珍しい店に行った。都内唯一のウイグル料理のお店だ。
初台のオペラシティーの近く、甲州街道から入った路地にある。
店内は日本とは思えない異国の雰囲気。予約していた我々の席以外、すべて埋まっていた。
人気店のようだ。
お世話になったトルコ大使館の方が帰国されるというので、送別会を開いた。日本滞在4年半のトルコ人外交官のお気に入りがこのウイグル料理店だった。
店員の若い女性は一見日本人の女の子かと思った。明らかに中国人や韓国人ではない。しかし、日本語がぎこちない。聞くと、中国の新疆ウイグル自治区から来たウイグル人だと言う。これまでまったく会ったことがなかったウイグル人。ものすごく親しみが湧いてきた。
テーブルクロスにも異国情緒を感じる。
果たしてどんな料理がこのテーブルに乗るのか?
最初に出てきたのは「ゴシ ナン」(980円)。
ウイグル風ミートパイだという。確かにミートパイだ。スパイスが効いていて、どこかで食べたような味だ。果たして何に似ているのか? 思い出せない。
大使館の人が「ピロシキに似ているでしょう?」と言う。そうだ、確かにピロシキの味だ。
「ピロシキに似ているのではなく、ピロシキがこれを真似したんです」と主賓のトルコ人が解説した。
中央アジアのウイグルはトルコ人のルーツなのだと言う。
続いて出てきたのは「ポロ」。米に羊肉や野菜を混ぜ込んだピラフのようなものだ。
ヨーグルトが一緒につく。ヨーグルトにかけて食べるという説と別に食べるという説がトルコ大使館の中でも対立した。
ポロの味付けはあっさりしていた。
さらには「ゴシマンタ」(3個 600円)。ウイグル風の肉まんだ。
ウイグル料理は、中東の料理と東アジアの料理がミックスされたまさにシルクロードの料理なのだ。味は見た目通り。本場のものはもっと脂っこいのだそうだ。
次は「ムッチ コイゴシ コルミス」(中 980円)。ラム肉とピーマンのトマトペス炒め物だと言う。
中華風というか、醤油味というか、イスラムのイメージとは違う日本人にも食べやすい味だ。あまり辛くない。
そして個人的に一番興味深かったのが「タリム ラグメン」(大 1280円)。
タリム特上あんかけ麺(手打ち麺)という説明書きが添えられていた。
見た目の通り、完全にうどんである。うどんの上に様々な具材が乗せられている。スープも醤油味に近い。本場でもこんな味なのだろうか?
このほか、ケバブやスープ、砂漠人参のお酒やシルクロードワインなどいろいろいただいた。どれも日本人には食べやすい。美味しい。
この店に来る前になんとなく持っていたウイグル料理のイメージが大きく変わった。見知らぬ異国に日本と共通するものを強く感じた。
壁にはウイグル語の額と並んで、「モヤモヤさまぁーず」のサインが貼られていた。やるなテレ東。
これまで遠い存在だったウイグルの世界が、急に身近に感じられるようになった。まだ足を踏み入れたことのない中央アジアの国々に興味が湧いてきた。いつか必ず行ってみたいと思う。
とても素敵なお店、ぜひ一度訪れることをオススメしたい。
食べログ評価3.59、私の評価は3.70。