夫子廟

南京に着いた夜、晩飯を食べがてら「夫子廟(ふうしびょう)」に出かけた。

超近代的な新街口から街をぶらぶら散歩しながら目的地に向かう。ネット環境を持っていないので、頼るべきはホテルでもらった一枚の簡単な地図だけだ。

途中、暗闇で踊る集団に遭遇した。

中国では街角で音楽を流してみんなで踊る健康体操のようなものが流行っているとテレビで見たことがある。おそらくそれであろうと理解した。

誰でも参加できるはずだ。それにしても、暗すぎないのだろうか。

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高層ビルが光に包まれている新街口から少し離れるだけで、街は一気に暗くなる。古い雑居ビルの1階には小さな商店が軒を並べる。歩道も狭くなり、工事中で車道しか歩けない場所も多い。私が知る昔のアジアがそこにはあった。

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コンビニもある。「HOWDY」というチェーン店が一番目についた。ミネラルウォーターを買ったが、日本と違い店員はまったく無愛想だった。中国人にサービスは期待していないから、別にいいんだけど・・・。

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かなり歩いた。

私はかなり方向感覚が優れている方だと思うが、さすがに心細くなる。手にしている地図には細かな道路や目標物など何も書かれていないので、自分がどこにいるのかはっきりわからない。

南京の治安状況についてもよく知らない。中国に限らず、夜、暗い場所を歩くことは危険を伴う。旅行者は、地元の人もなかなか足を踏み込まない危険地帯に知らずに入り込んでしまうことがある。

リスク管理は海外旅行では非常に重要だ。そろそろ引き返した方がいいかと感じた時、交差点の矢印に「夫子廟」の文字が現れた。

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目的地が近づくと人間は元気になる。先ほどまでの不安な気持ちはあっという間に消え去り、開店したての店の前に並んだ多数の花輪に異国を感じる余裕が出た。

後で少し詳しい地図で見ると、新街口から夫子廟は5キロほど距離があったようだ。

夫子廟が見えてきた。道路を渡るため、地下道に入ってまた驚いた。

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何やら得体の知れない雑貨屋が並んでいる。確か台湾でこんな所あったなあ。場末の何とも言えない胡散臭い店が続く。誰がこんな商品買うんだろうか。このまま人さらいに連れて行かれるんではないかと不安になるほどだ。

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迷路のような不思議な地下道の出口を見つけた。階段を上がると、夫子廟の入口だった。

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「南京夫子廟」と書かれた立派な門が建つ。

ここから先の一帯は、明清代の建物が再建された人気の観光スポットだ。夜も多くの人が集まっている。

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古代の江南民家建築の町並みが続く。明かりが煌々とともされ、新緑の下、みんな楽しそうにそぞろ歩きを楽しんでる。言葉を聞く限り、ほとんどが中国人だ。

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赤い灯がなまめかしい。戦前中国に雄飛した日本男児たちには、この赤い灯はきっと魅力的に映ったのだろう。狭く貧しい日本を抜け出し、大陸で一旗あげたい。最初はそんな気持ちで中国に渡った人も多かったのかも知れない。

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商店街を抜けると広場に出た。ここが夫子廟の中心だ。

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この広場に面して「夫子廟大成殿」という建物がある。儒教の祖・孔子を祀った廟らしい。門を入ってすぐのところに壁があり、近づくとまったく見えないが、離れると・・・

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孔子像が立っているのが見える。ちゃんと見ようと思えば入場料30元を払わなければならない。混んでいるようだし、私はパスすることにした。

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広場の反対側は秦淮河(しんわいが)という名の運河に面している。屋形船のような遊覧船が並ぶ。この船は「秦淮河舫」と呼ばれているらしい。運河の向こう側には水上ステージが作られて、女性2人が歌っていた。

中国最初の晩飯を食う店を探しつつ、街をぶらぶらする。

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赤い提灯と電飾に彩られた飲食店。まるで映画「千と千尋の神隠し」のセットのようだ。

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人力車に乗った人もいる。暑くもなく寒くもなく、最高の夜だ。

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土産物屋をひやかす。この店の商品はかなり精巧だ。

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飾りたいかどうかを別にすれば、この木彫りなどかなり良くできている。

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「江南貢院」というのは1168年に建てられた建物で、中国の官吏登用試験「科挙」の試験会場として使われた場所だという。ここも入るには、入場料25元がかかるというのでパス。

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こうした夫子廟の建物のほとんどは日中戦争で日本軍によって破壊され、1990年代に30億円をかけて再建されたものだという。

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いろいろお店を見て回るが、どこがいいのかまったくわからない。夫子廟で有名なのは「小吃(シャオチー)」と呼ばれる小皿料理だという。そんな中から比較的賑わっていた「百花苑」というお店に入ることにした。

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小籠包や餃子、麺類などの一品料理を扱う屋台が軒を連ね、お客は好きなものを買って奥のスペースで食べる。まあ、昔ながらのフードコートといった所だ。

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機内食が胃にもたれ、それほどお腹は空いていないが、セイロで蒸している様子にはやはり惹かれる。

日本語はもちろん英語もまったく通じないが、「蟹黄小籠包」というこの店で一番高いメニューを勧めているのはわかった。

せっかく中国に来たのだから、オススメのものを食べてみよう。5個入りで30元。日本円で540円だ。

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これが蟹黄小籠包だ。絞った口が黄色い以外は普通の小籠包のようだ。

しかし日本なら必ず付くきざみ生姜入りのタレが出てこない。どうやらこのまま食べるらしい。

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食べる場所はこんな感じ。まあ清潔だ。まわりは全員、中国人だが、言葉がわからない外国人の私に特段注意を払う様子の人もいない。気楽だ。

ちょっと大きめかなというサイズの小籠包にかぶりつく。熱い汁が中からあふれ出す。

熱い。でも美味い。

確かに店の親父さんが勧めるだけのことはある。濃厚な旨味がある。甘みが強い。

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この日の晩飯はこれだけ。これだけでお腹一杯になった。

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帰り道で気になる店を見つけた。牛乳瓶のようなものがいっぱい並んでいる。

「老南京酸乃」の文字。「酸」の一文字から「ヨーグルト」かなと推理する。

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店の女の子に「ヨーグルト?」と聞いてみたがまったく通じない雰囲気だ。困った女の子は電卓で「15元」と打って私に示しながら少し照れ笑いした。

晩飯も小籠包だけだし、まあ試してみるかと覚悟を決めて一つ頼んだ。

透明のビンかと思っていたが、受け取ると白い陶器のボトルだった。中はやはりヨーグルトらしい。ストローで飲むと甘みのほとんどない酸っぱいだけのヨーグルトのようなものだった。牛乳の膜のようなものも残り、お世辞にも美味いとは言えない。

中国の食品は信用できない。特にこうした夜の観光地で売られているものは、何が入っているかわかったものではない。そうした疑念が必要以上に私の舌を懐疑的にしている。

帰国してからネットで調べてみると、上海では「上海老酸乃」という名のヨーグルトが人気だと書いてあった。それを真似た商品だったのかも知れない。

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こんな看板を掲げた店も気になった。「南京豆」という子供の頃聞いた言葉を思い出す。南京ではやはり豆が名産品なのか。

ただ、この日はこれ以上チャレンジする気持ちにはなれず、とぼとぼ暗い夜道を歩いてホテルに戻った。

「地球の歩き方」によるオススメ度は星2つ。私のオススメ度も星2つだ。

 

<参考情報>

私がよく利用する予約サイトのリンクを貼っておきます。

 

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