<きちたび>広島県の旅2021④🇯🇵 ヘリ空母や潜水艦も!呉港の「艦船めぐり」クルーズで海上自衛隊の新鋭艦を間近に見る

🇯🇵 広島県/呉 2020年11月24日~25日

広島県呉市。

この町の名前から何を想像するか、年代によってかなり違うと思う。

若い世代にとって呉は、映画「この世界の片隅に」の舞台かもしれない。

私にとって呉は、映画「仁義なき戦い」の舞台という印象が強い。

そして、私よりもっと上の世代では、そこは連合艦隊の旗艦であるあの戦艦大和が建造された海軍の街というイメージが強いだろう。

そんな「軍港」呉を初めて訪れ、「にわか軍事オタク」になったつもりで、海上自衛隊の最新鋭艦艇を間近から見てきた。

呉中央桟橋ターミナル

呉の街は広島駅から快速電車で32分、車でも高速を使って30分ほどで行くことができる。

私がまず最初に訪れたのは港。

「呉中央桟橋ターミナル」は立派なビルだった。

この港からは、四国・松山行きのフェリーや近くの江田島行きの定期船が出ているほか、いくつかの湾内クルーズも運航されている。

そして私のお目当ては、これだ!

呉港に停泊している海上自衛隊の艦艇を間近に見られる「艦船めぐり」。

35分間の呉港クルーズである。

私は午前10時前にターミナルに着いたが、事前に調べた通り10時発の乗船券が売られていた。

チケット売り場には、この日見られる呉港に停泊中の艦船の写真が並んでいる。

日によって停泊している艦船が違うというのも、軍事オタクにはリピートしたくなる魅力なのだろう。

乗船券は、大人1500円。

「GO TO クーポン」も利用可能で、乗船券を2枚買って待合室でしばらく待っていると、ほぼ時間通りに召集の声がかかった。

平日だというのに、思ったより参加者が多い。

立派なカメラを手にしたおじさんも多いが、若いカップルもいて客層は意外に幅広いようだ。

呉港「艦艇めぐり」クルーズ

ターミナルビルを出ると目の前は海。

乗るのはこの船「くれない5」。

1階部分も客席になっているが、この日は天気がいいので全員2階のデッキに案内された。

みなさん間隔を開けて座って、いざ出発。

ガイドさんがマイクを握り、出航と同時に喋りまくる。

海上自衛隊の護衛艦が見えてきた。

普段滅多にお目にかかれない海上自衛隊の艦艇に大接近。

前から横から後ろから、舐めるように一隻ずつ見て回る。

ガイドの男性がやたらに詳しい説明をしてくれるのだが、私は写真を撮るのに忙しく、聞いても大して頭に入ってこない。

船体に書かれた名前を頼りに、この日私たちが見た艦艇について簡単に記録していく。

輸送艦「おおすみ」

まずは、海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」。

全長178m、排水量8900トンの大きな船だ。

艦番号は「LST-4001」、LSTとは「戦車揚陸艦」を意味するという。

1998年に就航し呉に配備され、トルコ、東ティモール、イラク、フィリピンなどの災害や紛争支援に派遣された。

東日本大震災や熊本地震でも活動している。

この日は後方のハッチを開いていて、輸送艦の内部を見ることができた。

ガイドの男性は、このようにハッチが開いている状態を見られるのはとても珍しいと説明し、「みなさんはラッキーだ」と興奮気味に言った。

そう言われるとちょっと得した気分にもなって何枚も写真を撮ったが、後で考えると特に面白いわけでもない。

ヘリ空母「かが」

一際大きな船が前方に見えてきた。

海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)「かが」だ。

現在、海上自衛隊が保有する艦艇の中で最も大きい「いずも型護衛艦」、いわゆる「ヘリ空母」の2番艦で、全長は248mもある。

排水量は、1万9500トンだ。

船に接近すると、もはや超広角レンズでもその全体をとらえることはできない。

それでも、戦艦大和(全長263m)よりは一回り小さいわけで、いかに大和が大きかったがわかる。

たくさんの大砲が取り付けられていた昔の軍艦に比べると、現代の護衛艦の装備は実にあっさりしているように見える。

すべての兵器はコンピューター制御で、むしろレーダーなどの性能が重要なのだろう。

「かが」は2017年に就役したばかりの新しい船で、翌2018年の豪雨の際には呉の被災者への入浴支援を行った。

そのほか、各国海軍との共同訓練に参加したり、来日中のトランプ大統領と安倍総理が連れ立って「かが」を視察したりした。

海上自衛隊を代表する花形艦なのだ。

右舷に見えるのが、ヘリコプターを甲板に揚げるための昇降機だ。

将来的には、ヘリコプターに変わってF-35B戦闘機を搭載し空母化する計画があり、当初は2021年にも改修工事が行われる予定だったが2026年に延期されているという。

