妻が65歳になった昨日のお話。
このところ妻はすっかり和菓子派になってしまい、誕生日のケーキはいらないと主張した。
でも、こういう時でないとケーキを買うこともないので、「私が食べたいからケーキを買ってくる」と言い張って家を出た。

向かったのは、食べログでNo.1のケーキ屋さん「アテスウェイ」。
吉祥寺の中心部からはかなり離れ、西荻窪との中間、東京女子大学のすぐ近くの住宅街にポツンとあるお店だ。
暖かな昼下がり、自転車を走らせる。
この日は日曜日で、吉祥寺の街中はどこも行列でごった返していたが、さすがに町はずれだけに店の外までの行列はできていなかった。

店内に入ると、清潔で機能的な作り。
多くのお客さんが順番を待っているものの、スタッフの数が多いのでテキパキと注文をこなしていく。
「アテスウェイ」とは、フランス語の“a tes souhaits!”から来ていて、誰かがくしゃみをした時に「お大事に」という意味を込めてフランス人が必ず発する決まり文句である。
正確に訳すと「あなたの願いが叶いますように」というような意味になる。

色鮮やかなパウンドケーキは、1600円前後。
マカロンの詰め合わせが1500円。

焼き菓子のギフトセットは2200円。
人気店のわりには、思ったほど値段が高くはないと思った。

オーナーシェフの川村英樹さんは、1989年に日本のプリンスホテルに入社し、その後世界的なパティスリーのコンクールで優勝するなど輝かしい経歴を積んで、2001年に独立した。
ガラスケースの奥には、たくさんの職人さんが働く厨房が見える。

その厨房から生み出されるケーキはどれもとても美しく、どれを選ぶか迷ってしまう。
季節柄、栗を使ったケーキが目についたが、どうも最近妻は栗が好きではなくなったらしいので、それ以外のケーキを2つ買った。

注文後、お金を払った客は店の外で商品を受け取るシステムのようだ。
店内が混み合うのを避ける人気店のアイデアである。
受け取ったケーキが潰れないように箱をリュックにしまい、注意しながらゆっくり自転車を漕いで帰宅した。

私が選んだのは「タルトタタン」(650円+税)と「タルトキャラメルカフェ」(590円+税)。
どちらも芸術品のように美しいケーキだ。

「タルトタタン」はほとんどがリンゴでできていた。
とてもジューシーで、甘すぎず、上品な味だ。
見た目だけでなく、食べても最高なのだから、このお店が食べログ1位になるのも納得だ。

一方、精緻な作りの「タルトキャラメルカフェ」はかなり甘い。
でも嫌な甘さではなく、濃厚なクリームがいくらでも食べられそうな美味しさだ。

普段ケーキを食べない妻も、その美しさに興味を持ったらしく、それぞれ味見して「とても美味しい」と喜んだ。
それでも、2つのケーキのほとんどは私のお腹に収まった。

「アテスウェイ」のケーキを食べながら、ワールドカップの日本戦を観る。
特別な日に食べるにはふさわしい、完成度の高いケーキだと感じた。
食べログ評価3.98、私の評価は4.00。
「アテスウェイ」 電話:0422-29-0888 営業時間:11:00~19:00 定休日:月曜・火曜 https://www.atessouhaits.biz/