午後2時からのセミナーを聞くために日本橋に着いたのは1時半すぎていた。
地下鉄を降りて地上に出ると、また高層ビルが増えているような・・・。
微妙に時間があるのでパパッとランチを食べる店を探す。
真新しいビルの中に取り残されたようなお店があった。ある意味、日本橋らしいお店とも言える。
店名は、「TOYO」。
店名をはさんでちょっと癖のある字で、「CAFE TERRACE」と「CONFECTIONERY」と書かれている。カフェテラスであり、お菓子も扱っているようだ。
店頭には昔ながらのショーケース。いわゆる洋食屋さんでもあるらしい。
素早く食べられるかどうかはわからないが、店を探す時間もないので入ることにした。
中に入るとレトロなケーキ屋さんのようだ。
「ランチ食べられますか?」と聞くと、「2階へどうぞ」と言われる。
階段で2階に上がると、宴会場のような大きなスペースが広がっていた。
窓の外は中央通り。1時半すぎなのでお客さんは少ない。
奥にも客席が広がっている。全部で320席もあるらしい。
それにしても、独特のインテリアだ。
ネットで調べると、創業50年と書いているものもあれば、60年、80年というものもある。間違いなく老舗だとは思うが、定かなことはわからない。
箸袋には「BRASSERIE TOYO」と書いてある。
おそらく1階がカフェテリアで、2階がブラッセリーということなのだろう。
まずミニサラダが運ばれてきた。学食のようなコールスロー。微妙だ。
私が注文したのは、「ハヤシライス」(1000円)。
今時のものに比べると、肉がゴロゴロ入っている。
そして、このライスの形。子供の頃親に連れて行ってもらったデパートのレストランのようだ。
懐かしい。
福神漬けもちょっと色が抑えめで、照りがあまりない。
食べてみると、甘酸っぱい味が口中に広がる。
ただ、この肉、ものすごく硬い。今時なかなかお目にかからない硬さだ。
硬い肉を煮込んだ方が味が出るのかもしれないが、煮込んでも噛み切れないほど硬い。
食べ始めた時はちょっとがっかりだったが、食べ進むうちにこのハヤシライスが少しずつ好きになってきた。
私の子供の頃、日本人はこうした硬い肉を食べていたのかもしれない。
そう思って改めて店を見回してみると、デパートの最上階にあった大食堂の風情がある。
働いている人も、60代、いや70代と思われる高齢の方が多いようだ。
酸味のあるソースと硬い肉を噛み締めていると、子供の頃にタイムスリップするような錯覚を覚えた。伝統の街、日本橋にふさわしいランチと言えなくもない。
食べログ評価3.25、私の評価は3.30。