<吉祥寺残日録>トイレの歳時記❄️七十二候「橘始黄(たちばなはじめてきばむ)」に謎のマシーンが水上を走る #211202

師走に入り、トイレにかけてある歳時記カレンダーのいよいよ最後の一枚となった。

今年のテーマとして、1月より「トイレの歳時記」として七十二候をチェックしてきたが、残るところ今日を入れて7つとなった。

12月は僧(師)を迎えて経を読ませるため、「師が走る」というのが師走の由来だとカレンダーには書いてある。

ひとつ気になったのは、12月には「納めの水天宮」「納めの薬師」「納めの金毘羅」「納めの観音」「納めの大師」「納めの地蔵」「納めの不動」と、「納めの○○」シリーズが続くこと。

確か1月には「初○○」のシリーズが続いていた気がするので、お寺や神社にとって年末年始はまさに書き入れ時ということがよくわかる。

せっかくなので、私も「納めの○○」でどこか行ったことのないお寺か神社に行ってみるのもいいかもしれない。

そして今日12月2日からは小雪の末候「橘始黄(たちばなはじめてきばむ)」となる。

カレンダーには「ユズ・ミカンなどが黄色に色づき始める頃」とその意味が書いてあるが、本来は「橘」の実が色づき始める頃なのではないかと推測する。

「橘」と言えば、京都御所にある「右近の橘」ぐらいしかイメージがないが、果たしてどんな果物なのか?

調べてみると、日本に古くから野生していた日本固有のカンキツで、和歌山県、三重県、山口県、四国地方、九州地方の海岸に近い山地にまれに自生する植物らしい。

果実は直径3cmほどで、ウンシュウミカンに似た外見をしているが、酸味が強く生食用には向かないそうだ。

ただし、実よりも花や常緑の葉が珍重されたそうで、マツなどと同様、常緑が「永遠」を喩えるということで喜ばれたという。

この写真は、2017年に京都御所を訪れた時に撮影した「右近の橘」だ。

立派な盆栽といった印象だが、この植物が皇室で大切にされたのは「古事記」「日本書紀」に登場しているためらしい。

古事記、日本書紀には、垂仁天皇が田道間守を常世の国に遣わして「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)・非時香木実(時じくの香の木の実)」と呼ばれる不老不死の力を持った(永遠の命をもたらす)霊薬を持ち帰らせたという話が記されている。古事記の本文では非時香菓を「是今橘也」(これ今の橘なり)とする由来から京都御所紫宸殿では「右近橘、左近桜」として橘が植えられている。ただし、実際に『古事記』に登場するものが橘そのものであるかについてはわかっていない。

奈良時代、その「右近の橘」を元明天皇が寵愛し、宮中に仕える県犬養橘三千代に、杯に浮かぶ橘とともに橘宿禰の姓を下賜し橘氏が生まれた。

出典:ウィキペディア

要するに、橘には権力者たちの不老不死の欲望がたっぷり詰まっているということなのだろう。

残念ながら、井の頭公園には橘はない。

橘どころか、柑橘類の木は見たことがない。

その代わり、モミジが真っ赤に色づいている。

すでに盛りを過ぎたのか、それとも日に焼けて綺麗な発色ができないのか、くすんだ色のモミジが目につくが、それでも写真で写すと赤く写る。

実物よりも写真の方が美しく見える。

赤一色よりも、周りに黄色や緑の葉がある方が美しいと感じる。

何事も、組み合わせなのだ。

モミジは赤だとは言え、赤を引き立てる色がある方が赤がより引き立つ。

そういう意味では、井の頭公園の中で最高のモミジは「ペパカフェフォレスト」周辺だと思う。

何事も好みがあるので人それぞれだとは思うが、私にとってはいつ見てもこの場所がベストだと感じるのだ。

そんな紅葉シーズン終盤を迎えている井の頭公園で、これまで見たこともない乗り物を目にした。

水車のような車輪を回しながら弁天池の水面を走る不思議な乗り物。

トラクターのような見た目だが、これって浮いているのだろうか?

