どういう風の吹き回しか、妻が「お昼、フルーツサンドにしようか?」と聞いた。
望むところだ。
最近フルーツサンドが流行っているようで、吉祥寺でもフルーツサンドのお店をよく見かけるようになり、私も気になっていたのだ。

妻のお目当てのお店は、吉祥寺ロフトの前に伸びる「プチロード」に昨年末に開店したフルーツサンド専門店『先手家』。
「先手家」と書いて「ポンテヤ」と読むらしい。

11時半の開店に合わせて行ってみると、なんと緊急事態宣言にもかかわらず行列ができていた。
私が若い頃には人気だった「プチロード」も最近では人通りも少なく、ちょっと予想外の光景だった。

店の前には、今年3月に出版されたばかりの『 Hanako CITY GUIDE クセになる、吉祥寺。』の表紙に貼ってある。
このお店のフルーツサンドが「Hanako」の表紙に掲載されたようで、その影響もあって女性を中心に一気に人気店となったようだ。
メディアとして地盤沈下著しい雑誌ではあるが、まだまだ「Hanako」の影響力はあなどれない。

実はこの「先手家」、同じプチロードにある居酒屋「比内や」「タントビーノ」の姉妹店だということを知った。
コロナでダメージを受ける居酒屋が、生き残りをかけて始めたフルーツサンドのお店であれば私もぜひ応援したいと思った。

去年12月28日にオープンしたばかりのまだ新しいお店だが、店の看板をよく見ると「SINCE 1920」の文字が書いてあった。
「先手家」というのは埼玉ベースの老舗八百屋「丸八青果」の新業態であり、「比内や」の会社と「丸八青果」とのコラボということらしい。

午前11時半、定時にお店が開くと1組ずつお店に入っていく。
間口2メートルほどの極狭店舗で、ショーケースに並んだフルーツサンドを売るための女性店員が2人いるだけのシンプルなお店だ。
「COSTA COFFEE」ともコラボしているようで、フルーツサンドと一緒にコーヒーをテイクアウトすることもできる。

開店から10分ほどで私たちの番となり、妻と一緒にお店の中に入った。
ショーケースには8種類のフルーツサンドが並んでいる。
一番安いのが「バナナ」(432円)で、「パイナップル」(486円)、「キウイ」(518円)、「なつみ」(561円)、「ミックス」(604円)、「とちあいか」(626円)、「恋のぞみ」(626円)と続き、一番高いのは「メロン」(734円)だった。
妻は「キウイ」、私は「とちあいか」を選んでそそくさと店を出る。

フルーツサンドは、こんな紙袋に入れられていた。

「キウイ」(518円)と「とちあいか」(626円)。
彩的には良い組み合わせで、ラッピングのデザインもお洒落で見た目はとてもいい。

パンは今時流行のフワフワの食パンではなく、ちょっとざらついたようなパンを使っていた。
たっぷりの生クリームは見た目ほどしつこい甘さではなく、メインとなるキウイは半分にカットした状態で丸ごとクリームの中に埋まっている。
加工しやすいためか、まだ少し硬めのキウイが使われていて、フレッシュな酸味が口の中に広がった。

「とちあいか」というのは去年命名されたばかりの栃木県の新たなブランドイチゴだそうだ。
栃木といえば「とちおとめ」が有名だが、これまでは「とちおとめ」と「スカーベリー」の二本柱だったところに、新たに3つ目のブランド「とちあいか」が登場した。
強い甘みで酸味が少ないのが特徴だそうだが、形崩れしないように少し硬めのイチゴを使用しているせいか、私にはイチゴの酸味とクリームの甘さが調和しているように感じた。

キウイとイチゴそれぞれ半分にカットして、妻と交換して2つの味を試してみた。
見た目通りの味ではあるが、思ったほど生クリームの罪悪感は感じず、しっかりとフルーツを食べているという健康的な印象を受けた。
果たしていつまで今のフルーツサンド人気が続くか分からないが、生き残りをかけて新業態に挑戦する居酒屋の姿勢に敬意を評したい。
今度は居酒屋の方にも、テイクアウトも買いに行くつもりだ。
食べログ評価3.17、私の評価は3.40。
「先手家 PONTEYA 吉祥寺」 営業時間:11:30〜18:00 定休日:不定休 https://twitter.com/PonteyaK