外出していた妻が、お昼に胡椒餅を買ってきた。

11月1日にオープンしたばかりの「台湾老劉胡椒餅 吉祥寺店」。
吉祥寺駅前交差点に面した超一等地に長年放置されていた不動産屋の跡地に突然開業したテイクアウト専門店で、オープン以来お店の前には連日行列が絶えず、たちまち行列が行列を呼ぶ人気店となっている。
週末ともなると、行列は店の裏側の路地の奥にまで伸びていて、私もずっと気になりつつもとてもこの行列に並ぶ気にはなれなかったのだが、今日妻が店の前を通った時には5人ほどしか並んでいなかったので「1個試しに買ってきた」という。

この店の看板メニュー、「豚肉胡椒餅」(430円)。
お店のサイトには、次のように胡椒餅が紹介されていた。
台湾では定番の屋台で食べられるB級グルメ。
お客さんが胡椒餅の焼きあがる香りにつられてお店に立ち寄り、
家族や職場の仲間のために両手いっぱいの胡椒餅を
買っていく姿を見かけられるのが台湾の日常です。中華料理ではよく使われる 「五香粉」と
「胡椒」で味付けした豚肉餡とネギを生地で包み、
胡椒餅窯の内側に貼り付けて仕上げる
胡椒餅ならではの独特の焼き方が特徴。窯の壁面に貼り付けて焼くことで、
引用:「台湾老劉胡椒餅」公式サイト
外側からゆっくりと熱が入り、 外生地はカリッと、
中はジューシーに仕上がる
胡椒餅ならではの食感と美味しさを生み出します。

包み紙を開けると、ゴマが表面を覆った丸いパンのようなものが出てきた。
中を割ってみると・・・

薄皮餅の中に、思ったよりも厚切りの豚肉がぎっしりと詰められていた。
細切れの肉と野菜をイメージしていたので、少し想像とは違った。
このレシピは、台北にある人気店「天母老劉胡椒餅」で修行した本場の味なのだそうだ。
お肉に甘みがあり脂が美味しい国産豚を使用。噛んだ時に歯切れが良くジューシーな肉汁が出るように、挽肉ではなく大きくカットした角切り肉が劉さんの胡椒餅の最大の特徴です
引用:「台湾老劉胡椒餅」公式サイト

食べてみると、豚肉はしっかりとした歯応えがあり、脂身もそのまま付いている。
噛んだ瞬間、胡椒の辛さとスパイスの香りが口中に広がる。
その名の通り、胡椒が主役の食べ物であり、門外不出のスパイスの配合がこの店最大の特徴なのだそうだ。
チラシには「口に入れると熱々の肉汁がジュワッと溢れ・・・」と書いてあったが、妻が家に持ち帰る間に餅が肉汁を吸ってしまったらしい。

このお店の特徴は、店内の特注窯を使って胡椒餅を焼き、まさに焼き上がりを販売することだ。
行列に並ぶ客は、ガラス越しに自分が買い求める胡椒餅が焼き上がる工程を見ることができる。
火加減によって、焦げ目の強いものと弱いものとがあって、こうした手作り感も人気なのかもしれない。

そして販売カウンターには、「焼き上がり時間」の目安が表示されていて、その時間になると店の前に行列ができるのだ。
焼き上がりの時間は、お昼の12時からおよそ40分間隔で1日9回。
このさりげない札が人間の心理を刺激して、その時間の少し前に並ぶ客が現れるのだ。
そして人通りの多い交差点にできた行列は、通りがかった人の目に止まり、とりあえず並んでみようという客を次から次へと引き寄せる。
実にうまい商売だと感心しながら、この1ヶ月間、お店の前を通りがかるたびに感心したものだ。

お店の商品といえば、この豚肉胡椒餅のほかには、4種類の「水出し台湾茶」が用意されているだけ。
実にシンプルで潔い商売である。

「台湾老劉胡椒餅」は現在、先にオープンした町田店とここ吉祥寺店のみ。
ものすごい行列に並んでまで食べたいかと言えばちょっと首を傾げるが、妻のようにあまりお客さんのいない時に通りがかったら食べてみる価値はあると思う。
果たして、栄枯盛衰の激しい吉祥寺で、この行列がいつまで続くか注目である。
食べログ評価3.03、私の評価は3.20。
「台湾老劉胡椒餅 吉祥寺店」 電話:0422-24-8026 営業時間:12:00~19:00 定休日:月曜 https://roryu-koshomochi.studio.site/home