<東京@グルメ>東銀座「花蝶」の「ふるさと納税ディナー」

昨年のふるさと納税で、銀座のディナーをいただいた。

それも新橋花柳界発祥の地、かつて木挽町と呼ばれた界隈にたたずむ元料亭である。

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お店の名前は「花蝶 銀座本店」。

さすが元料亭、迂闊に足を踏み入れられない風情がある。

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店の脇には人力車が止められていた。

その歴史は古い。店のホームページによると・・・

『料亭「花蝶」のはじまりは昭和2年。その後、戦争を経て、東京を代表する有名料亭として名をはせますが、当時の料亭は、時の総理大臣や一流企業の接待、歌舞伎役者、映画俳優など、限られた人々だけしか訪れることができない、一見さんお断りという閉ざされた世界でした。

また、花蝶は海外からの大切なお客様をおもてなしする迎賓館的な役割も果たしていたようで、あの有名なチャップリンやウォルトディズニーが、花蝶の座敷で芸者と小唄に興じている写真が残っています。その後、平成に入り、時代の流れとともに料亭文化が衰退していく中、いち早く、花蝶は格式ばった料亭にピリオドを打ちます。そして昔ながらの伝統ある料亭の佇まいはそのままに、モダンな現代アートを融合させ、一般のお客さまにも広く開放することで、2004年、新しい料亭スタイルの“レストラン”へと変貌を遂げたのです。』

なるほど、かつては吉田茂などもこの店を利用していたそうだ。

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門をくぐると玄関へとつながる敷石や石灯籠がいかにも純和風建築を思わせるが、実はこの店、今はビルの1階に組み込まれている。

今や東京の料亭では、単独で敷地を維持することが難しくなり隣地と合わせてビルを建て、その1階に収まるケースが多いようだ。

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広い玄関で店の人が迎えてくれる。

しかし、ここで靴を脱がなくていいという。昔のような下足番を雇う余裕もないのか、お客もいちいち靴を脱ぐことを面倒がるのか、これも時代のなせる技なのだろう。

ちょうどロータリークラブの会合があるようで、次々に人が入ってくる。

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私たちは少し早く到着したので、「こちらでお待ちください」と待合室に案内された。

和室に絨毯を敷き、不揃いな家具を並べた不思議な部屋だ。

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洋風な家具や置物があると思えば・・・

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床の間に和箪笥と古いゴルフクラブ。何ともいえぬ和洋折衷ぶりである。

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本棚にはどういうわけか、小泉信三全集が並んでいた。

小泉信三は、戦時中の慶応大学総長であり、戦後は今の天皇陛下の教育係を務めた人だ。

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時間になり、店の人が席に案内してくれる。席は地下だという。

地下に下りる階段の脇には、どきっとするような女性の絵が描かれている。「これは山口小夜子さんがモデルです」と店の人は言った。確かに、そうだ。

今は亡き山口小夜子さん、それにしてもすごい存在感だ。

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案内されたのは個室だった。

まず目に飛び込んできたのは、金屏風。そして・・・

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床の間に飾られた金の鶴だ。

この鶴、すごく精巧に作られていて、実物大と思われる大きさだ。すごいが、なぜここに鶴?、という疑問が湧く。

その疑問を口にすると、店の人は「このお店、リニューアルの際に宮本亜門さんがプロデュースされたんです」と答えた。亜門さんは新橋演舞場に近いこの界隈で育ったのだそうだ。

そう言われてみると、この金の鶴、確かに舞台っぽい。

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さて、肝心のお食事だが、私たちは大分県の国東市にふるさと納税をして、この「花蝶」でのディナー券をゲットした。