「水草除去作業のお知らせ」と書かれた看板が設置されていた。

『専用の藻刈り船を用いて、増殖するコカナダモを効率的に刈り取ります。池外に搬出したコカナダモは一旦乾燥させた後、リサイクル処理プラントにて再資源化し、たい肥として有効利用する予定です。』

あれはやっぱり「船」だったのだ。

弁天橋から池の中を覗くと、水面近くまでびっしりと藻が密集している。

おそらく、これがコカナダモだろう。

北アメリカ原産のこの水草が初めて日本で確認されたのは、1961年の琵琶湖。

それがたちまち日本列島各地に拡散した。

異常に繁茂することで、日本の水圏生態系に悪影響を与えている。また、ある程度まで生長すると大量の流れ藻となり水面を覆い尽くし、異臭や船舶の航行障害を発生させる。こうした問題を解決するため、水草刈取機や人の手によって駆除が行われているが、完全な防除が実現した例は少ない。生態系被害防止外来種リストにおいて、重点対策外来種に指定されている。また、日本の侵略的外来種ワースト100に選定されている。

出典:ウィキペディア

なかなか厄介な水草のようだ。

それにしても、このマシーンはちょっと面白い。

男の子たちが見たら、さぞ「乗りたい!」と騒ぎそうだ。

水中に水草を刈り取る刃が取り付けられているのだろうが、そこが見えないのも興味をそそられる。

田舎で草刈りをするようになって、どうもこうした働く車が気になって仕方がない。

この水草除去マシーンだけでなく、公園内では今「冬支度」の真っ最中。

大型クレーンも登場し、様々な作業が並行して行われている。

オレンジ色に色づいていた「メタセコイア」の葉もバラバラと落ち始めていて、今日は大がかりに遊歩道の清掃作業が行われていた。

ブロワーで吹き集める人、ホウキで履いて集める人。

次々にメタセコイアの山ができていく。

井の頭弁財天には、こんなお知らせが・・・。

「井の頭弁財天では左記の期間において弁天堂屋根の銅板張替修理を行うこととなりました。【令和3年11月17日〜令和4年2月上旬】お参り、ご祈願は通常通り可能です。」

つまり、年末年始もこの工事の足場が設置されたままということらしい。

これでは初詣もちょっと冴えないが、今年もコロナで初詣は中止と考えているのだろうか?

今年のお正月三ヶ日も、弁財天は参拝客に門を閉ざして初詣ができなかったことを思い出した。

オミクロン株が世界各国で確認される中、果たしてどんな年末年始になるのだろうか?

岡山の自動車屋から電話が入り、私が購入した「ハスラー」の納車日が17日になるという。

早速16日の飛行機を予約する。

伯母が入院したこともあって東京と岡山を往復することになった2021年、その年内最後となる帰省が決まった。

妻の両親も一段と衰えが目立ち始め、施設への入所も検討課題となってきたらしい。

来年はますます岡山で過ごすことが増えそうだ。

親たちの介護という自分たちの責任を粛々と、だけどなるべく楽しく果たせれば、というのが来年の目標となりそうである。

<吉祥寺残日録>緊急事態宣言下の「井の頭弁財天」で1万円札を洗う #210109

【トイレの歳時記2021】

  1. 七十二候の「芹乃栄(せりすなわちさかう)」に中国と香港について考える #210106
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  3. 七十二候の「雉始雊(きじはじめてなく)」にキジを見に井の頭自然文化園に行ってみた #210115
  4. 七十二候「款冬華(ふきのはなさく)」に「大寒」の井の頭公園を歩く #210120
  5. 七十二候「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」と初場所・初縁日 #210125
  6. 七十二候「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」に紀ノ国屋で二番目に高い卵を買う #210130
  7. 七十二候「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」に立春をさがす #210203
  8. 七十二候「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」に考える「野生のインコ」と「生物季節観測」のお話 #210208
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  10. 七十二候「土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)」、ワクチン接種も始まった #210218
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