<きちたび>アラビア半島の旅2023🕌クウェート🇰🇼 日本でeVisaを取得しても空港で紙にスタンプもらう必要があるらしい

フランクフルトでのトランジットを経て、いよいよイスラムの世界に足を踏み入れることになる。

クウェートは私にとって、90番目の訪問国となる。

いろんな途上国に行ったけれど、イスラムの国々はどうもまだよくわからない。

おまけに今回回る湾岸諸国は、途上国ではなく金満国家なのだ。

フランクフルトの中央駅から空港方向に向かうSバーンに乗り込んだのはフライトの3時間ほど前。

事前にオンラインチェックインを済ませているのでもう少し遅めでもいいのだろうが、せっかくラウンジを使えるプライオリティパスを購入したので、フランクフルト空港のラウンジを試してみようと思ったのだ。

街を離れ、線路は林の中を進んでいく。

ヨーロッパの都市は少し走るとすぐに自然の中に身をおけるのが素晴らしい。

空港ではさっさと出国手続きを終わらせて、ラウンジに直行するつまりだった。

ボーディングパスのチェック、手荷物の検査、そして出国審査も無事に終え、さあラウンジを探そうと思ったのだが、プライオリティパスで利用できる「LuxxLounge」が見当たらない。

そこで、別のラウンジの入り口に座っていた男性に聞いてみると、そのラウンジは出国手続きの手前にあると言う。

今更戻ることもできないので、仕方なく搭乗ゲートの座席で待つことにする。

またしてもプライオリティパスは不発、どうも相性が良くないようだ。

待ち時間を少しでも有効に使おうと思って、クウェートディナールへの両替を試みる。

羽田空港ではクウェートの通貨は扱っていなかったが、さすがフランクフルト、問題なくユーロからクウェートディナールへの両替に応じてくれた。

25ディナール=101.83ユーロ、これに6.99ユーロの手数料が加わる。

クウェートの空港でも両替できるはずだが、到着が夜なので、面倒なことはさっさと済ませてホテルに直行したい。

ちなみに現在のクウェートディナールの価値は、1ディナール=420.88円。

結構、価値の高い通貨なのだ。

ついでにミネラルウォーターも買っておこうと思って探すと、ペットボトル1本が5ユーロもする。

ペットボトルの水がなんと700円。

荷物チェックで液体が持ち込まないことをいいことに暴利を貪っている。

ようやく自販機を見つけたが、それでも4ユーロほど取られ、日本の自販機のありがたみが骨身に染みた。

いろいろ思い通りには行かなかったが、結果的にはラウンジを利用しなくてよかったかもしれない。

というのも、私が乗るクウェート行きのルフトハンザ機は離れた場所に止まっていて、そこまでパスで行かなければならなかったからだ。

出発時刻の1時間近く前なら搭乗が始まり、定刻までには乗客全員が搭乗を終えたと思っていた。

ところが定刻を過ぎてから乗り込んでいた客がいた。

裕福そうなアラブ人たちで、どうやら全員知り合いのクウェート人らしい。

乗り込んだ後も座席を変えて欲しいとかなんとか交渉しているようで、CAたちが総出で右往左往している。

座席の不手際があったのかもしれないが、アラブ人たちには全く慌てる様子もない。

これが悪名高きアラブ人の時間感覚なのだろう。

結局、この人たちのおかげで飛行機は30分遅れでフランクフルト空港を飛び立った。

途中、バルカン半島やブルガリアあたりの上空を飛び、頂上が白くなった山々が見えた。

翼の先のさほど遠くないところがウクライナ。

不思議なもので何事も起きていないかのように、私を含めて多くの乗客たちはそれぞれの日常を生きている。

機内食はチキンを選び、しばらくお別れとなるビールをもらった。

着陸直前にはサンドイッチが出て、どちらも完食。

お腹がパンパンになって、結局2日続けて夕食は抜きとなった。

機内ビデオで、二宮和也主演の「浅田家」を見る。

なかなか示唆に富んだいい作品だった。

フランクフルト〜クウェート便で日本映画が見られるとは思っていなかったが、用意されているラインナップは羽田線と同じで、ルフトハンザは路線ごとに作品を選んではいないということがわかった。

