<きちたび>ルクセンブルクの旅〜日帰りでフランスまで、三千年の古都メッスでシャガールを楽しむ

「旅したい.com」から転載

<フランス>ルクセンブルクから日帰り旅!三千年の古都メッスでシャガール、マルシェ、キッシュ、チョコレートを楽しむ

🇫🇷フランス/メッス 2019年8月9日

ルクセンブルクをベースにすると、フランス、ドイツ、ベルギーへの日帰り旅も楽しめます。

ということで、この日は国際列車に乗ってフランス北東部の町、メッスまで行ってみることにしました。

ほとんど予備知識もなく訪れたメッスですが、3000年の歴史を持つフランス最古の町の一つで、壮麗な大聖堂や魅力的な市場、美味しいものもたくさんある素敵な街でした。

国際列車で1時間

朝8時、ルクセンブルク中央駅にやってきました。

1859年に開業し、現在の駅舎に建て替えられてからもう100年以上。モーゼル・ネオバロック様式の歴史建造物です。

ルクセンブルク国的のほぼすべての列車がターミナル駅であると同時に、フランス、ドイツ、ベルギーなど多くの国際列車がこの駅を発着します。

国内線の列車ならバスなどと共通の1日券(4ユーロ)で乗り放題ですが、国際列車は新たに切符を買う必要があります。

「INTERNATIONAL」と書かれた売り場で行き先を告げ、往復チケットを買いました。

ルクセンブルク LUXEMBOURG からメッス METZ までの往復チケット。

1人21.60ユーロ(約2550円)です。

出国手続きはなく、改札すらないので、切符を買ったらそのままホームに向かいます。

8時16分発のメッス行き列車TERです。

TERは「Transport express régional 地域圏急行輸送」の略で、フランス国鉄が運行している快速電車のようなものです。

車両は2階建で、1等席と2等席に別れています。

私たち夫婦は、2階の2等席に座ります。外見よりも車内はきれいで、朝早いせいかガラガラでした。

ちなみに、ガラスの仕切りの向こうは一等席。

ちょこっと覗いてみましたが・・・

シートの色が違う以外、大きな違いはない印象でした。

車窓からの景色は、予想したほどきれいではありませんでした。

沿線には新旧さまざまな工場が見えます。

ルクセンブルクも、メッスを中心とするロレーヌ地方も、石炭や鉄鉱石の産地として知られ、昔から鉄鋼業が発達しました。

フランスとドイツが1000年に渡ってこの地を奪い合い、多くの戦争の引き金となった因縁の土地なのです。

行きも帰りも、途中で切符のチェックがありました。

ここでもパスポートのチェックはありません。いつ国境を越えたのかさえわからないのは、旅行者としてもむしろ残念ではあります。

それにしても、このチャラいお兄ちゃん、いかにもフランスです。

ルクセンブルクを出ておよそ1時間。列車はモーゼル川を渡ります。

いよいよメッスに到着です。

フランスの最も美しい駅

メッス駅に到着したのは、9時すぎ。

なかなか重々しい駅です。

それもそのはず、この駅は1908年、ドイツによって建てられました。

普仏戦争に勝利したドイツ帝国は、1871年から第一次大戦でドイツが負ける1918年までアルザス=ロレーヌ地方を併合していました。その時代の建物なのです。

でもフランス人はそんなことはあまり気にしないのか、メッスがフランスに戻った後も、ドイツの建築家が建てたこの駅舎はそのまま使用されています。

ただ、そのまま使うのではなく、構内にこんな不思議なオブジェを置いたりしてフランスの遊び心を演出しているようです。

駅にはピアノも置いてあります。

フランス国鉄の駅には100ヶ所以上ピアノが置かれているそうです。2012年にパリのモンパルナス駅に、誰でも自由に弾けるピアノが初めて設置されてから全国に広がったといいます。

