<きちたび>カナダの旅 2016〜大橋巨泉も愛したカナディアン・ロッキーの玄関口バンフを歩く

🔶「旅したい.com」から転載

<カナダ>大橋巨泉も愛したカナディアン・ロッキーの玄関口バンフを歩く

🇨🇦カナダ/バンフ 2016年8月 5泊6日

世界遺産「カナディアン・ロッキー山脈自然公園群」。その観光の拠点となる街がバンフです。バンフ大通り沿いに集中するこの町の見所をまとめてみました。

小さな町なので観光スポットは限られていますが、何かテーマを持って歩くと意外な発見がありそうです。

カスケード・ガーデン

カスケード・ガーデンは、バンフ大通りの南端、ボウ川を渡った突き当たりにある庭園です。

あまり好奇心旺盛とはいえない妻ですが、お庭を見るのは大好きです。
バンフの代表的なガーデンということで訪ねました。
入場は無料です。

庭園の中央に建つレンガ造りの建物は、1935年完成。今は公園の管理事務所になっています。

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ただ残念ながら、期待したほどの「美しいお庭」ではなく、多くの植物は最近苗を植えたばかりという状態でした。
寒い土地で植物を育てるのは大変なのかとも思いますが、ちょっと雑な印象は拭えません。

でもそんな中で、この名も知らぬ花の色は気に入りました。

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カーネーションにも似ていますが、何という花でしょうか?

バンフ公園博物館

続いて訪れたのは、パンフ公園博物館。
ボウ川にかかる橋のたもとにあります。

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こちらは、1903年に建てられたカナダ西部では最古の木造建築。
館内には、ロッキーの動物や鳥などのはく製が陳列されています。
入場料は、大人3.9ドル。

中は、こちらも展示はかなり大雑把。
ガラス棚の中にたくさんの動物が詰め込まれ、四方の壁には動物の頭部が……。

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これは、アメリカバイソン。

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ヘラジカ。

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ビーバー。

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そしてこちらは、あまり見たことのない動物。

ジャコウウシというのだそうです。

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特別変わった演出もなく、田舎の博物館という印象ですが、それでも子どもたちは目を輝かせていました。

純粋な心は大切ですね。

私も早朝のバンフ郊外で野生のエルクと遭遇した時には、思わず興奮してしまいました。

バッファロー・ネーション・ラクストン博物館

その次は、再び川を渡ってバッファロー・ネーション・ラクストン博物館。

1952年、ラクストンという人が作った北米インディアンの歴史や生活ぶりを展示した博物館です。
入場料は、大人10ドル。

実物大のテントや衣装などが飾られる中、1枚の古い写真が私の興味をひきました。

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インディアンのお母さんが赤ん坊を負ぶっている写真です。
ちょっと微笑ましくないですか。

この赤ちゃんをおんぶする背負子のようなものの実物が展示してありました。

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インディアンは、基本的に狩猟採集民族でした。
定住せず、獲物を求めてテント暮らしをしていたので、赤ちゃんたちも寒かったでしょうね。
それにしても、どれもなかなか可愛いデザインです。

もうひとつ興味をそそられたのが、バッファロー狩りのジオラマです。

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群れから切り離したバッファローの一群を崖に向かって誘導、突進させ、集団のまま崖から落として仕留めるのです。
想像するだけで迫力満点ですが、先住民の人たちはハンターとしてかなり高度な技を身につけていたと感じました。

ちなみに、カナダでは近年、インディアンの呼称は使わず、「ファースト・ネーションズ」と呼ぶのが一般的だそうです。

現在カナダ全体で、自らを先住民と称している人の総人口は120万人ほど。
この100年間、増加を続けているのだそうです。

中でも、先住民との混血「メイティ」と呼ばれる人たちが大幅に増えています。

そして今、先住民人口の実に50%以上が都市部に移り住んでいて、貧困など新たな先住民問題も起きているということでした。

アッパー温泉

街歩きの最後は、妻を宿に戻して、ひとりでアッパー温泉へ。
温泉とは言っても、水着で入る屋外の温泉プールです。

1884年に発見されたこの温泉は、夜10時まで入浴可能。
私が行ったのは午後7時でしたが、世界中から集まった様々な国籍の観光客たちでにぎわっていました。

中でも目立つのは、ここでもやはり中国人。
この日は、日本人の姿はほとんど見かけませんでした。

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受付で入場料7.5ドルを払い、ロッカー代が別に1ドルかかります。
現金で払って、シャワーを浴びて、屋外の温泉プールに。

多民族国家カナダを実感させるこの温泉ですが、みんな、どの顔も笑顔。
本当に、幸せそうです。
温泉の気持ちよさは、世界中の人が感じる万国共通の快感なのでしょう。

日本の温泉はもちろん最高ですが、水着で混浴、家族全員が一緒に楽しめるこうしたスタイルの温泉ももっと増えてもいい、海外からのお客さんには、その方が馴染みやすいだろうなと感じました。