シリアを避けるようにイスラエルの上空を通って、いよいよ目的地のクウェートが見えてきた。

突然、真っ暗な砂漠に引かれた人工的なオレンジのラインが見えてきた。

近づくにつれて、その線が気持ちよく伸びる高速道路の軌跡だということがわかった。

クウェート国際空港に到着したのは、フランクフルトを出てから5時間あまりで着いたことになる。

真新しい空港ビルは、イスラム風のファッションに身を包んだ男女に埋め尽くされていた。

東京であらかじめeViaを取得してあるので、私は入国審査の列に並んでいた。

あと数人で私の番というところで、職員の一人が私のeVisaを確認して「これじゃダメだ」と言い、2階の21番ゲートでスタンプを押してこいと命じた。

何? eVisaって、何なんだ?

私以外の何人かも同じく2階に部屋に行けた言われたらしい。

搭乗ゲートでスタンプヲもらうって意味がわからない。

戸惑いながら2階に上がると、21番ゲートの手前に部屋があり、どうやらここでスタンプをばもらうということらしい。

担当の職員はいかにもやる気のなさそうな男だったが、私のスマホに送られてきていた番号をパソコンに打ち込み書類を作成、その紙を持って別に職員のところへ行くと紙にスタンプを押してくれたのだ。

どうやらアラビア語で書かれたこの紙が正式なビザということらしい。

これなら最初から事前申請などせずに、アライバルビザを空港で申請する方が簡単だったかもしれないとモヤモヤ感が残った。

デジタル化しても出入国手続きのモヤモヤはそう簡単にはなくならないのだ。

何はともあれ、紙にスタンプをもらって再び入国審査のカウンターに戻ると、「もうここには並ぶ必要はない、行け」という仕草で、そのまま入国が許された。

荷物をX線に通してチェックを受け、多くの出迎え客が待つロビーに出た。

ずいぶん手間取った印象だったけど、手続きにかかった時間は20分ほどだったようだ。

フランクフルトで両替も済ませていたので、そのまままっすぐ建物を出て、空港タクシーに乗り込む。

空港から市内まではバスもあるが、初めて来た街、しかも夜間なので、ここはタンシーを使ってホテルに乗りつけるのがもっともトラブルになりにくい。

運選手はアラブ風の頭巾をかぶっている。

「どこの人?」と英語で聞くと、「クウェート人だ」と答えた。

タクシー運転手のほとんどは移民だと聞いていたが、クウェート人のタクシードライバーも中にはいるらしい。

タクシーは広いハイウェイを猛スピードでぶっ飛ばす。

追い越し車線に車がいてもお構いなし、幅寄せして、パッシングして、どんどん追い越していく。

タクシーには何かしらの特権が認められているのか、他の車はみんな素直に道を譲る。

日本では危険運転に対する取り締まりが強化されているので、こんな運転は久しぶり、ちょっと懐かしい気持ちになった。

タクシーは無事、私が予約していた「IBIS SHARQ」に到着した。

運転中、ドライバーのおっさんは何度も「IBIS SHARQ. I know」と繰り返していたが、その言葉は嘘ではなかったらしい。

料金はおっさんの言い値の8ディナール、日本円で3500円ほど。

空港から市内まではだいたい値段が決まっているようだが、夜便で到着した時は法外な要求でなければ応じるというのが私のやり方だ。

事前に聞いていた通り、クウェートのタクシーはメーターを使わず事前に交渉する必要があるようだ。

慣れない中東の旅。

夜間の到着に多少の不安を感じていたが、とりあえず無事にホテルにチェックインができた。

このホテルについてはまた別の記事て書くことにしよう。

すぐにシャワーを浴びて、ベッドに潜り込んだのは言うまでもない。

こうしていよいよアラブ世界の旅が始まった。

コメントを残す