そのため料理は選べない。いただくのは「国東市ふるさと納税スペシャルディナー」だ。

店の人に「国東市とお店はどういう関係なんですか?」と聞いてみたら、意外にも「特には関係ないんです」とのことだった。食材には国東のものが使われているという。

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まず一品目は、先付。

「茶碗蒸し 国東冬子椎茸 極み出汁 キャビア」

国東の椎茸が大きめにカットされ茶碗蒸しの中に潜んでいる。表面にはキャビアが載せられた豪華な茶碗蒸し。最近多いほとんど液体のような茶碗蒸しではなく、適度に固まった昔ながらの茶碗蒸しで、椎茸の旨味も味わえる。この茶碗蒸しは美味しい。

「さすが、料亭の味だ」と一瞬期待が高まる。

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二品目は、八寸。

添えられた花は、桜だという。

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「胡麻豆富 雲丹添え」

妻が雲丹が苦手なので、それももらったのだが、この雲丹あまり美味くない。

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「蛸の柔らか煮」

温かいかと思って食べたら冷たかった。部屋が少し涼しいので、温かい方がよかったのだが・・・。

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「車海老 湯引き」

辛子味噌が美味しい。ただ車海老自体はさほど存在感がない。

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もう一つ八寸として出されたのは、温かいスープだった。

「蟹つみれブイヤベース 味噌仕立て」

このお店、和食にこだわらず洋風のものも提供するらしい。でも、このブイヤベース、ちょっと塩辛い。

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次は、造り。

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「虎河豚と季節野菜 カルパッチョ仕立て」

この冬初めて食べるふぐは、悲しいことにドレッシング仕立てだった。大分県はふぐの名産地。普通のふぐ刺しにして欲しかった。

はっきり言って、不味い。せっかくのふぐがもったいない。

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口直しに日本酒を注文する。これはふるさと納税には含まれていない。

「花蝶オリジナル酒<北雪>」というのが気になってグラスで頼んだ。780円。

「すっきりとした飲み飽きない味わい」というこのお酒、確かにすっきりしている。すっきりしすぎて、ほとんど砂糖水のようだった。店の人があまり勧めなかったのもうなづける。

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いよいよメイン料理に入る。まずは、魚料理。

「太刀魚 香草風味焼き 柚子胡椒」

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このぐるぐるととぐろを巻いた太刀魚。

これがこの日のナンバー1だった。美味しい。

骨もきちんと抜いてあり、塩味もちょうどいい。

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付け合わせの野菜も、柚子胡椒を添えて美味しくいただく。

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そして、肉料理。

「黒毛和牛 原木椎茸のグリル」

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脂ののった和牛は、ほんのり塩味がして普通に美味しくいただく。

添えられたソースは、あまり印象に残らない味だ。

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しかし和牛以上に美味しかったのは、この原木椎茸。

何かで押しつぶしたように平たく焼き上げた椎茸が濃厚な旨みを発する。国東の椎茸は美味しい。

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シメの食事は、「真鯛出汁茶漬け」。

このお店の定番のようだ。

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出汁茶漬けを食べるのは、久しぶりだ。美味しい。

普段、頭が痛くなるといって出汁を飲まない妻も、全部食べていた。

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そして最後の甘味では、ちょっとしたサプライズ。

妻との雑談の中で、還暦というワードが出てきたのを聞き逃さず、こんなデコレーションをとっさに描いてくれた。詳しい話はしていないので、店の人もいつ誰が還暦だという情報は持っていない。それでも、こうしたサービスをしてくれるのは、やはり料亭時代からの流儀なのだろう。

正確にいうと、妻も私も還暦から1年ほど経過しているのだが・・・。

ちなみにデザートは、抹茶クリームを添えたパンナコッタだった。

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お店でもらったパンフレットには、こんな言葉が書かれていた。

「芸者、花街、花柳界・・・、その華やかなりし面影と料亭の風情を残しつつ、みな様を未知なる世界へと誘います。」

確かに、面白い体験であった。

普通にお金を払うと、ディナーコースは1万2000円から3万円だそうで、自分でお金を払って来ることはまずないだろうと思う。

食べログ評価3.49、私の評価は3.30。

 

 

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