「エコ便」すごい

今回岡山に帰省した目的の一つは、母の家の片付けだ。

もう30年ほど前のこと、父の定年に合わせて今のマンションに引っ越した時に運び込んだ荷物が部屋を一つ塞いだままになっている。

部屋の入り口までダンボールが積み上げられ、30年間その荷物たちは一切使われることもなく、その部屋で眠っていた。

30年間使わなかったと言うことはいらないと言うことだと思うわけだが、母は頑なに片付けを拒んできた。死んだ後、全部まとめて業者に捨ててもらえばいいと、片付けの話を持ち出すたびに主張した。

ところが、どういう風の吹き回しか、押入れを塞いでいた布団をいくつか処分したいと言い出した。

理由はわからない。

でも、せっかくの申し出なので理由は詮索せず、岡山市での粗大ゴミの処分方法を妻が調べてくれた。

事前に申し込めば、平日に無料で粗大ゴミを処理場に持ち込むことができるという。

そのために月曜に休みを取り、母が捨てたいという敷布団2、掛け布団2、座椅子2、毛布4を捨てることができた。

今、日本中で話題となっている「親の実家の片付け」を、我が家でもようやく始める糸口を掴んだのだ。

これをきっかけに、岡山市のゴミ事情を調べる中で、とんでもないものを発見した。東京でもお目にかかったことのない、すごいものだ。

それは、「エコ便」という。

平林金属という岡山のリサイクル企業が手がける全国初の有人型資源集積システムだそうだ。

エコ便のサイトに使用されているyoutubeの映像をまずご覧いただこう。

わかりやすく言うと、いつでも持ち込めるドライブスルーのゴミ捨て場だと思っていただけるといい。

「エコ便」の西古松店が、母の住むマンションのすぐ近くにあった。

どんな施設なのか様子を見に行ってみると、日曜ということもあってか多くの車が列をなし、入店を待つ車が通りで待たされるほどだった。

私もレンタカーで訪れたのだが、入り口にいた男性が、「カードはお持ちですか?」と聞く。

「持っていません」と答えると、「まずカードを作ってください」と事務所のような場所に案内された。

エコ便を利用するためには、この可愛らしいカードを作らなければならない。

これは、古物営業法や県の条例で身元確認が義務付けられているためだが、エコ便の優れているのはこのカードを利用するメリットとしてポイント制度を導入したことだ。

ゴミを捨てるとポイントがもらえ、ポイントを貯めるとQUOカードなどの商品に交換することができるのだ。

このカードさえ作れば、後はゴミを持ち込むだけだ。

ゴミを出すのに費用はかからない。すべて無料だ。

ゴミの収集日を気にせずに毎日出せるのが最大の特徴だ。

小型家電も捨てられる。

金属や古着も捨てられる。

持ち込んだ人が自分で仕分けして、セルフで決められた場所に捨てるというのが基本的な仕組みだ。

ただ、私のようにゴミの分別がよくわからない人間も多いようで、多くのスタッフが常駐していて、ゴミの仕分けを手伝ってくれるので安心だ。

ただ、すべての物を捨てられるわけではない。

プラスチックはダメ。だから古紙がビニール袋に入っていたら、古紙はOKだが、ビニールはNGなのだ。

古着はOKだが、布団や布類はNGで、木製のものもダメ、発泡スチロールもダメ、電池類もダメだ。

基本的にはリサイクル施設なのだ。

リサイクルに向いた物には高いポイントがつく。

例えばアルミ缶。普通の空き缶は1キロで5ポイントだが、アルミ缶は1キロ70ポイントもらえる。

金属もポイントが高い。銅は1キロ220ポイント、真鍮は1キロ200ポイントだ。

一方、ダンボールは1キロ1ポイント、古着は1キロ2ポイントにしかならない。

ポイントが高いか少ないかは重要ではない。

要するに、いらないものを処分すると家がスッキリすることが大事なのだ。

しかも、ただ捨てるのではなく、ここで受け入れられたゴミは基本的にリサイクルされるというのが気持ちいい。

私はとても感心したのだ。

エコ便を知った私は、母親の家で30年間部屋を塞いでいた荷物に切り込んだ。

ちょうどタイミングよく、マンションの外壁の大規模修繕が始まり、母は業者からベランダの片付けを求められていた。

私は母のマンションとエコ便ステーションを何度も往復し、書類や古着、ダンボール類を捨てた。古くなった掃除機や扇風機も引き取ってもらえた。

有料のゴミ袋を買う必要もない。決められた曜日でなくても引き取ってくれる。

本当にありがたい施設だ。

岡山の企業が始めたこの「エコ便」は2016年のグッドデザイン賞を受賞したという。

こんな施設が東京にもあれば、ゴミの分別ができない私でも、利用するだろう。

また岡山に帰省する度に、母の家の片付けを少しづつ続けたいと思った。

「エコ便」、岡山に行かれた際にはぜひ見学していただきたい。

広告

コメントを残す