<きちたび>中国南京の旅〜人の多さに疲れたら夕暮れの「中華門」へ

🔶「旅したい.com」から転載

<中国>人の多さに疲れたら夕暮れの中華門へ!古代の武器と漢詩の世界

🇨🇳中国/南京 2017年5月 3泊4日

南京市街地の南にそびえる中華門の魅力をまとめました。南京を訪れるなら、ぜひ行ってみてください。

中華門を訪れるのは夕方がオススメ。南京の主な観光施設が夕方閉まるのに対し、中華門は夜8時半まで入場可能だからです。しかも、昼と夜、2つの顔を見ることができる。

中華門への道

最寄駅は地下鉄1号線の「中華門駅」。

ただ駅名に騙されてはいけません。駅から中華門までは相当離れているからです。

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中華門駅を降りて、地下鉄(この辺りでは地上を走っている)の線路沿いに中山南路を北に向かいます。特に何の面白みもない道なので少し不安になりますが、気にせず歩いていくと遠くに城壁が見えてきます。

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城壁の手前に秦淮河という運河が流れていて、その運河沿いに遊歩道が整備されています。

運河にかかる橋を渡りきったところに遊歩道に降りる階段がありました。

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時間は夕方の6時20分。ちょうど夕日が沈もうとしていました。

近くから見ると、見上げる城壁はとてつもなく高いのがわかります。

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城壁に沿って遊歩道を東に歩きます。

夕暮れのお散歩を楽しむ人たちとすれ違います。のどかな時間です。

世界七不思議の塔

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運河の反対側には真新しい集合住宅が建てられていて、その奥に見えるのは、2015年に開園したばかりの大報恩寺遺跡公園に建つ瑠璃塔です。

この時は知らなかったのですが、帰国後に調べていたら、南京大報恩寺の瑠璃塔は中世ヨーロッパで語られた世界七不思議の一つだったそうです。

全て陶器で作られた高さ80メートルの9層の瑠璃塔は、ローマのコロッセオ、アレキサンドリアのカタコンベ、万里の長城、ストーンヘンジ、ピサの斜塔、イスタンブールの聖ソフィア大聖堂と並ぶ世界七不思議に数えられましたが、1850年の太平天国の乱で破壊されました。

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これは中国のサイトに再建された瑠璃塔の写真が掲載されていました。再建するといえば日本人はかつての姿を忠実に蘇らせようとしますが、中国の場合は違うようです。

内部の写真がこちら・・・

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知っていれば、見に行きたかったです。

そういえば、南京博物院に大報恩寺の一部が展示されていたのを思い出しました。

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これが瑠璃塔の跡から見つかった門だということです。

きっと塔全体がこのような色彩豊かな陶器でできていたのでしょう。

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大報恩寺を描いた絵も展示されていました。当時としては世界的にも貴重な建築物だったのでしょう。

8時半まで入場可能

さて、話を中華門に戻しましょう。

運河沿いにしばらく歩くと、中華門が目の前に現れました。

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知らなかったのですが、中華門は東門と西門に分かれていました。もともとこういう構造になっていたのか、自動車が増えたためこういう構造に変えたのかは不明です。

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東門と西門の間に「中華門」と書かれた小さな門があり、その脇にチケット売り場らしきものがありました。ただすでにゲートが閉まっています。

夜8時半まで入場できるという「地球の歩き方」の情報は間違いなのか。ちょっと愕然としながら、東門を通って城壁の内側に入ってみることにしました。

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城壁の内側は街路樹が植えられ綺麗に整備されています。そしてうれしいことに、こちら側に正式な入場門があり、まだ営業していました。

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入場料は50元でした。すでに6時半を過ぎ、観光客もまばらです。

中華門は想像していたのとは違い、何層にも門が連なる複雑な構造をしていました。

「地球の歩き方」の説明によると・・・。

『南京の中華門は幅118メートル、奥行き128メートル。中国の現存する最大の城門だ。明代初期に周囲34キロ、13の城門を持つ南京城の正門として造られた。現在見られるのは清代に再建されたもので、1930年代には日本軍もここで中国国民党軍と戦った。』

確かに「南京大虐殺紀念館」の展示の中にも中華門での戦闘シーンがありました。

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中華門に総攻撃をかける日本軍歩兵第四十七連隊の決死隊。

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もともと広大な平原が続く揚子江流域は中国の中でも最も豊かな地域であり、そのため古代から戦争が絶えず、巨大な城壁を築いて外敵の侵略に備えました。

