岡山帰省2日目、今日のお仕事は10月に衝動買いした軽自動車を受け取りに行くことだった。

昨夜降り続いていた雨も朝には上がり、西の空が晴れてきたのを見届けてまずはレンタカーを返しにいく。
何も考えずに返却時間を午前9時としていたので、ちょうどラッシュ時間にぶつかってしまった。
おまけに家の前の道路は通学時間だけ一方通行になるため、目的地である岡山駅の方向には出られず、止むを得ず大回りをして市の中心部へと向かった。
予想通り、各所で交通渋滞に引っかかり、通常の倍以上時間がかかる。
それでもなんとかギリギリで、9時直前に岡山駅西口店に滑り込んだ。

レンタカーを返却すると、その足で駅の東口に回り、東岡山方面に向かうバスに乗る。
タイミングよくバスが来て、先ほどの渋滞が嘘のようにバスはスムーズに市街地を抜け、国道250号線を東へと進んでいく。
この道は、私が子供の頃は国道2号線だったが、南の方にバイパスができたため250号線に格下げとなったが、道の両サイドには今でも多くの大型店が並び交通量も多い。
中でも自動車販売店の多さは異常なほどで、その中に私の目的地もあるのだ。

軽の未使用車専門業者「ハヤシ 東岡山店」。
未使用車とは、業者がメーカーに割安で大量発注した新車で、顧客のメリットは店に並ぶ豊富な車の中から好みの車が見つかれば納車日まで何週間も待たなくてもその日から新車に乗れるというもの。
その代わり、一から自分好みにカスタマイズする新車ならではの楽しみはなく、まさに新車と中古車の中間といった存在である。
偶然ネットでこの店のことを知り、伯母の家からさほど遠くないこともあって、10月に初めて店を訪れてその日に購入を決めた。

世界的な半導体不足で自動車の生産に遅れが出ているということだったので、納車は年越しになることも覚悟していたが、今日メーカーから店に車が引き渡されることが決まり、どうせならすぐに受け取ろうということになった。
レンタカーと違って車を購入するとなると、保険のことだったり、点検のことだったり説明を受けることがいろいろあって、結局すべて終わるまで3時間ほどかかった。

そして、晴れて私の車となったのが、こちらのスズキ「ハスラー」。
軽自動車を買うのはこれが生まれて初めてだが、昔の軽自動車に比べて全体的に作りがしっかりしている印象を受けた。
実は「ハスラー」に一度も試乗しないまま購入を決めたので、実際に運転するのは今日が初めてである。
ダッシュボードのスイッチ類もどこに何が付いているのかよくわかっていない。
店員さんに簡単な説明を受けたものの、どうもまだ心許ないまま店を後にした。
まず、妻の実家に行って両親の昼食を作るという妻を降ろし、私一人でカー用品を探しにいくことにした。

初めての「ハスラー」は、レンタカーで借りる「ヴィッツ」よりも車高が高く、車窓の景色が微妙に違う。
車幅は少し狭いはずなのだが、室内がゆったりしているため、むしろ大きく感じる。
どうもまだ車幅感覚がつかめない。

妻の実家の近くに「オートバックス」があった。
当面の最大の課題は、東京にいる間、長期間乗らないまま放置しているとバッテリーが上がってしまうのではないかという問題である。
「ハヤシ」の担当者と相談して、当初は留守の間バッテリーケーブルのマイナスの方を外しておけばいいと思っていたのだが、「スズキ」の人に確認してもらうとどうもそう簡単ではないということがわかった。
最近の車はコンピューター制御なので、バッテリーケーブルを外しているとデータが初期化されて、様々な不具合が出る可能性があるという。
もし意図的にケーブルを外したことがわかると、修理の対象にならないかもしれないというのだ。

そこでバッテリーが上がった時に使える「バッテリー充電器」を探しに来た。
それほど様々な機種は用意されていなかったが、自宅で使えそうな充電器は置いてあった。
しかし、もっと魅力的な商品が目に止まった。

「ジャンプスターター」と書かれたこの商品、「備えて安心!バッテリー上がりの強い味方!」と書いてある。
「救援車両いらずの自己完結!」「収納に困らないコンパクトサイズ!」「スマホの充電にも利用可能!」
どうやらスマホの充電に使うリチウムバッテリーのようなものを使って、バッテリーが上がった車のエンジンをかける方法があるようなのだ。
私の当初の計画では、岡山空港の無料駐車場に車を置いておき、バッテリーが上がらないようにケーブルを抜いておくというものだった。
しかしケーブルを抜くのがダメということならば、もし空港に着いて車のエンジンがかからない場合には、東京で充電済みのこの「ジャンプスターター」を持参すれば問題は解決するのではないか。
そんなことを考えて、もう少し調べてから充電器を購入することにした。
車を自宅に置いておけば、もしバッテリーが上がっていても自宅のコンセントから充電することが可能で安心だが、その代わり空港から自宅まで公共交通機関を乗り継がなければならない。
果たしてどうすれば最も効率的でリスクを低減できるのか、これまでバッテリーの問題に悩まされたことがなかっただけに知識が決定的に不足している。

今回、東京に戻るまでに答えを探さなければならないのだ。
レンタカーを借りるのは、お金がかかるが手間はなかった。
自分で車を買ってみると、やはりいろいろ面倒な問題が出てくるものだ。
でも、こうやって新たな問題にぶつかるたびに、新たな知識が身についていく。
そう考えれば、課題もちょっとした楽しみと感じられなくもない。
こうして吉祥寺に引っ越して以来しばらく離れていたカーライフに私は再び戻ることになったのである。
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