アイヌの博物館「ウポポイ」を訪れる今回の旅、どこに泊まればいいのかすぐには見当がつかなかった。
しばし地図を眺めて決めたのが登別温泉。
言わずと知れた北海道の名湯だが、行ったことはないし、正直どんな温泉かもよく知らなかった。
しかし、地図を見ると「ウポポイ」から遠くはなさそうだ。

楽天トラベルで、飛行機やレンタカーでセットで予約したのが、こちらの老舗旅館「第一滝本館」。
あまり調べもせず、口コミ評価と値段で決めた。
1泊2食の宿泊料金に羽田〜新千歳の往復航空券と2日分のレンタカー代を加えて、「GO TO」を使って2万8500円。
しかも、6000円分のクーポンがもらえるので、実質2万2500円ということになる。

レンタカーを駐車場に停めてチェックイン。
老舗温泉旅館らしく、ロビーは天井も高くて広々している。
チェックイン時に夕食と朝食の時間を選び、クーポンを受け取る。

大型旅館なので、建物もいくつかに分かれている。
私があてがわれた部屋は東館の6階だった。

老舗旅館とはいえ、中はリフォームされていてモダンなホテル仕様となっている。
しかし・・・扉を開けてちょっと驚いた。

旅館なので入り口で靴を脱ぐのはいいとして、個人的にショックだったのはカーテンを開けた時だった。

窓のすぐ前に隣の建物の壁がある。
都心のマンションじゃないんだから、これはないだろうと思った。
せっかく温泉でのんびりしようと訪れる客に対して、この建物の配置はやはりあり得ないだろう。

第一印象は最悪だったが、実際に泊まってみると部屋では寝るだけだったので支障はなかった。
むしろダブルベッドの寝心地は最高だし、温泉宿の付きものの騒音もまったくなかった。
どうせ一人旅だし、安さを考えれば文句は言えないだろう。

普通のビジネスホテルと比べれば、遥かに広々している。
ここは温泉旅館の既成概念を取っ払って、部屋以外の施設を楽しんだ方がいい。

「第一滝本館」の売りは何と言っても、登別温泉の目玉「地獄谷」の目の前に建っているというロケーションだ。
それもそのはず、第一滝本館の歴史は1858年に遡る。
創業者の滝本金蔵は、皮膚病に悩んでいた妻のために温泉宿を開いた登別温泉のパイオニアであり、地獄谷の豊富な湯を自分の宿に引き込んでいるのだ。

そのため、第一滝本館の大浴場からは、噴気を上げる地獄谷を独り占めできる。
圧倒的な開放感。
そのほかに、5つの泉質の35の湯船があって、24時間いつでも楽しむことができるのだ。
さながら、絶景自慢のスーパー銭湯といった印象だ。

ただ、個人的にはこういう昭和的なダサいローマ様式のお風呂ではなく、落ち着いた和風の温泉が好きだ。
そういう意味では、部屋と同様、好きな部分と嫌いな部分が同居する大浴場である。

ただ、チェックインの時に渡された「露天風呂1ドリンク券」を利用すると、露天風呂に入りながらビールや日本酒を楽しむことができる。
しかも、無料。
これは嬉しいサービスだ。

夕食は、本館5階のお食事処「湯の里」でいただく。
コロナ禍で嬉しいのは、お客さんごとに半個室に仕切られていること。

私は一人でゆっくりと、食事をすることができた。
おまけにコロナ対策として、通常順番に出てくる料理がまとめて運ばれてくるので、時間の節約にもなる。

先付は、「月見豆腐 蟹と小柱柿ぜりい寄せ」と「無花果の白和え」。

向付は、「秋のおすすめ四種」。

炊合せは、「北海道産 豚角煮」。

台物は、「秋鮭愛妻実り鍋 西京味噌仕立て」。

煮付けは、「金目鯛煮付け」。

揚げ物は、「零余子真丈 棒湯葉揚げ出し」。

焼き物は、「北海道産 帆立の雲丹焼き」。

さらに、酢の物として、「ずわい蟹」。

最後に〆として、「北寄貝押し寿司」と「吸い物」と・・・

甘味の「栗羊羹」が運ばれてきて、この日の夕食は終わった。
味はともかくすごいボリュームだ。

食べすぎた翌朝は、まずひとっ風呂浴びて・・・。
やっぱり温泉は、いい。
明るい時間に入ると、雄大な地獄谷が目の前に広がり夜とはまったく印象が違う。

朝食会場は、多くの客でごった返していた。
みんなもう、コロナのことなどあまり気にしていないようにも見える。

私は野菜中心に、塩辛や明太子を少々。
これにご飯と味噌汁でちょうどいい。

温泉旅館というと、どうしても値段が高い印象があって敬遠していたが、最近はずいぶん手頃になってきている。
シニアになった私にとって、全国に残る温泉宿を少しずつ回るのもこれからの一つの形かもしれない。
登別の老舗温泉旅館「第一滝本館」。
第一印象は悪かったが、トータルとしては総合力はさすがだと思った。
楽天トラベル評価4.16、私の評価は3.80。
「第一滝本館」 電話:0143-84-2111 https://takimotokan.co.jp/ja/