大学の同期が上京するのに合わせて、昔の仲間が数人集まって浅草でドジョウを食べることになった。
ドジョウを食べるのは数十年ぶり。好んで食べる料理ではない。
秋葉原からつくばエクスプレスに乗って浅草駅で降りる。
このルート初めて使ったが、そこはもう国際通り。目の前に「浅草ROX」が見える。
「浅草今半」の角を曲がると・・・
そこは合羽橋?
「こんな位置関係だっけ?」と疑問に思って調べてみると、有名なかっぱ橋道具街はこの先、国際通りと平行に走っていた。
やはり、そうだよね。
というほど、浅草の地理に私は疎い。
この合羽橋と書かれた通りを入ると、すぐに「どぜう」の看板が目に入る。
昔風の建物。
まわりのビルよりずっと魅力的だ。昔の東京の方が、街はチャーミングだったような気がする。
指定されたお店は、「どぜう飯田橋」。
創業は明治の半ば、創業100年以上の老舗だそうだ。
暖簾もいい感じだ。
玄関には下足番の人がいて、靴を脱いで1階の広間に上がる。
すでにお客さんでほぼ一杯だ。
夏にドジョウを食べるのは江戸っ子の嗜みのようで、私の友人も毎年この時期に「ドジョウを食べる会」の集まりがあるという。
「どぜう」と書かれた皿。
普段のお店とは違う、ちょっとした高揚感がある。
仲居さんが「どぜう鍋」のセットを運んできた。
ドジョウの入った丸鍋のほかに、ネギとごぼう、そして豆腐。いたってシンプルだ。
これで一人前1750円である。
鍋の中に横たわるドジョウ。
なかなかに生々しい。
どぜう鍋を火にかけて、上からごぼうとネギをたっぷりとのせる。
すぐに煮立つので、火を弱める。
ごぼうとネギに味がしみたら、もうOKだ。
取り出してみると、ドジョウはすでに煮崩れて、生々しさも消えていた。
友人曰く、「この料理は、ドジョウの出汁で、ネギやごぼうを美味しくいただくものだ」そうだ。
確かに、甘めの割り下がとても美味しくできていて、ごぼうやネギがうまい。
ドジョウも、以前食べたお店よりも生臭さがなく、違和感なく食べられた。
好みで、七味や山椒を使うが、使わなくても十分に美味しくいただける。
少し食べたところで、豆腐を加える。
最初はビール、そのあとは菊正宗の樽酒を常温で・・・。
ちょっとした江戸情緒を味わえる。
せっかくなので「柳川鍋」(1850円)もいただいてみる。
こちらは卓上で火にかけるのではなく、調理済みのものが運ばれてくる。
我が友人は、「柳川鍋」は「どぜう鍋」が食べられない女子供の食べ物であり、邪道だと切り捨てるが、どうしてこれはこれで美味しい。
むしろ食べやすい。
割り下を吸った玉子の存在感が強く、ほとんどドジョウを感じないからだ。
もしお店を訪れることがあれば、両方試してみることをオススメしたい。
たまには、こんな食事も悪くない。
東京にももう少しこんな昔ながらのお店が多く残っていれば、と思わせるお店である。
せっかくなので、もう一軒ということで、有名な「神谷バー」へ。
大昔に一度来たことがあるが、いつの間にかお店はリニューアルし、学食のような安っぽい感じになっていた。
名物の「デンキブラン」(270円)。
アルコール度数は30度。明治15年生まれのカクテルだ。
ブランデーをベースに、ジン、ワイン、キュラソー、薬草などが入っている。
甘くて、思ったよりも飲みやすい。
こちらは、「電気ブラン(オールド)」(370円)。
度数は40度で、こちらの方がオリジナルなのだという。
そして「デンキブラン」をベースに、もう少し飲みやすくしたのが、こちら「電気ブランサワー」(510円)。
つまみと一緒に浅草の伝統を飲み、店の安っぽいリニューアルを嘆きながら、楽しい一夜を過ごした。
たまにはこんな夜も、いいものだ。
食べログ評価3.73、私の評価は3.60。
浅草、いーですねー。
電気ブラン、懐かしいです。
(=^ェ^=)