクの歴史が展示されています。

ちなみにこの建物、かつてはEUの前身でありヨーロッパ統合の足がかりとなった欧州石炭鉄鋼共同体の本部が置かれていたそうです。

そして東に目を向けると、新市街の近代的なビルが谷の向こうに並んでいます。

世界一の製鉄会社アルセロール・ミタルや世界最大級のメガバンクHSBCのプライベートバンクといったルクセンブルクを代表する企業群です。

また宿から100mほど歩くと、昼夜変わらず多くの人で賑わうダルム広場があります。

パラソルと食卓がひしめくダルム広場は、ルクセンブルク旧市街の中心。

周辺には多くの飲食店や有名ショップが集まっています。

そして私たち夫婦にはあまり縁がありませんが、宿があるフィリップⅡ通りには、世界的な有名ブランドがお店を構えています。

ルイ・ヴィトンや・・・

エルメス・・・

シャネルに・・・

ディオール。

ブランド音痴の私でも知っている店が並びます。

ここは一人当たりGDPが世界一の国。そしてEUのエリートたちが集う街なのです。

スーパーで買い物

キッチン付きの宿にチェックインしたら、まずは食料の買い出しです。

宿から100mほどのところに、フランスのスーパー「モノプリ」がありました。

ルクセンブルクでは、ルクセンブルク語、フランス語、ドイツ語の3つが公用語ですが、街ではフランス語を一番よく耳にします。

食事も独仏折衷ですが、やはりフランスの影響が強いようです。

さほど大きな店舗ではありませんが、2階建てになっていて、主だった食材は1階で売られています。

いつものように、野菜や果物を中心に買います。

ハムは、フランスのものとドイツのものが並んでいました。

上の「Fleury Michon」はフランス、下の「Herta」はドイツのメーカーです。

一方、ミネラルウォーターやお茶は2階に置いてありました。

結局この日買ったのは、フランス産のオレンジジュース・・・

フランス産の牛乳・・・

フランスのミネラルウォーター・・・

そして老舗ベーカリー「FISCHER」で買ってきたバケットとフランス産のロックフォールチーズでした。

やはりフランスのブルーチーズは美味しいですね。食卓にインパクトを与えてくれます。

「CAB  Ap'art  Luxembourg」
住所:29 rue Philippe II, Luxembourg, L-2340, Luxembourg
電話:+352 621 672 679
メール:cabaparts@gmail.com
WEB:https://www.cabaparts.eu/

部屋の空き状況や値段はこちらでチェック。

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充実の食卓

ルクセンブルクには、美味しいパン屋さんや総菜屋さんもいろいろあります。

そのため、スーパーで買う食材は最小限にとどめ、市場や専門店の食材と合わせて食べていました。

たとえば、ある日の夕食です。

メインは、総菜屋で買った「パテ・オ・リースリング」。

ルクセンブルクを代表する郷土料理で、豚肉のパテをパイ生地で包んで焼き、できた隙間にリースリングワインのジュレを流し込んだものです。

これは文句なく美味しいので、オススメです。

付け合わせは、日帰りで行ったフランスのメッスという町のマルシェで買った新鮮なラディッシュ。

シンプルに塩だけでいただきましたが、これがもう、絶品でした。

そしてデザートは、スーパーで買ったブドウ。

私の大好物である日本のマスカットと比べると、身も小さく皮離れも悪いのですが、味は悪くなく、まずまずといった感じです。

こうして食卓問題も、当初懸念したほどの支障もなく、ルクセンブルク生活をエンジョイできました。

とにかくロケーションは最高、一風変わった宿も結果的には悪くなかったと思います。あまり、細かいことにはこだわらないという方には、絶対オススメの宿です。

「CAB  Ap'art  Luxembourg」
住所:29 rue Philippe II, Luxembourg, L-2340, Luxembourg
電話:+352 621 672 679
メール:cabaparts@gmail.com
WEB:https://www.cabaparts.eu/

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4泊5日ルクセンブルクの旅