明日の便で東京に帰るので、畑仕事は今日が最終日。
野焼きで始まった今回の帰省は、最後まで野焼きの連続だった。

朝。
今日の作業はどうしようか考えた末、まだ手付かずの耕作放棄地となったままのブドウ畑の様子を見に行くことから始めることにした。
先月、大雑把に刈り倒した雑草たちがブドウ棚の下を覆っている。
ここでも野焼きを試みようと地面に倒れた草を集めようとするのだが、草刈りが中途半端なので刈れていない草が邪魔をしてうまく山が作れない。
それでもなんとか雑草の山を作り、いざ火をつけようとすると草が湿っていて着火しないではないか。
朝の時間帯は、霜や露の影響で枯れ草も濡れているので野焼きには適さないようだ。

早々にブドウ畑での作業を断念し、いつもの畑に転身し、野焼きの続きをすることにする。
こちらには、からっからに乾いたススキやイネ科の枯れ草があるので、朝の時間帯でも野焼きが可能だ。
まだ大量に残っている枯れ草を畑の燃やしたい場所に持ってきて火をつける。
この日の1回目の点火は10時25分だった。
ブドウ畑で時間を取られたので、スタート時間が遅くなり、その間に枯れ草も乾いていい感じで火がついた。

今日は、あまり山を大きくせず、少しずつ小分けにしてその代わり回数を増やして焼いていく。
2回目は10時40分・・・。

3回目は10時50分。

4回目は11時5分。

5回目は11時19分。

6回目は11時22分。

7回目は11時30分。

8回目は11時44分。

9回目は11時54分。

10回目は12時18分。

11回目は12時31分。

そして午前中最後となった12回目は野焼きは、12時45分に点火し午後1時ごろに終わった。
周囲に燃えやすい枯れ草がたくさん残っている状態では慎重に準備をして火をつける必要があるが、枯れ草の量が減って延焼の危険性がなくなってくると、枯れ草で山を作っては火をつけるという繰り返しで、楽な分だけスリルがなくなって面白みに欠ける気もしてくる。

昼メシは冷蔵庫に残っていた卵とトマト、タマネギを使って、スパニッシュオムレツでも作ってみようと思ったが、完全に失敗して得体の知れない卵料理が出来上がった。
それでも材料が卵とトマトとタマネギなので、ケチャップとマヨネーズをかけておけばまず外れることはない。
こうして着々と帰京に向けて食材は完璧に消費されようとしている。

昼メシを終えるともう2時。
残された作業時間は2時間ほどだ。
やっぱりブドウ畑のことが気になって、午前中に作った草の山に再び火をつけてみた。
すると朝はまったく着火しなかった草の山が午後はすんなりと燃えてくれた。
やっぱり野焼きは午後がいいらしい。
ブドウ畑での野焼き1回目は午後2時1分点火。

小さな山を作っては次々に燃やしていく。
2回目は2時6分。

3回目は2時10分。

4回目は2時15分。

5回目は2時19分。

6回目は2時30分。

7回目は2時46分。

8回目は2時51分。

9回目は2時54分。

10回目は3時2分。

11回目は3時11分。

12回目は3時15分。

13回目は3時19分。

13回目の炎は刈っていない下草が気に入ったらしく、なかなか消えずに燃え広がっていった。
私も炎が残っていると次に行きにくいので、その炎の行方を静かに見守る。

ということで14回目は多少時間がかかって3時40分に点火。

3時45分に15回目を点火したところで隣の畑のおばあさんが話しかけてきた。
「この畑、誰かやってくれる人を見つけた方が楽じゃろう」と言って知り合いに声をかけてくれるという。
おばあさんの家のブドウ畑も、息子さんがもうちょっとで定年なので、それまでは頑張ろうと思っているのだそうだ。

そんなおしゃべりに時間を取られて、16回目の点火は3時58分。
これが今日最後の野焼きとなった。

ブドウ畑は棚が低く柱もたくさんあるので、大規模な野焼きには向かない。
でもちょこちょこと焼いていると、少しずつ畑から雑草が消えていって今年の作業がやりやすくなった気がする。
3月に本格的にこのブドウ畑の片付けを行う予定だ。
おばあさんの紹介で誰か信頼できる人がブドウ作りをしてくれるのならそれはそれでよし。
そういう人が見つからなければ、ブドウ棚は撤去して草刈りのしやすい普通の畑にするつもりだ。
いずれにしても、もう絶対、耕作放棄地にはしない。
そう決意して、ご近所さんに迷惑をかけない農地管理を心がけたいと思っている。