400Mリレー

カナダから戻ると、リオ五輪も残りわずかだった。

カナダでも五輪は見られるかなと思っていたが、やはりカナダ選手が活躍する種目に偏るため、日本人選手の結果はネットの文字情報で確認するしかなかった。旅行前に、NHKと民放の五輪アプリをダウンロードし、カナダでも動画を見られるか試してみたのだが、やはり放送権の問題があるのか、ネット環境の問題なのか全くうまくいかなかった。

それでも帰国後いくつか貴重な瞬間を目撃できた。

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一番興奮したのは陸上の男子400メートルリレー。山県、桐生、ケンブリッジという10秒切りを狙う3人をそろえた史上最強チームには、試合前からメダルの期待がかかっていた。しかし、陸上の短距離は日本人には厳しいと誰もが思っていたはずだ。

ただ決勝進出をかけた予選で、何と日本チームはジャマイカを押さえ予選同組1位、全体でもアメリカに次いで2位で通過した。しかも日本新記録、アジア新記録をマークした。あの朝原、末續らを擁して銅メダルを獲得した北京五輪の記録をあっさり超えたのだ。ジャマイカはボルトを温存していたとはいえ、日本が予選1位でゴールをきるという光景はなんとも不思議な快感があった。

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そして迎えた決勝。スタートからトップ争いをした日本チームは、第3走者の桐生がコーナーですばらしい走りを見せ、最終走者ケンブリッジはジャマイカと並んでトップでバトンを受けた。さすがにボルトにはかなわないが、アメリカやカナダの最終走者の追撃を振り切った。予想もしなかった銀メダル。黒人選手たちに伍して37秒台で走り抜けた。世界の常識を打ち破った若き日本選手たちの姿は思わず叫んでしまうぐらい感動的だった。

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一方、女子レスリング界の絶対女王として君臨してきた吉田沙保里が決勝で負けたシーンも忘れられない。

4連覇に挑戦した吉田。前日に伊調馨が女子選手初の4連覇を達成していた。吉田の4連覇も確実と見られていた。しかし、吉田も33歳。決勝の相手は24歳のアメリカ人選手マルーリスだった。吉田をヒーローとしてあがめる彼女は伸び盛り。吉田がその圧力に押されている印象があった。吉田が相手の足をとっても床から持ち上げることができなかった。ピークを過ぎた吉田は力負けをしたのだ。世界大会の連覇記録は16でストップした。

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負けた吉田は臆面もなく泣いた。表彰式でも涙は止まらなかった。しかし彼女に憧れてレスリングを始めた後輩たちが3階級で金メダルを取り東京五輪につないだ。

そして、競歩。初のメダリストとなった50キロ競歩の荒井のレースも面白かった。競歩は意外に順位が変動する。早めにスパートしてもうこれで決まりだろうと思った選手が次々に自滅していく。

留守中だったが男女の卓球、テニスの錦織、バドミントンのタカマツペアなどが視聴者の共感を集めた。ロンドンで惨敗した男子柔道も全階級でメダルを獲得し復活をアピールした。

日本人の獲得したメダルは、金12、銀8、銅21で合計41。ロンドン五輪を超えて過去最高を記録した。

東京につながるいいオリンピックだった。

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