その名も・・・

「A VOUS DE JOUER! あなたの番ですよ!」

こうしたピアノは、フランス以外の駅や空港にも広がっています。そういえば、NHK-BSが時々、駅に置かれたピアノを定点観測する番組「駅ピアノ」を放送していますよ。

さて、メッス駅の外に出てみます。

とても駅とは思えないすごい重厚な建造物です。新興国として一気にヨーロッパ列強の仲間入りをした当時のドイツの勢いを感じることができます。

建物の長さが300m、時計塔の高さは40mあるそうです。

ちなみに、駅舎のお隣に建つ水道塔もすごい迫力です。

これは蒸気機関車に水を供給するために作られたものだそうです。

そして面白いのは、このメッス駅が2017年、「フランスの最も美しい駅」に選ばれたことです。

これはフランス国鉄が自社のFacebook上で行ったコンテストで一般の投票によって選ばれました。ドイツ占領時代に建てられた建造物が優勝するとは、フランス人も太っ腹です。

旧市街でゲランドの塩を買う

駅のインフォメーションに立ち寄ると、地図のコピーをくれて「この辺りが旧市街よ」と教えてくれました。

なんのあてもないので、とりあえずそちらの方向に歩いてみることにしました。

いかにもフランスらしい場所に出ました。

多くのお店はまだ開店前で、食料品店のオヤジさんが店の前に果物を並べ、開店の準備をしていました。

美味しそうです。

肉屋はもう営業しています。外観からして美味しそうです。

私の大好きなパテやテリーヌも並んでいます。

このまま宿に帰るなら買いたいところですが、これから観光、あきらめます。

お花屋さんも、とてもセンスがいい。

やはりフランスの街は、歩いていて本当に楽しくなります。

ここが街のメインストリート、「セルプノワーズ通り」。

フランスを代表するデパート「プランタン」も店を構えていますが、まだ開店前です。

そんな朝の街を歩いていると、「CASINO」というパリ駐在時代に妻がいつも利用していたスーパーを見つけ、「ゲランドの塩」を3つ買いました。13.50ユーロ(約1600円)。日本の半値か、3分の1の値段です。