城だけを守る日本の城壁と違い、中国の城壁は街全体を守るために作られたものです。だから、スケールが違うのです。

中華門は要塞

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城門の中には様々な施設がありました。

例えばここ、武芸を競う舞台のようです。

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数々の鉾が並び、周囲に重りのようなものが置かれています。

詳しいことはわかりませんが、どうやらこういう風に使うらしいです。

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何だか、「ドラゴンボール」に出てくる天下一武道会を思い出します。

ちょっとユーモラスです。

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門の裏には隠し部屋もありました。「蔵兵洞」と言って、兵士を隠しておく場所です。このような蔵兵洞が27もあり、3000人の兵士が配備されていたということです。

単なる城門ではなく、中華門そのものが要塞だったのです。

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城壁に上がるための階段が設けられていました。

日が暮れると、提灯に灯りがともります。

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城壁の上は広いテラスのようになっていて、昔の武器がいろいろ展示されていました。

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案内板には日本語の説明も書かれています。

「古代中型進攻型戦車である。一発で数本の長箭を発射できる。騎軍と堅固な砦を攻撃できる」

続いては・・・

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「古代防衛性武器である。一般的には高所陣地に使われ、兵士の進攻方陣をかき乱せ、進攻の兵士に一定な殺傷力と威嚇力がある」

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「古代進攻型戦車である。巨箭又は小石塊を射出し、敵軍を攻撃できる。かつ、射撃の角度を調整し、射程をコントロールできる」

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「明代大砲」。

これは日本語の説明はありませんでした。

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「礌石」。

これも日本語の説明がありませんが、大砲の弾でしょう。

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「進攻型武器であり、城壁の破壊に適用される。人の戦力を殺傷する大型武器であり、方陣をかき乱せ、威力が巨大である」

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「進攻型武器であり、射程が遠く、精確度も高い。ある時も長箭に火薬を付け、ミサイルのひな形である」

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そして最後の武器は・・・

「トレビュシェットの一つ、攻城戦の武器である。より短い距離に石塊を投げ、砕石によって、砦及び城壁を守衛する兵士を攻撃し、砦を守衛する兵士に巨大な殺傷力をもたらせる」

静かな夕暮れ

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これらの大型兵器が並ぶのは中華門の上にある広大なテラスのような場所です。

ここからは南京の街並みがよく見えます。

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城壁の上に回廊が幾重にも巡らされ、下から迫る敵兵を上から攻撃できるようになっています。

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城壁の外側はライトアップされ、夕闇に浮かび上がります。

暑くもなく、寒くもなく、人も少なく、中国では珍しく静かな時が過ごせました。

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攻撃用に作られた城壁の凹みに照明が仕込まれ、幻想的な光景に変わっていきます。

大報恩寺の瑠璃塔にもLEDライトが仕込まれているらしく、赤や緑など様々な色に変化します。

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ライトアップされた南京城壁の天に月が昇ります。

これはまさしく漢詩の世界だと思いました。

場所は多少違いますが、「石頭城」という漢詩に城に昇る月が出てきます。

「石頭城」

山囲故国周遭在

潮打空城寂寞回

淮水東辺旧時月

夜深還過女牆来

この漢詩の意味は、次のようなものです。

「山は古い都をぐるりと取り囲み、潮は人けのない街の城壁に打ち寄せてはまた寂しく返る。秦淮の東、昔ながらの月が、夜が更けるとまた城壁の上のかきねにさし昇ってくる。」

石頭城は、三国志に登場する呉の孫権が赤壁の戦いで勝利した後、南京の郊外に築いた城です。

解説によれば、六朝時代の堅固な城が荒廃してしまった姿を詠い、月の光を浴びながら物思いにふける作者の姿を想像しながら、読者も深い懐古の情にひたるのだそうです。

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中国に来て、こんなに人が少ない場所にいたのは、中華門を訪れたこの時だけでした。

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赤い提灯が旅情をそそります。

美的センス

そう思って、城壁の下に降りると・・・

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中華門のトンネルが凄まじい色に光っていました。まるで安っぽい怪奇映画のようです。

さすがは、中国。

日本人とは美的センスが違います。この演出の意図は一体何なのでしょうか?

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遊歩道を、来た時とは逆に辿って、地下鉄の中華門駅に向かいます。

こちらの照明は、いいセンスでした。

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秦淮河の橋を渡り、城壁の方を振り返ると、水面に映える城壁の灯りが文句なく美しかったです。

せっかくなら、あの中華門のトンネルや大報恩寺のライトアップも何とかならないものでしょうか?

美的センスの違いも外国旅行の楽しさですが、あまりに残念な気がしてなりませんでした。

夕暮れの中華門。

「地球の歩き方」のオススメ度は星2つ。私のオススメ度は星3つとしたいと思います。

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