<吉祥寺残日録>吉祥寺は徒歩圏内でほとんどの問題が解決する便利な街 #230928

今日からまた岡山。

羽田に向かうリムジンバスの中で、このブログを書き始めた。

吉祥寺に引っ越してからずっとお世話になっている近くの散髪屋が、このところずっと閉まっている。

入口に貼り紙がしてあって、見ると体調不良でしばらく休むと書いてあった。

まだ40代で人一倍元気そうなお兄さんなのでちょっと驚いた。

このまま切らずにお兄さんの体調が治るのを待とうかとも思ったが、さすがにボサボサで自分でも鬱陶しくなってきたので、別の理容室に行ってみることにした。

吉祥寺は美容室の大激戦区、髪を切ってくれるところはいくらでもあるのだが、どこもオシャレで値段も高い。

私の場合、スタイリッシュな髪型を求めておらず、何も手入れをしなくてもそれなりに過ごせるナチュラルな髪型に整えてもらうだけでいい。

ということで、サンロード商店街にあるレトロな散髪屋を覗いてみることにする。

「理髪店 ゑびす」

大人調髪2200円と書かれた看板が以前から気になっていた昔ながらの床屋さんである。

渋い階段を登っていくと、そっけない扉がある。

予想通りかなり年季の入った床屋のようだ。

店内は広く散髪用の椅子もいくつも並んでいたが、先客は一人だけ、私が入るとすぐに席に案内された。

奥の休憩スペースから出てきたのは、かなり年配の男性だった。

年齢を聞くと80歳だという。

「大丈夫か?」と一瞬思ったが、まだ腕は衰えていないらしく、手際よく私の髪を切ってくれた。

「眉毛も切りますか?」

歳とともに近頃眉毛が伸びるようになり、行きつけの床屋でもいつも切ってもらっているのだが、ベテラン理容師はこちらから言う前にそれに気づいてくれたようだ。

最後に丁寧にシャンプーをしてもらって料金は1600円、安い!

仕上がりも予想以上に上手で、だいぶ頭がスッキリした。

行きつけの床屋が再開するまでは、ここでお世話になろうと決めた。

吉祥寺は何かと便利な街で、たいていの物はどこかの店で手に入る。

先日、三男の家の男の子が1歳の誕生日を迎えた際も、祝いに背負わせる「一升餅」を作ってくれるお店を探すとすぐに見つかった。

我が家でもよく利用させてもらっている老舗の和菓子屋さん「俵屋」。

三男の家に持っていく当日につきたてのお餅を用意してくれるという。

しかも一升だと重いからと言って、2個に分けて1つに名前、もう1つの餅には寿の文字で入れてくれた。

おかげで孫も抵抗なくお餅を背負ってくれ、謎の儀式は滞りなく終わった。

長年使ったダイニングチェアがボロボロになったので、妻が近くで見つけた業者さんに張り替えを頼んだ。

ついでにソファーの裏側に貼ってあった裏地も劣化して黒い粉が床に落ちるようになったので、こちらも貼り直しを依頼した。

椅子は一度持ち帰り作業場で張り替えを行って後日持ってきてもらった。

ソファーの方は大きいので、自宅に職人さんが来て目の前で張り替えをしてくれた。

合わせて5万円以上かかったものの、椅子はすっかり蘇り新品同様になって妻も私も大満足である。

今年亡くなった伯母の形見を整理していた妻が見つけたアクセサリー類も吉祥寺で鑑定してもらった。

農家でまったくオシャレと縁のなかった伯母なので、そんな高価な貴金属を持っているわけもなく、見つかったアクセサリーもいかにも金メッキという代物だったが、一応専門家に見てもらおうと吉祥寺の買取店に行ってみた。

最初に訪れたのは、「買取大吉」というお店。

私たちはこの手のお店にまったく縁がなく初めて入ったのだが、テレビでよく見るようなカウンターがあり、店長と称する男性が伯母のアクセサリーを鑑定してくれた。

その結果、案の定ほとんどは金メッキで買取不能な物だったのだが、2〜3点買取ができそうなものがありそうだと言った。

この店のシステルは品物の画像などをバイヤーに流し買い手を探すというやり方らしく、とりあえず2万円あまりで買う業者がいると言うことだった。

ただ、店長のキャラがちょっと詐欺師っぽく感じられたこともあって、妻は別のお店も回ってみたいと言ってアクセサリーを引き取って店を出た。

その足で向かったのは、ダイヤ街に店を構える「なんぼや」。

先ほどのお店に比べてちょっと高級感がある。

1階の待合室で受付を済ませると2階の個室に案内された。

やはりお店によってずいぶん雰囲気が違うものだ。

個室では担当のスタッフが目の前でアクセサリーの鑑定をしてくれた。

いくつかの機会を使い、本物の金がただのメッキかを慎重に吟味する様子を実際に目にできるのは安心だ。

先ほどの店では鑑定は店の奥で行うため、実際にどんな鑑定が行われているのか客からは見えないのだ。

この店での鑑定中、前の店から電話が入り4万円台で買うというか業者がいるとの内容だった。

先ほどの倍になったわけだ。

「なんぼや」での鑑定でも買取対象となるのは2点のみ、

金額はやはり4万円台であった。

2つのお店の見解が一致したこともあり、このあたりが相場なんだと判断、印象がよかった「なんぼや」で買い取ってもらうことにした。

思わぬ臨時収入である。

現在、金の価格は過去最高値を更新中で、わずかな金でも買い取ってもらえるらしい。

一方で宝石はあまり高くは売れないようだ。

若い頃バンコクの宝石屋で買ったルビーやサファイアの指輪を母たちにプレゼントしたことがあったが、あれは果たして本物だったのか鑑定してもらいたいと思った。

本当に吉祥寺は便利な街だ。

ほとんどのことは徒歩圏内で解決する。

時々別の街で暮らしてみたいと思うこともあるが、この便利さに慣れてしまうとなかなか引っ越しに踏み切れない。

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