フランス北西部ブルターニュ地方の特産品である「ゲランドの塩」。我が家の食卓には欠かせない飛びっきり美味しいお塩です。日本ではなかなか手に入らず、しかも高価です。

この日、わざわざフランスの町に来た一番の目的が実はこの「ゲランドの塩」を調達することだったので、早々に目的達成です。

プランタンの近くにある「CAFE DE LA PRESSE」で一休み。

エスプレッソを注文し、トイレを借ります。

ごくごく普通の庶民的なカフェ。エスプレッソは1.70ユーロ(約200円)でした。

屋内市場 MARCHE COUVERT

地図のコピーを頼りに先に進みます。

旧市街の中心「サンジャック広場 Place Saint-Jacques」。

周辺にはレストランやカフェが軒を連ねていますが、ここもまだランチには早すぎて、準備はこれからです。

その先へと進むと、メッスのシンボル「サンテティエンヌ大聖堂」の雄姿が見えてきました。

ただ大聖堂の目の前には、もっと興味を引く建物があったのです。

「MARCHE COUVERT」、すなわち屋内市場です。

専業主婦の妻は、市場やスーパーを見るのが好きで、普通の観光地よりも好む傾向があります。確かに、フランスの市場は魅力的ですよね。

メッスの市場は、コの字型の煉瓦造りの建物で、通路に沿って様々な食料品店が営業しています。

入り口入ってすぐにある肉屋は朝から客が殺到する超人気店。

大勢の職人が作業をしています。

新鮮なお肉以外にも、パテなどの調理済みの食材もたくさん売っています。

お客が集まるということは、間違いなく美味しいのでしょう。

ドイツに近いので、ソーセージ類も実に種類が豊富です。

肉屋の隣は、おじさんが一人で営むチーズ屋さん。

こちらの店には熱気がなく、その分お客の姿もあまりありません。

そのお隣は八百屋。葉物野菜にはミストの演出、いかにも新鮮そうです。

このお店で、私たちの目に留まったのが、こちらのラディッシュ。

あまりに美しかったので、1束買って帰ることにしました。

日本のものより少し細長いラディッシュが30個ぐらい束になって1.49ユーロ(約175円)です。

このラディッシュ、想像以上に美味で、おそらく今回の旅行で食べたものの中で一番美味しかったと思います。

このほか、新鮮な魚介類・・・

種類豊富なオリーブ・・・

加工食品もたくさんあってどれも美味しそうです。

やはり、スーパーで買い物するのとは、ドキドキ感が違います。

市場で調子した食材もいろいろ売っています。

市場内には飲食スペースも用意されているので、気に入った食料を調達してその場で食べるのもいいかもしれません。

フランスのマルシェはどこも魅力的ですが、メッスの屋内市場も絶対にオススメです。

ロシュ橋のトランプさん

市場を後にした私たちは、大聖堂の前の坂を下って、モーゼル川の方へ下ってみました。

川沿いに立つ「タンプル・ヌフ」という教会の写真が素敵だったからです。

「タンプル・ヌフ」とはフランス語で「新教会」の意味。

メッスがドイツの統治下にあった1905年に建てられました。そのため、プロテスタントの教会だそうです。

古そうに見えて、実は新しい教会なのです。

そしてタンプル・ヌフがある中洲に渡る「ロシェ橋」は、様々な植物を使って見事に装飾されています。

それにしても、使われている植物がとてもユニークで、センスの良さを感じます。

橋の上で振り返ると、古い町並みの上に突き出した大聖堂も見えます。

とても美しい場所です。

しかし、そんな美しいモーゼル川に、どういうわけか、あの人が浮かんでいます。

そう、アメリカのトランプ大統領の人形です。

どうして、この場所にトランプ人形なのかはわかりませんが、直後にフランスでG7サミットが開かれたことと関係があるかもしれません。

少なくとも、歓迎されてはいないようです。

3000年の歴史ある街の景色には、ちょっと馴染まない置物ですが、そこがまたフランス・・・。

面白い国です。

木製の歩道橋を渡って、今度は大聖堂の中に入ってみることにします。

サンテティエンヌ大聖堂

歩道橋を渡ると、建物の間から大聖堂が覆いかぶさってくるように見えます。

なんだか「進撃の巨人」のようです。

路地を抜け、坂道を登ります。

メッスのシンボル「サンテティエンヌ大聖堂」は、13世紀から16世紀にかけて建てられたゴシック建築の傑作です。

ゴシック建築の教会としては、ヨーロッパでも最大級だそうです。

確かに、でかいです。

大聖堂の中に入ってみましょう。

入場は無料です。

平日の午前11時。まだ、教会の内部はひっそりとしていました。

それにしても、天井が異様に高い・・・。

入り口から祭壇までの「身廊」部分の天井高は42mもあります。

この大聖堂の特徴の一つは、建物の壁を彩るステンドグラスの数々。

ステンドグラスの総面積は、ヨーロッパ最大級の6500㎡ もあるそうです。

「ランテルヌ・デュ・ボン・デュー(神のランプ)」という愛称で呼ばれています。

よく見ると、窓ごとにステンドグラスの印象が違います。様々な時代の様々な画家が大聖堂の窓を飾ったのです。

有名なのは、こちら。

フランスの画家シャガールが手がけたステンドグラスです。

シャガールはランス大聖堂など、フランスを中心に結構あり、「シャガール・ブルー」と呼ばれるそうですが、メッスのものは黄色というか黄土色が中心です。

最初、こちらがシャガールだと思って写真を撮っていたのですが、どうやら違う作家の作品のようです。

第二次大戦中、メッスの人たちは、戦争で破壊されるのを防ぐため大聖堂のステンドグラスを取り外し疎開させたそうです。

それでも割れてしまった窓を戦後、シャガールたちが再建したのです。

メッスは、3000年の歴史を持つ古い町です。

公式サイトによれば、その起源はローマ以前に遡るそうです。

紀元前5世紀から3世紀に、ケルト人らによって町が作られ、ローマ時代には重要な都市を意味するディヴォドゥルム(Divodurum)と呼ばれていました。共同浴場や水道橋、円形劇場が作られ繁栄しましたが、451年アッティラ族により街が焼き払われたことで、この繁栄の時代が終わります。

