風邪気味のため、今日はジェッダのホテルに一日籠ることにして、プールサイドでコーランの音色を聴きながら、これまでの旅を振り返りながら、忘れぬうちに書き留めておこうと思っている。
とりあえず、私が宿泊したホテルに関する記事をまとめて書いていくことにする。
フランクフルトはすでに書いたので、次はクウェートだ。

クウェートで私が3泊したのはクウェートシティの中心部にあるフランス発祥のビジネスホテル「ibis Sharq」だった。
「ibis」は世界中に展開していて、外資系ホテルチェーンとしては最も安い部類で、私のお気に入りだ。
初めて訪れる街は、どこにホテルを取ればいいのかわからないので、よほどこのエリアに泊まりたいという場所や宿にこだわりがなければ、まずは「ibis」を含むヨーロッパ系ホテルの連合体「Accor Hotels」で探すようにしている。
この宿も、このグループの共通サイト「All accor. com」から予約した。

私がパリ特派員だった1990年代にはまだ「イビス」はそれほど目立つ存在ではなかったが、今では「メルキュール」や「ノボテル」といったチェーンより数を増やし、どこの街でも見かけるブランドになった。
イビスの特徴は、価格の割に部屋やロビーがおしゃれで、コンパクトながらセンスの良さを感じさせることだ。
クウェートのこのホテルも、入り口の壁に建物の外壁にも使われている赤を大胆に配し、日本のホテルとは違った個性的な部屋づくりをしている。

部屋の広さも欧米のホテルとしてはコンパクトだが、日本のビジネスホテルに慣れた身にはむしろ広いと感じる。
そして部屋の真ん中に置かれたキングサイズのベッド。
日本でも最近ようやくベッドに力を入れるビジネスホテルが増えてきたが、欧米ではベッドの小さいホテルは相手にされない。
やっぱりホテルの本質は睡眠にあり、ベッドの広さはそれを支える大切な機能なのだ。

Wi-Fiがあって、テレビがあって、デスクがあって、冷蔵庫があって、クローゼットがあれば、もう私には十分である。
私にとって重要なのはセキュリティボックスだが、今回の旅でも使い方のわからない金庫に何度か出会った。
その点、このホテルの金庫は使い方もシンプルで申し分ない。

ちなみに、コンセントの形は「BF」というごついタイプだった。

部屋をなるべく広くするため、水回りは自ずとコンパクトになる。
それでも洗面台は下着の洗濯に使ったが問題はなく、熱いお湯もたっぷりと出た。

難点を挙げるとすればやはりシャワーだろう。
広さの関係でバスタブがないのは諦めるが、こういう扉を合わせる形のシャワーは往々にしてお湯が外に流れ出して床が濡れてしまうのだ。
だからあふれたお湯を拭き取って、バスマットがびしょびしょになってしまうという欠点がある。
でもよくあることなので、それも許容できる範囲だろう。

クウェート到着は夜だったので、窓からの眺めはこんな感じだ。
このホテルがあるシャルク地区というのはクウェートの中でも最も超高層ビルが集中しているところであり、こんな夜景を見ながらどこからとも聞こえてくるコーランを聞くというのも、なんとも異国に来た雰囲気を味わえる。
ちなみに、この写真の下の方に写っているネオンが灯ったお店はクウェートでも有名なインド料理店だ。

私がこのホテルを選んで正解だと感じたのは翌日、街歩きを始めてからだ。
写真右側にそびえる「アル・ハムラ・タワー」はクウェート随一の高さを誇る超高層ビルであり、市内のどこにいてもこのビルは見える。
だからまったく初めての街であっても、ホテルからの距離や帰る方向が一目瞭然でわかるのだ。
Googleマップがあるとはいえ、これは非常にありがたいロケーションと言えるだろう。

また「アル・ハムラ・タワー」には大きなショッピングモールが隣接されていて、1階は「マセラッティ」などが平気で売られているのだが、そんなのは無視して3階に上がるとそこはオシャレな飲食街になっている。
私は結局このモール内では一度も食べなかったが、そのフロアの奥にある小さなストアにはお世話になった。

「スルタン・エクスプレス」という名のコンビニ風の小さなお店だが、飲み物やお菓子など私が必要なものは全てここで手に入った。

中でも役立ったのが、こちらのカットされたパイナップル。
1パック0.795クウェートディナール、およそ340円と値段も手頃だ。
しかもこれがとても瑞々しくて、びっくりするほど美味い。
1日に1食か2食レストランで食べて、後はこのパイナップルを食べて過ごしていた。
毎食レストランで食べると金がかかるだけでなく、私には食い過ぎになるから朝や夜はこんなフルーツがちょうどいい。

ということで、2階にあるホテルのレストランには一度も足を運ばなかったが、イビスはフランス発祥だけあって朝食は充実しているので、暑い時期など外出せずにホテルごはんというのはとても現実的なオプションだろう。
ただクウェート出発は朝便だったので、午前4時のチェックアウトとなったがテキパキと対応してくれて、前日に頼んでおいたタクシーも時間通りにやってきた。
料金は3泊で59ディナール、日本円にして2万5290円ぐらいだった。
1泊あたり8430円の計算で、価格以上の価値のあるホテルだと感じた。