インバウンド熱が高まった日本でも、このスタイル、ありですね。

花のタネは缶詰で売られていた

小さな町なので、観光名所と言えるような場所は多くありません。それでも、テーマを決めて町を歩くと、思わぬ発見ができるものです。

妻のテーマは、カナダらしい花のタネを入手すること。
私は、バンフでまったく見かけない新聞事情を探ることです。

まずは花のタネ。
街の花屋さんを探します。
しかし、バンフの花屋はどこも切り花か鉢植えが中心で、タネを売っている店はありません。

スーパーでも聞きました。
やはりタネの取り扱いはありません。
どこで売っているかと聞くと、親切な店員さんが、ある雑貨屋さんを教えてくれました。
訪ねると、わずかですがガーデニング用品を置いています。
そして、そこに「タネの缶詰」が売られていました。
ヒマワリやパンジーなど、日本でもなじみのある花ばかりです。

ちょっと変わったカナダならではのタネを探していたので、買いませんでしたが、タネが缶詰で売られているということが、ちょっとした発見でした。

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どうやらこちらの人たちは、タネから花を育てるということをしないみたいで、苗のポッドを店で買い、そのまま庭に植えるようです。
そういえば、カスケード・ガーデンでも植えられたばかりの花の苗をたくさん見ました。

寒いため、タネから育てるのが難しいではないか、これが二人の推測です。

バンフの人は新聞を読まない

続いては、私のテーマ、新聞です。

どんな発展途上国でも、大体ローカルの新聞があり、私も読んでいました。
しかし、パンフに来て新聞を読んでいる人をまったく見ません。
ちょっと気になり、調べてみることにしました。

まずは、パンフの街中にある本屋の親父さんに聞いてみました。
新聞は、置いていないといいます。
「パンフの人は新聞は読まないのですか?」と聞くと、「あんなゴミみたいなもの」とちょっと辛辣な答えが返ってきました。
そして「欲しければスーパーの入口付近にタダで置いてある」と教えてくれたのです。

そこで、スーパーに行ってみました。
確かに、入口の目立たない一角に乱雑に置いてありました。
買物に来た時には、まったく気がつきませんでした。

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有料の新聞が2紙、カルガリーの地元紙「CALGARY HERALD」と「CALGARY SUN」、パンフのものはないようです。
そして、本屋の親父が言っていたフリーペーパーが2紙置いてありました。
「Rocky Mountain Outlook」と「The Bow Valley Crag & Canyon」という、主に観光を扱ったもののようです。

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トップニュースはオオカミ

ちなみに、最近注目のローカルニュースは何なのか、少し読んでみました。

この日、大きく扱われていたのは、オオカミの話でした。

食料やゴミをあさりにキャンプ場に現れたオオカミを公園職員が撃ち殺した事件が、地元では大きな問題となっているようです。
人間に追われ、オオカミたちの生存が厳しくなっていると専門家が指摘し、対策の必要性を訴えているのです。

また、ロッキー・エリアでは、週末の人手不足が深刻なようで、これも大きな記事になっていました。
確かに、中心地のバンフでさえ人口7500人程度。
世界中から集まる観光客に対応するには、働き手確保の問題はありそうです。

新聞を読みながら、ベッドメイキングに来たワーキングホリデーの若者たちの顔と、ところどころで目にする「オオカミ注意」の張り紙を、思い出しました。

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大橋巨泉という生き方

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バンフ大通りにある「OKギフトショップ」をのぞきました。
ご存知、大橋巨泉さんのお店です。

テレビ全盛期に活躍した文字通りテレビ界の巨人。
その巨泉さんが、私たちの旅行の直前、2016年7月12日に亡くなられました。
82歳でした。

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巨泉さんは、1972年、バンクーバーに「OKギフトショップ」をオープン。
その後、ここバンフとナイアガラ、さらにオーストラリアとニュージーランドにもお店を構えました。

56歳でテレビの仕事から「セミリタイア」し、日本とカナダ、オーストラリア、ニュージーランドを季節ごとに巡り、人生を文字通り謳歌しました。

しかし、やはりゴルフ三昧の生活だけでは飽きるのでしょうか。
2001年に、民主党から参院選に立候補。
国会議員になります。

しかし、当時の鳩山代表と意見が対立し、わずか6ヶ月で議員を辞職しました。

巨泉さんは民主党に対し「中道左派」の党になることを求め、9.11後にアメリカ支持を打ち出した鳩山執行部と対立したのです。
やはりこの時代のテレビ人は、基本的にリベラルな人が多かったということでしょう。

巨木と生きる

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大橋巨泉が愛した、カナダという国。
ボウ川の畔を歩くと、いくつもの豪邸が建ち並んでいます。

家の庭には、巨木がそびえます。

カナダは、「森の大国」。
人々は大きな木に囲まれ、森林と共存しながら暮らしています。

だから、アメリカとはひと味違う、大らかさと素朴さを感じるのでしょう。

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日本では、絶対に味わうことのできないスケールの大きさ。

大橋巨泉という日本人離れした人間が、自分の老後を過ごす場所として、カナダを選んだのは、ごく自然なことだったように思えました。

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