6世紀になると、メッスは段階的に、メロヴィング朝フランク王国の北東部「アウストラシア」の首都となり、カロリング期には宗教と文化の都としてその名を馳せます。

10世紀に入ると、メッスは、神聖ローマ帝国に統合されます。メッスを治めたベルトラム司教は中産階級に特権を認め、これによりメッス共和国が成立することになります。

神聖ローマ帝国の影響下にあったメッスは16世紀から17世紀にかけて、フランスに統治下に入りました。

しかし、普仏戦争の結果、1871年にメッスはドイツに併合されます。ドイツ人はここに二重の要塞を築き、不用となった城塞を破壊し、新しい駅を中心に広がる「新都市」を構築しました。

その後、戦争のたびにメッスの帰属は、フランスとドイツの間で揺れ動きます。

ヨーロッパの歴史は、戦争の歴史です。

広々とした大聖堂の椅子に座って、「神のランプ」を眺めながら、この町が味わった3000年の歴史を噛み締めてみるのもいい時間の過ごし方でしょう。

ランチはロレーヌ尽くし

お昼になり、大聖堂も観光客で混雑してきたので、ランチを食べることにします。

しばし付近を物色した後、大聖堂前の広場にパラソルを広げるお店に入りました。

「Cafe Brasserie à la Lune」

カフェであり、レストランであり、バーでもあります。

食事中、激しい雨が降りました。

私たちは店の前に張り出した大きなテントの下に席を取ったので大丈夫でしたが、パラソルで食事をしていた人たちはずぶ濡れです。

せっかくなので、地元ロレーヌ地方のものを食べようと思いました。

私が選んだのは、「ASSIETTE LORRAINE ロレーヌの盛り合わせ」です。

地元のハムやサラミ、じゃがいものロティ、ハーブ入りのホワイトチーズ、そしてキッシュ。

私は知りませんでしたが、日本でもおなじみのキッシュは、ここロレーヌ地方の郷土料理だそうです。

これだけ山盛りで、値段は15.80ユーロ(約1860円)。

ハム類は塩分が強いので、ワインを頼みます。

アルザスの白ワイン「リースリング」をグラスでいただきます。

1杯4ユーロ(約470円)。

日本のグラスワインと違って、たっぷり入っています。

それにしても、ハムとサラミが多すぎで口の中が塩辛くなってしまいました。

さすが本場、美味しいですが、もう少し少ない方がよかったです。それとも、もっと白ワインを注文するべきだったか・・・?

ちなみに妻は、「PLAT DU JOUR 本日の料理」(14.50ユーロ)を注文しました。デザートが付いています。

多くのお客もこれを頼んでいましたが、この日はサケ。個人的には、魅力的ではありませんでした。

フレッソンのチョコ

ランチも食べたので、早めにルクセンブルクに戻ります。

駅に向かう途中、通りかかったのは「サン・マキシマン教会」。

大聖堂と比べるとこじんまりしたカトリック教会ですが、実はこの中にジャン・コクトーが手がけたステンドグラスがあるそうです。

私は大聖堂にあるものと思って探していたのですが、ここにあるとは知りませんでした。事前のリサーチもせずに来ると、こんなことはよくあることです。

そのまま駅の方に歩いていくと、ショーウィンドウがかわいいスイーツのお店があります。

「 fresson フレッソン」

お店のオーニングには「MEILLEUR OUVRIER DE FRANCE」の文字。

フランス文化の最も優れた継承者にふさわしい高度な技術を持つ職人に贈られる「国家最優秀職人章(MOF)」を受賞したお店です。

店内には、ケーキやマカロン、そして・・・

美味しそうなチョコレートも。

なんと日本人女性が働いていました。

「フレッソン」のチョコレートは最近、日本でもデパートの催事などで紹介されるそうです。

せっかくなので、私たちも一番手頃なチョコを買ってみました。

旅先で食べる自分たち用です。

値段は5.20ユーロ(約610円)。

さして期待していなかったのですが、このチョコ、めちゃめちゃ美味しい。オススメです。

再び鉄道に乗って、ルクセンブルクに帰り着いたのは午後3時半ごろでした。

ちょっと疲れたので宿で一休み。

晩ご飯には、メッスの市場で買ったラディッシュを食べました。

ただ塩をつけただけのラディッシュは、最高に瑞々しく、疲れた胃袋を癒してくれます。

日帰りで訪れるフランス・メッスへの旅。

ルクセンブルクにお泊まりなら、絶対にオススメです。

4泊5日ルクセンブルクの旅

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