<頑張れテレビ>BS1スペシャル「ラストトーキョー“はぐれ者”たちの新宿・歌舞伎町」

テレビは「オワコン」だと言う人がいる。

私は全然そうは思わない。

テレビは70年に渡って時代を切り取ってきた。映画とも違う。新聞とも違う。テレビは「何でもあり」の世界なのだ。

かく言う私も、近頃、テレビを見る時間が減っている。「つまらない」と思う番組も多い。もともと私がターゲットとされていない番組が「つまらない」のは仕方がない。それは別の種類の人を楽しませるための番組だからだ。でも、私がターゲットに含まれるはずの番組が「つまらない」のは許しがたい。それは制作者の怠慢であり、安易に他者の真似をする姿勢が透けて見えるからだ。

そこで、テレビに関するシリーズを立ち上げることにした。

<頑張れテレビ>

私が面白いと思った番組をこのブログ上に書き残すことを目的とする。

インターネット全盛の時代にあっても、テレビが持つ同時代性や共感力は社会にとって必要だと信じるからだ。一つでも多くの面白いテレビ番組が生まれることを願って・・・。

1回目に取り上げる番組は、NHK−BSで放送されたBS1スペシャル「ラストトーキョー “はぐれ者”たちの新宿・歌舞伎町」というドキュメンタリーだ。

たまたまテレビをつけた時に再放送されていて、釘付けになった。

この番組の公式サイトへのリンクをここに貼っておく

でも、近い将来、ネット上から消えてしまうかもしれないので、そのサイトに書かれた紹介文を引用しておく。

私は東京・新宿のほど近くで生まれ育った。幼い頃、新宿で麻雀店を営む母親に言われたことがある。「歌舞伎町には絶対に入るな」。歌舞伎町は、ヤクザや風俗嬢、ホームレスなど“はぐれ者”たちが生きるアジア最大級の歓楽街。しかし私にはずっと、近くて遠い街だった。今、東京オリンピックパラリンピックを前に再開発が加速。母が生きてきた世界は、はぐれ者たちの営みや居場所は、どうなってしまうのか。私は小さい頃から足を踏み入れたことがなかった歌舞伎町への潜入を決めた。そこで出会ったのは、ギャンブル依存や精神疾患を抱えながら雑居ビルで俳句を詠む人々、タイガーマスクのお面で新聞を配るおじさん、日雇い労働者たちが集まって演じる野外芝居の集団。そして私の母・佳江も、浮き沈みの激しいこの街で波瀾万丈の人生を生きてきたことを知る。周りに流されず、我が道を生きる人たちとの出会いによって、私は“あること”に気づいていった。ディレクターの私・柚木映絵が歌舞伎町に潜入、変化の波にさらされる「ラストトーキョー」に生きる人々の姿を記録しながら、「失ってはいけないもの」を探るセルフドキュメンタリー。

【出演】柚木佳江,柚木次郎,歌舞伎町俳句一家屍派,新宿タイガー,水族館劇場,小林清二

NHK公式サイトより

この作品は、NHKの女性ディレクターが歌舞伎町で長年麻雀店を営む自分の母親を主人公に据えたセルフドキュメンタリーである。

母親の名前が佳江さん。

複雑な家庭で育ち、学生運動に参加するため新宿と出会った。この街で生きていくと決め、20代で借金をして麻雀店を始めた。今では歌舞伎町で3軒のお店を経営し、少なくない従業員を雇っている。

自分も従業員もお客さんも高齢化する中で店をたたむことを考え始めた佳江さん。彼女は娘には同じ道を歩かせたくないと、教育に力を注ぎ、娘は無事に安定した職業に就いた。

ただ娘にも悩みがあった。敷かれたレールを走ってきて30代を迎えた自分に空虚さを感じ、母親や歌舞伎町の住人を取材することで、自分の存在を確認しようと取材を始める。

娘である女性ディレクターの言葉が公式サイトに出ていた。

私は、新宿で麻雀店を経営してきた母に育てられた。
新宿といえば世界一の乗降客数を誇る街。
そんな激動の街で、母は45年、3店舗を一人で切り盛りしてきた。
でも私はその世界を知らない。母が私を、新宿・歌舞伎町から遠ざけたからだ。
そんな“たたき上げ”の母に対して、私はいわゆる“優等生”。
小中高遅刻なし、受験勉強に邁進し、安定した職にもついた。
これまで、全力で生きる母を見習うつもりで、与えられた環境で最大限の努力をしてきたつもりだった。
でもやはり、自分には“たたき上げ”で生きてきた母のような強さがないのではないか…
見るべきものを見ずに来てしまったのではないか…という物足りなさがずっとあった。
母のような、我が道を歩む人々に憧れがあった。

母はなぜ、私をこの街から遠ざけたのだろうか?

“近くて遠かった街”新宿・歌舞伎町へ潜入する旅は、
ひょんなことから自分と母の関係を見つめる旅にもなりました。
ぜひ、ご覧ください!

(番組ディレクター 柚木映絵)

NHK公式サイトより

東京オリンピックを控え、急速に変貌を遂げる東京。新宿も例外ではない。でも、そこには様々な人が生きている。それぞれの存在理由を見つけようともがいている。

時代を切り取るテレビの力を再認識させてくれる番組だった。

映画館で上映されても十分鑑賞に耐える質の高さ。何よりも優しさがあり、エンディングも暗くならず、生きる力を与えてくれる作品だ。

各テレビ局が24時間途切れることなく番組を作り続けるのは大変だ。でもそうやってダラダラ番組を作り続ける中から、傑出した作品も生まれてくる。

玉石混交の番組の山から、自分が面白いと思える番組を見つけ出すのは大変だが、やはり面白いテレビは絶対にある。

頑張れ!テレビ。

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