中国の軍拡に合わせるように、今後日本の防衛予算も増えていくのだろうが、際限はない軍拡競争も懸念される。

これでもう安心ということは、歴史を見ても、軍事の世界ではありえない話なのだ。

護衛艦「いなづま」

「かが」に寄り添うように停泊するのは護衛艦「いなづま」。

全長151m、排水量4550トンの船体は「かが」と比べるとかなり小さく見える。

「いなづま」は2000年の就役以来、ソマリア沖・アデン湾での海賊対策に度々派遣された汎用護衛艦だ。

「汎用護衛艦」というのは、旧海軍の駆逐艦にあたる。

昔の軍艦ほど仰々しくはないが、艦首には「76mm単装速射砲」を備えているほか、ミサイルの垂直発射システム「VLS」を装備している。

私たちが乗っている遊覧船からは見えないが、艦対空ミサイルや対潜ミサイルが「いなづま」の主要な武器となるのだ。

右舷には魚雷発射管も見える。

それでも艦上で作業している自衛官たちは観光客を見ると気楽に手を振り、そこには何の緊張感も感じられない。

戦後75年、一度も戦争をしなかった国の“軍隊”なのだ。

それは誇るべきことだと私は感じた。

「そうりゅう」型潜水艦

目の前に潜水艦が見えてきた。

海上自衛隊の最新鋭「そうりゅう」型潜水艦だ。

海上自衛隊の潜水艦は、古い順に「おやしお」型、「はやしお」型、「なつしお」型、「おおしお」型、「あさしお」型、「うずしお」型、「ゆうしお」型、「はるしお」型、「おやしお」型と続き、2009年以降はこの「そうりゅう」型に変わった。

「そうりゅう」型潜水艦12隻のうち8隻が呉に配備され、横須賀を上回る潜水艦の主力基地となっているのだ。

潜水艦は「海の忍者」。

船体に船名は書かれておらず、表面には敵艦のソナーを反射しないための黒いタイルがびっしりと貼られている。

これまで軍事関係の取材もしたことはあったが、潜水艦をこれほど間近で見たのは初めてだった。

「そうりゅう」型は、原子力ではなく通常動力で動く潜水艦だが、大気に依存しない「スターリングAIPシステム」が採用されているので、大気中の酸素を取り込むために浮上しなくても長期間の潜航が可能となった。

さらに最新の2隻については、「スターリングAIPシステム」に代わり、世界で初めて「リチウムイオン蓄電池」が採用されているという。

詳しいことはわからないが、原子力潜水艦に比べるとスピードは遅いが、日本なりに制約の中で頑張っているということなのだろう。

「そうりゅう」型潜水艦の外見上の特徴は、船尾に見える「X舵」。

従来は、垂直舵と水平舵の十字型舵だったが、それを45度傾けることで、4枚の舵すべてに回頭と姿勢制御の両方の役割を担当させる設計になっている。

そして現在、「そうりゅう」型の後継となる「たいげい」型潜水艦の建造が進められていて、新鋭艦は最初からリチウムイオン蓄電池搭載を前提として設計されているそうだ。

「防衛」に関心を持つこと

ガイドさんはもっといろんなことを話していたが、こっちに基本的な知識が欠けているのでどうも頭に残らない。

でも、呉が連合艦隊の主要な基地になった理由は理解できた気がした。

周囲を山で囲まれ、目の前の海も島々によって守られている。

一年中波も穏やかで、軍都・広島からも近い。

「大和のふるさと 呉の海から世界の海へ」と書かれた垂れ幕が見える。

この場所が、戦艦大和が建造されたドックだという。

立ち並ぶクレーンは今となっては古めかしくて貧弱に見えるが、今も現役のようだ。

日本に軍事大国になって欲しいとは思わないが、国際情勢が緊張する中で、防衛という課題は常に頭の片隅に置いておかねばならない。

「アメリカが守ってくれる」という戦後日本の抱き続けた甘えは、中国の台頭によって幻想に変わろうとしている。

江戸末期の日本人が太平の眠りから覚めたように、近い将来、私たちも厳しい現実に向き合うことになるかもしれない。

そのために、自国の防衛体制がどうなっているのか、一般の国民もある程度の知識と関心を持つことがこれからは求められるのではないか、そんなことを感じながら35分間の「艦船めぐり」クルーズを終えた。

ちなみに、ターミナルビルの5階には呉港を見下ろす展望室があって、とても空いているのでのんびりしたい方には穴場である。

「呉中央桟橋ターミナル」
電車:JR呉駅から約5分
車:広島呉道路(クレアライン)呉ICから5分

「呉港艦艇めぐり」
電話:082-251-4354
時間:10:00、11:00、13:00、14:00(土日祝は12:00も)
運休:火曜

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4件のコメント 追加

  1. dalichoko より:

    このスケールを目の当たりにすると興奮しましょね。
    すごいなぁ・・・
    (=^・^=)

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