<きちたび>与那国島の旅 2020〜久部良「海響(いすん)」の「長命草ひらやーち&花酒」

この週末、与那国島と石垣島に行ってきた。

今年の目標である全日空の「スーパーフライヤーズ会員」資格を得るための旅、第一弾である。

なぜ与那国島を選んだかと言えば、日本最西端の島という以外にはあまり理由はない。それ以外にほとんど知識がないというのが行った理由かもしれない。

しかし、鄙びたその絶海の孤島は、放牧された馬たちが自由に舗装道路を歩く、実の面白い島だった。

最大の観光資源は、島の南側に眠る「海底遺跡」。

これは私も以前から興味を持っていて、この機会にぜひ見てみたいと思っていた。

そんな与那国島で夕食を食べたのは、久部良地区にある居酒屋。

「島料理 海響」。

「海響」と書いて「いすん」と読む。

宿で紹介されたお店だ。

午後6時開店の直後にお邪魔すると、テーブル席もまだガラガラだったが、カウンター席に座るよう言われた。

確かに、時間が経つにつれ次々にお客さんがやってきて、すぐに店はいっぱいになった。人気店のようだ。

入り口には大漁旗が飾られ、天井のインテリアに使われているのは漁網だ。

いかにも島の居酒屋さんという感じがとてもいい。

メニューを開けると、沖縄色満載。

沖縄料理の項目には、「うちいなー」と書いてあるように読める。

沖縄本島では沖縄のことを「ウチナー」と呼んでいるが、「うちいなー」というのは与那国言葉なのだろうか?

まあ、そんなことはどうでもいい。

まず頼んだのは、「どなん 花酒60° おちょこ」(500円)。

「花酒(はなざけ)」は、泡盛を蒸留する時に最初に出てくるお酒。沖縄県内でも、与那国島だけでしか作られない稀少性の高い酒だと聞く。

アルコール度数は60度、日本最高度数の酒である。

ちなみに、商標の「どなん」は与那国の方言で与那国島を意味する。

与那国に来たからには花酒を飲もうと思って頼んでみたのだが、左側のグラスにちょこっと入ったのが花酒で、右側はチェイサーの水である。

まず、花酒の量の少なさに驚く。

60度というのは、それだけ強烈だということだろう。

でも一口飲んでみると、これが意外にまろやかで飲みやすい。むしろ危ない感じだ。

この花酒に関して、蔵元のサイトにこんなエピソードが載っていた。

島の文化として亡くなった人を火葬せず埋葬する際に花酒を2本(1.8L)を一緒に墓の中に入れ7年後の洗骨の儀式の時に遺骨を取り出し、墓の中に入れた花酒で遺骨を清め、最後に花酒を掛けて火を付け燃やし遺灰にして再び墓の中に入れます。

残りの1本は集まった人たちで故人を偲びながら7年古酒となった花酒を飲んだり、酒の飲めない人は故人が7年間大事に育てた薬として体の悪い部分に花酒を塗り、マッサージしながら悪い部分を故人に治してもらうという風習などから、与那国島の生活には欠かせないお酒として大切に守られてきました。

出典:崎元酒造所

最果ての島に生まれた不思議な文化だ。

花酒に合わせてまず注文したのは、「かじき刺身」(700円)。

かじきは与那国の名物。年間1000本のかじきが島に水揚げされ、公式の「島魚」にもなっている。

店のメニューにも、唐揚げ、味噌炒め、バター焼きと様々なかじき料理が並ぶ。

カウンターに置かれたボトルにも「与那国島国際カジキ釣り大会 優勝」のラベルが貼られていた。

毎年7月の第1週に開かれるこの国際大会には、国内外から多くの釣り愛好家が与那国に集まると言う。

ちなみにこの優勝ラベルが貼られたボトルは一升瓶の10倍、泡盛の十升瓶だと聞かされまたまた驚く。

マグロに比べると色の淡いかじきの刺身につけるのは・・・

甘口の島の醤油。

でも好みで普通の醤油も置いてある。

さらに、普通のわさびの他に、島唐辛子も用意され、味の違いを楽しむことができる。

花酒をちびちび飲みながらかじき刺身をつまんでいると、刺身が先になくなった。

続いて頼んだのは、「長命草ひらやーち」(400円)。

「ひらやーち」の意味を知らずに注文すると、こんなものが出てきた。

「ひらやーち」とは要するに沖縄風お好み焼き。「平焼き」の沖縄方言だそうだ。

そして「長命草」というのは、与那国島の自生するセリ科の植物である。

栄養価が非常に高くパワーベジタブルと呼ばれていて、青汁や健康食品の原料として最近注目されているという。

美容にもとてもいいそうで、あの資生堂が長命草のタブレットやドリンクを販売しているそうだ。

食べると長命草の味よりもソースやマヨネーズの味が強くて、普通のお好み焼きのようで、普通に美味しかった。

ここで花酒がなくなったので、次のお酒を注文する。

選んだのは、「コーヒー酒 グラス」(600円)。

意味がわからないまま注文すると、たっぷりの氷が入ったグラスの底にコーヒー色の液体が入っている。

この「コーヒー酒」は、コーヒー豆を泡盛に漬け込んで作るそうだ。

飲むとコーヒーの味が泡盛の甘ったるさを消すので、とても飲みやすい。

たっぷりの氷が、味を引き締める。

これなら何杯でも行けそうで、やばい。

ここで壁に貼られていた「オススメ!!」が気になった。

気になったのは、「パパイヤの漬物」(400円)。

残念ながら、これは失敗だった。

予想以上に甘いのだ。

甘酸っぱいというよりも、甘いものがちょっと腐って発酵しているといった感じだろうか?

不思議な味がして、不味い。

これでは終われなくなって、「しめ」のメニューに手を伸ばした。

「与那国そば パリパリ あんかけ」(850円)。

これもまったくイメージがわかないまま注文したのだが、予想したより量が多かった。

「与那国そば」は普通の沖縄そばよりも太麺で、それをかたやきそばのように揚げたものがとろみのあるスープに浮かんでいる。

通常の「あんかけ」のように麺の上にあんが乗るのではなく、周辺を覆っている感じだ。

麺を割ってスープに絡ませながら食べる。

スープはあっさりとした塩味で、結構美味い。

だが、完全に食い過ぎ。

せっかくコーヒー酒で口の中があっさりしたのに、お腹ははち切れそうだ。

この日のランチは開いているお店を見つけられず、雑貨屋さんで買った瓶入りのバターピーナツだけで済ませたので、与那国の食事事情を懸念していたのだが、この店は実にいい。

知らない料理のワンダーランドに迷いこむのは楽しい経験だった。

食べログ評価3.53、私の評価は3.70。

「島料理 海響」
電話:080-5476-2230
営業時間:18:00~23:00 
定休日:水曜日

与那国島の旅 2020

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